証左とは事実を明らかにするよりどころとなるもの
証左(しょうさ)とは、事実を明らかにするよりどころとなるもののことです。証拠(しょうこ)と同じ意味で使われます。
【証左】しょうさ
事実を明らかにするよりどころとなるもの。証拠。「―を示す」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
証左の使い方を例文でご紹介
日常会話でもよく使われる証拠とは異なり、証左は一般的ではなく、少し硬いイメージがあるかもしれません。そのため、日常会話よりはビジネスシーンなどの改まった場面で使われる傾向にあります。
・証左として提出されたデータですが、母集団に偏りがあり、信頼性は低いと思われます。
・彼が証左とした資料は、去年のプレゼンの使いまわしのようだ。
証拠となる資料の意味で、「証左資料」という言葉が使われることがあります。証左資料もビジネスシーンで耳にすることが多いため、使い方を確認しておきましょう。
・証左資料は6ページ目以降に添付しております。
・今回の調査は、中高生の放課後行動を知るうえの良い証左資料となるでしょう。
証左はなぜ左?「左」の多様な意味をご紹介
証左には、なぜ「左」という漢字が使われているのでしょうか。まずは「左」が持つ多様な意味をご紹介します。
・右の反対側(例:左岸、左折)
・低い位(例:左遷)
・正しくない(例:左道)
・支え助ける。支えとなるもの(例:証左)
・革新的な思想・立場(例:左翼、極左)
・野球のレフト(例:左翼、左中間)
・酒飲み(例:左党)
左にはサポートするの意味があり、「証左」も「証を支えるもの」の意味で使われています。なお、低い位の意味で「左」が使われることがありますが、左大臣と右大臣では左大臣のほうが地位が高く、必ずしも「左」が低いとは限りません。
証左と類似する意味を持つ言葉を例文でご紹介
証左と類似する意味の言葉としては、次のものが挙げられます。
それぞれの使い方やニュアンスの違いについて、例文を通して見ていきましょう。
証拠(しょうこ)
「証拠(しょうこ)」とは、事実・真実を明らかにする根拠となるもののことです。また、要証事実の存否について裁判官が判断を下す根拠となる資料も「証拠」と呼びます。
・犯人の手掛かりはまったくないように見えたが、電話のメッセージのなかに動かぬ証拠を見つけた。
・彼がこの部屋で休んでいたのは明白だ。ティーカップや本などの証拠が残っている。
「証拠」を使ったことわざとしては、「論より証拠」が挙げられます。論より証拠とは、あれこれ論じるよりも証拠を示すことで物事は明らかになることです。
・説明しても理解しにくいでしょう?論より証拠というから、まずは手を動かしてみましょう。
・論より証拠です。理屈を述べるより見てもらうほうが早いでしょう。
徴証(ちょうしょう)
「徴証(ちょうしょう)」とは、証となる証拠、もしくは、証拠を挙げて明らかにすることです。
・言葉だけでは信じられません。徴証を見せてください。
・インターネットで何でも調べられるわけではありません。その徴証に、重要な文書はいまだに紙書類として保管されています。
ねた
「ねた」とは、諸説ありますが「たね(種)」を逆さに読んだ言葉です。片仮名で「ネタ」と表記することが一般的。
「ねた」には新聞記事・文章などの材料や取り上げる話題、証拠、奇術の仕掛け、演芸で上演する作品などの意味があります。また、悪意のある嘘ではなく、相手を笑わせたり軽くからかったりするための真実めかした作り話を「ねた」と呼ぶこともあります。
・いい加減に白状したらどうなんだ?ねたは上がっているぞ。
・何をねたにそのようなことを言っているのか、まったく見当が付きません。
証左と反対の意味の言葉を例文でご紹介
証左と反対の意味の言葉としては、次のものが挙げられます。
それぞれの使い方やニュアンスの違いについて、わかりやすくご紹介します。
事実無根(じじつむこん)
「事実無根(じじつむこん)」とは、根拠となる事実がまったくないことや、事実に基づいていないこと、根も葉もないことを指す言葉です。
・彼女が会社帰りにアルバイトをしているという噂だが、事実無根のようだ。
・事実無根の話がまるで本当の話のように言いふらされていて、あまり気分が良くない。
不稽(ふけい)・無稽(むけい、ぶけい)
「不稽(ふけい)」とは、根拠がないことやでたらめなことです。
・不稽な話だが、彼の話し方があまりにも真剣なため、思わず信じそうになってしまった。
・そのような不稽な話はしないでください。
同じ意味で「無稽(むけい、ぶけい)」という言葉を使うこともあります。
・あなたが言っていることは、基本的には無稽でしょ?何度もだまされているから、もう信じないわ。
・無稽な情報は削除しておいてください。判断を誤らせる原因になります。
「無稽」を含む四字熟語としては、「荒唐無稽(こうとうむけい)」があります。荒唐無稽とは、言動に根拠がなく、現実味のないことやその様子です。
・この小説は荒唐無稽だが、そこがおもしろい。
・荒唐無稽なことばかり言うね。まったく真実味がないから信用できないよ。
無根拠(むこんきょ)
「根拠(こんきょ)」とは、物事が存在するための理由となるものや、存在の理由のことです。そのため、「無根拠(むこんきょ)」とは、明確な根拠や理由がない様子を指します。
・彼女の話は無根拠で、思い込みもありそうだ。
・無根拠に彼を批判するのはフェアではない。彼に何の問題があるのか、明確に説明してほしい。
適切な場面で「証左」を使ってみよう
「証左」は証拠と同じ意味で使われる言葉ですが、証拠と比べると一般的ではないため、少々硬い印象を与えます。ビジネスで適した言葉といえるため、状況に応じて使ってみましょう。
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