根拠(こんきょ)
「根拠」は、物事が存在するための理由を意味する言葉です。「所以」も理由を指す言葉ですが、「根拠」は特に存在理由を意味するという点が異なります。
「拠」という漢字は「よりどころ」と読めます。このことからも、「根拠」が物事の成り立ちに関わる点がうかがえるのではないでしょうか。具体的な使用例は以下を参考にしてください。
こん‐きょ【根拠】
1 物事が存在するための理由となるもの。存在の理由。「判断の根拠を示す」
2 本拠。ねじろ。「一味が根拠とした隠れ家」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
・なぜ今回の契約を打ち切るのか、判断の根拠を示してもらいたい
・根拠のない自信が自分を動かしている
・根拠不明の情報拡散には気を付けたい
所為(しょい・せい)
「所為」には「所以」と同様の「理由」といった意味合いのほか、「しわざ」や「振る舞い」などの意味があります。「~のせいにする」のように「せい」とも読める言葉です。
「所以」が物事のいわれや理由を意味するのに対し、「所為」は理由となる行為そのものを指すという違いがあります。また、「~のせいで」のようにネガティブな場面で使用されることが多い言葉です。
せ‐い〔‐ヰ〕【▽所為】
《「所為」の音「しょい」の音変化か》上の言葉を受け、それが原因・理由であることを表す。多く、よくない結果をもたらす場合にいう。「年の所為か疲れやすい」「人の所為にする」「雨続きの所為でイネが育たない」「気の所為」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
・今回の結果は彼の所為によるものだ
・自分の所為に対しては責任を負うのが当然といえよう
・自分の所為にばかりするのはやめてください
・こうなったのは誰の所為でもないよ
筋合い(すじあい)
「筋合」は、理由のほか物事の道理などを指す言葉です。また、根拠のある物事の関係性も意味しています。以下のように「筋合いがない、ある」のように用いられるのが一般的です。
すじ‐あい〔すぢあひ〕【筋合(い)】
物事の道理。また、確かな理由や根拠のある関係。「とやかく言われる筋合いはない」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
・あなたにそんなことを言われる筋合いはない
・あなたに彼に怒る筋合いがあるのか疑問だ
「所以」の使い方を例文でご紹介
物事の起こりや由来、わけなどを意味する「所以」は、以下のように用いられます。
・彼の人の良さが人気を集める所以だ
・高評価の所以は、役者陣の演技力の高さにある
・他社の商品がここまで支持される所以を知りたい
・人の人たる所以を忘れずにいたい
「人のひとたる所以」とは、「人とはこうあるべきであろう」という姿や行動を表す言葉です。「所以」とともに、ぜひ使い方を覚えておいてください。
「所以」の正しい意味を知り使い方をマスターしよう
「所以」は、物事の理由やいわれを表す言葉です。漢字や読み方は、漢文を日本語へと訳す漢文訓読に由来するといわれています。
「所以」は日常生活やビジネスで使用でき、類語や言い換え表現を知れば、会話の幅がより一層広がります。正しい意味合いを理解したうえで、使い方をマスターしていきましょう。
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