及第点とは?読み方と由来をご紹介
及第点(きゅうだいてん)とは、試験や審査に合格する点数、もしくは、一定の基準に達していることを意味する言葉です。及第「点」といいますが、必ずしも具体的な点数が定められているわけではありません。
【及第】きゅうだい
1.試験や審査に合格すること。「期末試験に―する」「―点」⇔落第。
2.一定の基準に達していること。「セールスマンとして―だ」⇔落第。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
及第点は合格基準を満たしている点という意味のため、決して高い得点ではなく、基準すれすれの点数を指すことが一般的です。100点満点で80点が合格基準とすれば、80~85点くらいが及第点といえるでしょう。
【意味1】試験や審査に合格する点数
及第点を具体的な点数として使うこともあります。例文を通して見ていきましょう。
・君の点数は82点だった。80点以上が合格だから、まず及第点といえるだろう。
・卒業論文は及第点ではあったけれども、決して良い点数ではなかった。このままでは大学院への進学は難しいと担当教授に告げられた。
【意味2】一定の基準に達していること
具体的な点数がないときでも、及第点という言葉を使うことがあります。たとえば、次のように使います。
・彼女のフランス語は及第点といえるだろう。発音は少し問題があるが、文法的に正しく、意味が通じやすい。
・義母に「料理は及第点ね」といわれた。
完璧に素晴らしいというわけではないけれども、悪いともいえないときに「及第点」と評価することが一般的です。そのため、けなしているわけではありませんが、決して誉め言葉ともいえません。
他人に対して「及第点」というときは、失礼にあたる可能性があります。また、相手からも「上から目線だ」と思われてしまうかもしれません。「及第点」という言葉がふさわしいか迷ったときは使わないほうが良いでしょう。
及第点と類似する意味の言葉
及第点と類似する意味で使われる言葉としては、次のものが挙げられます。
それぞれの使い方やニュアンスの違いについて、例文を通して解説します。
合格点
「合格」とは、特定の資格や条件に適合することや、試験や検査に及第することです。及第と同じ意味で使われるため、及第点=合格点として使っても問題はないでしょう。
合格点を目指して頑張る学生は、優秀な点数で合格したいと考えているわけではありません。ぎりぎりであっても合格ラインに到達すれば良いため、合格点と満点との間には差が生じます。
・合格点ぎりぎりで入学したということは、同じ大学の学生の中では勉強ができないということだ。実際のところ、授業についていくのが精一杯で、大学生活を楽しむ余裕がない。
・合格点は95点です。つまりほぼ完璧に覚えていないと、この試験には合格できません。
悪くない点数・結果・出来
「悪くない」とは、積極的に良いとはいえないものの、良くないともいえないというニュアンスの言葉です。及第点の言い換えとして、「悪くない点数」「悪くない結果」「悪くない出来」を使ってみましょう。
・数学は悪くない点数だった。
・さぼったわりには悪くない結果だ。
・初めてオムライスを作った。初めてにしては、悪くはない出来だ。
そこそこの点数・結果・出来
「そこそこ」とは、十分ではないが一応のレベルにある様子を指す言葉です。及第点の言い換えとしても使えます。
・彼女はそこそこの点数だったらしい。
・そこそこの結果で満足するようでは、向上心があるとはいえない。
・陶芸教室で絵付けをした。そこそこの出来で、まずは満足している。
まずまずの点数・結果・出来
「まずまず」とは、完全ではないが、一応許容できる様子を指す言葉です。及第点の言い換えとしても使えます。
・彼の表情から、まずまずの点数であったことがうかがえる。
・まずまずの結果だったことに胸をなでおろした。
・頑張って朝ごはんを作ったのに、夫に「まずまずの出来だね」といわれた。もう作らない。
及第点と相反する意味の言葉
及第点とは相反する意味の言葉としては、次のものが挙げられます。
それぞれの使い方やニュアンスについて見ていきましょう。
不合格
「不合格」とは、試験・検査などに合格しないことです。及第点はぎりぎりであっても合格ラインをクリアしていますが、不合格はラインをクリアしていません。
・入試に不合格だった。実力に合った学校を選ぶべきだったと後悔している。
・彼女の接客マナーは決して良いとはいえない。試験ではないが、不合格といえる。
落第点
「落第点」とは、落第となる点数や一定の基準に達しない得点のことです。及第点に満たないときは、落第点と考えられます。
・倫理で落第点を取った。
・あの先生は何かと「落第点をつけるぞ!」と脅す。
赤点
「赤点」は落第点のことです。落第点は赤色で記したことから、「赤点」と呼ばれるようになりました。
・赤点を取りたくないから勉強する。
・赤点を取ると、補講を受けなくてはいけないらしい。
他人に使うときは注意が必要
及第点は合格点と言い換えられますが、決して優秀だとはいえないときに使うことが一般的です。そのため、及第点という言葉には上から目線のニュアンスがあると考えられます。「及第点」と評価するときは、相手との関係を正しく把握してから使うようにしましょう。
相手から良く思われないと考えられる場合は、「素晴らしい点数」「優秀な点数」のように表現するほうが無難です。言葉の選び方ひとつで相手との関係が壊れることもあるため、慎重に選ぶようにしてください。
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