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2024.02.27

【先見の明】とは先見の目ではない? 言葉の由来や正しい意味、使い方を徹底解説【教員監修】

「先見の明」とは、物事が起こる前にそれを見抜く見識を指します。ただの抽象的な概念ではなく、仕事やプライベートでの成功への鍵となることも。この記事では、先見の明の意味、由来、そして類義語を探り、その力を日常生活でいかに活用できるかを説明します。

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「先見の明(せんけんのめい)」とは

先見の明という言葉を、聞いたことがありますか? 耳にする機会はあっても、その意味や価値を深く理解している人は意外と少ないかもしれません。先見の明とは、将来起こりうる出来事やトレンドを予見し、それに基づいて現在の行動を調整する能力です。

この能力は、情報を収集し、分析することで養われ、未来の可能性を見据えることで、より良い決断を下すのに役立ちます。「先見の目(せんけんのめ)」と勘違いをしている人もいますが間違いですので気をつけましょう。

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「先見の明」の言葉の由来

「先見の明」という言葉は、中国の古い書物『後漢書(ごかんじょ)』の『楊彪伝(ようひょうでん)』が由来とされています。楊彪の息子楊脩(ようしゅう)は、魏(ぎ)の国の君主、曹操(そうそう)に仕えていましたが、ある日曹操の機嫌を損ね、処刑されてしまいました。

その後、曹操が楊彪に会ったとき、かなり痩せているのを見て、「どうしたのか」と声を掛けると、楊彪は、次のように言います。

「愧無日先見之明、猶懐老牛舐犢之愛」
書き下し文:愧ずるは日(じつ)の先見之明無く、猶ほ老牛の舐犢(しとく)の愛を懐(なつ)くるを、と。
現代語訳:日のように我が子が後々問題を起こすことを見通すことができず、溺愛していたのだ(老牛が子牛をなめて愛おしむようなものだ)

ここでいう日(じつ)とは、金日磾(きんじってい)という人のことです。金日磾には子どもがいましたが、激しい女遊びの末、いずれ周囲に迷惑をかけるに違いないと思い、自ら子どもに手をかけました。

この話をふまえ、楊彪は大事な息子が処刑されたにも関わらず、自分には金日磾のように、先を見抜く力がなかったと、自戒の言葉を述べたのです。このエピソードが「先見の明」の由来となっています。

「先見の明」の使い方

では、「先見の明」という言葉を日常生活ではどのように使えばよいのか、例文をあげながら説明していきます。

1:彼女の先見の明で、新興技術の勉強を始めたのは賢明だった。
2:彼の先見の明があったから、あの時の投資が今では大きな利益につながっている。
3:毎日の運動で健康的な生活習慣を身につけることは先見の明のある行動だ。

このように、先見の明という表現は、将来に対する洞察力とそれに基づいた賢明な行動を讃える際に用いられます。個人のキャリア、投資戦略、健康管理など、様々な場面でこの言葉を使って、未来を見据えた行動の重要性を強調することができます。

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「先見の明」の類義語

「先見の明」という言葉と、似たような意味を持つ言葉について紹介します。

洞察力(どうさつりょく)

「洞察力」とは、直観や論理的思考を組み合わせて、物事の真の性質や原因を見抜く能力のこと。この力は、情報を分析し、その背後にあるパターンや意味を理解することによって発揮されます。以下に例文をあげます。

1:彼の洞察力のおかげで、衝突が起こる前に解決策を見つけ出した。
2:マネージャーの洞察力により、競合他社に先駆けて新しい市場ニーズを見つけ出した。
3:彼は洞察力を活かして、中古車を選ぶ際に隠れた問題点を見抜いた。

このように洞察力は、個人の直観や経験に基づく深い理解からくるもので、日々の生活や仕事の中で多様な形でその価値を発揮します。

予見(よけん)

「予見」とは、将来に起こりうる出来事や状況を、あらかじめ見通す能力や行為を指します。この能力により、人は未来の事象を予測し、その準備をすることができます。以下に例文をあげましょう。

1:気象学者の予見に基づき、町は台風の接近前に避難指示を出した。
2:市場の変動を予見し、彼はリスクを最小限に抑えるための案を考えた。
3:業界の将来を予見し、彼は新しい技術スキルを学び始めた。

「予見」は、分析や経験、情報に基づく論理的思考によって行なわれることが多く、先見の明と密接に関連していますが、より具体的な未来の出来事を指し示す場合に用いられることが一般的です。

予知(よち)

「予知」とは、将来起こる出来事をあらかじめ知る能力や行為を指します。この能力はしばしば、超自然的な感覚や直感、あるいは高度な分析能力に基づくものとして描かれます。以下に例文をあげます。

1:科学者たちは地震の前兆を予知し、住民に早めの避難を促した。
2:経済学者は経済危機を予知し、投資家たちに警告を発した。
3:彼女は何か悪いことが起こると直感的に予知し、そのためにいつも慎重に行動する。

予知は、未来の情報を事前に得ることで、より良い準備や適切な対応を可能にする能力として価値があります。この能力は、直観、特殊な感覚、または詳細なデータ分析によるものなど、様々な方法で発現するとされます。

このように、先見の明には似たような意味を持つ言葉がありますが、これらは微妙に異なるニュアンスを持ちます。洞察力は、現在の情報や状況から深い理解を得る能力を指し、予知は特定の出来事を事前に知る超自然的な能力に近いです。

一方、予見は、論理的な分析に基づいて未来の出来事を予測する能力です。先見の明は、これら全てを包括するような、未来を見通し、現在の行動を計画するための総合的な能力と言えます。

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最後に

「先見の明」は、未来を予測し、それに基づいて現在をナビゲートするための重要なスキルです。それは、持って生まれた才能というよりは、訓練と実践によって磨かれます。変化を恐れず、未来に目を向け、自分自身の可能性を最大限に引き出しましょう。「先見の明」を養うことは、より充実した人生を送るための重要なステップの一つとなるでしょう。

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執筆

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

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