自然淘汰
淘汰を「適応するものだけが生き残る」という意味で使う場合、例文は次のとおりです。
・必要なものは残り、そうでないものは淘汰されるのは大昔からの自然の法則である
・降水量が少ない地域では、淘汰されて滅びる植物も多い
・不景気が続き、多くの企業やフリーランスが業界から淘汰された
・自然界と同じく、ビジネスの世界でも淘汰は繰り返されている
人為的淘汰
「不必要・不適切なものを取り除く」という意味の淘汰は、主に人為的な内容で使われます。例文をみてみましょう。
・デジタル技術やAIの進化により、多くの従業員が淘汰される可能性がある
・消費者のニーズは変化が早く、対応できない企業は淘汰されるだろう
・企業の悪しき慣習は、早く淘汰されなければならない
・業績が上がらないため、従業員の淘汰もやむを得ない
・技術の進化は早く、多くの企業では古いシステムの淘汰が進んでいる
・業界再編は、業績の上がらない企業を淘汰する目的も含まれている
淘汰の類義語
淘汰には類義語もあります。主に、次の言葉があげられます。
どの言葉も「不要なものを取り除き、良いものを残す」「良いものを取り分ける」といった意味があり、淘汰と似ている言葉です。一緒に覚え、場面によって使い分けるとよいでしょう。
ここでは、淘汰の類義語を紹介します。
排除
排除とは、「不要なものや障害物を取り除く」という意味です。排除の「排」には「おしのける」という意味があります。
淘汰と似ている言葉ですが、淘汰には取り除くだけでなく、「適切なもの・良いものをより分ける」という意味もあります。淘汰の語源には「水ですすぐ」という意味があり、良いものは残されるためです。
2つの違いを理解して、適切に使いましょう。
(例文)
・意見の違う人を排除しようとする考え方には同意できない
・社内には良くない慣習も多いが、直ちにすべてを排除するのは難しい
選別
選別は、「選び分けること」という意味です。淘汰のような「不要なものを取り除く」という意味はなく、選んで残すという点で共通しています。
良いもの・悪いものという視点ではなく、対象となるものを種類や適否などによって区分けし、より分けることです。
「良いものを残す」という意味を主眼に置く際に使います。
(例文)
・断捨離では、これからの生活に必要なものだけを選別することにした
・人を見た目だけで選別するのはよくないことだと思う
ふるいにかける
ふるいにかけるは、条件や基準に合わないものを除外するという意味です。ふるいにかけるは漢字で、「篩に掛ける」と書きます。
篩とは、粉・砂などの細かいものを網目を通して分別する道具です。この篩にかけてより分けることから転じて、「除外して選び出す」という意味になりました。
(例文)
・今回の募集では予想に反して応募者が多かったため、やむをえずふるいにかけることになった
・店では欲しいものがたくさんあったが、予算が限られているためふるいにかけなければならない
淘汰には2つの意味がある
淘汰とは、環境や条件に適応したものだけが生き残るという自然淘汰と、不必要・不適切なものを取り除くという人為的淘汰の2つの意味があります。
自然淘汰は主に「淘汰される」という使い方で、明確な主語がありません。これに対し、人為的淘汰の意味で使う場合は、基本的に主語をつける点が異なります。
淘汰には、排除や選別などの類義語もあります。意味のニュアンスはそれぞれ異なるため、使うシーンによって上手に使い分けましょう。
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