「博愛主義」とは?簡単に基礎知識を解説
「博愛主義」は、「はくあいしゅぎ」と読みます。博愛主義の信念を持っている人は、相手の年齢や性別、人種などを問わず、出会ったすべての人に対して、分け隔てなく接します。
どのような人に対しても愛情を持って接しようとするため、人当たりの良い優しい人物だという印象を周りの人たちに与えるでしょう。
それでは、博愛主義とはどのようなものか、また「博愛」や「主義」自体の意味を解説します。さらに、あわせて博愛主義というフレーズの使い方も例文で確認しておきましょう。
意味は「人類は広く愛し合うべきであるとする主義」
はくあい‐しゅぎ【博愛主義】
人種・国家・階級・宗教などの違いを越えて、人類は広く愛し合うべきであるとする主義。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
博愛主義とは、「人類は広く愛し合うべきであるとする主義」のことを意味する言葉です。
博愛主義と呼ぶ場合には、自分と同じ人種や宗教の人など、だれか特定の人のみを愛するだけではありません。人種・国家・階級・宗教などの違いを越えて、相手がどのような特徴を持つ人であっても同様に広く愛し合うべきであるとする考え方なのです。
「博愛」とは「すべての人を平等に愛すること」
はく‐あい【博愛】
すべての人を平等に愛すること。「―の精神」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
博愛主義の「博愛」とは、「すべての人を平等に愛すること」を意味する言葉です。だれか特定の人だけを優遇してそのほかの人達を差別するようなことはなく、誰に対しても平等に愛します。
博愛を用いる際は、「博愛の精神」などのフレーズが多いです。また、明治20年(1887年)に日本赤十字社と改称された「博愛社」も、博愛を用いた表現のひとつです。
博愛社とは、明治10年(1877年)の西南戦争時に、傷病者救護を目的として組織した団体を指します。
「主義」とは「持ちつづけている考え」など
しゅ‐ぎ【主義】
1.持ちつづけている考え・方針・態度など。「それが僕の―だ」「完全―」「菜食―」
2.思想・学説・芸術理論などにおける一定の立場。イズム。「実存―」「自然―文学」
3.特定の原理に基づく社会体制・制度など。「資本―」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
博愛主義の「主義」とは、「持ちつづけている考え・方針・態度」「思想・学説・芸術理論などにおける一定の立場」「特定の原理に基づく社会体制・制度」などを指す言葉です。
たとえば、「誰にでも優しく接することが私の主義です」などと使います。
また、「ーー主義者」とは、「特定の主義を有する人」のことを指す言葉です。たとえば、博愛主義の信念を持っている人であれば「博愛主義者」と呼びます。
博愛・博愛主義の使い方・例文
博愛や博愛主義というフレーズの使い方を、簡単な例文で確認しておきましょう。
〈博愛の使い方の例〉
・世界中が平和になるためには、多くの人々が博愛の精神を持つことが大切です。
・お互いを尊重し合う博愛の精神を持てば、より良い社会が作れるのではないか。
・震災によって大きな被害を受けたが、さまざまな人々に助けてもらえた。博愛とは素晴らしいものだと感じた。
〈博愛主義の使い方の例〉
・彼は博愛主義者のようで、誰に対しても愛情を持って優しく接している。
・誰かを犠牲にせず、あらゆる人々を大切にする博愛主義が、もっと広まると良いと思う。
博愛主義の関連語もチェック!
あわせて、博愛主義に関連する言葉もチェックしておきましょう。
博愛や主義の類語・言い換え表現と、セットで使われやすい言葉は以下のとおりです。
〈博愛の類語・言い換え表現〉
・汎愛(はんあい) など
〈主義の類語・言い換え表現〉
・方針(ほうしん)など
〈セットで使われやすい言葉〉
・自由(じゆう)
・平等(びょうどう)
それでは、これらの言葉の意味などを解説します。
博愛の類語・言い換え表現:汎愛(はんあい) など
博愛と似た意味を持つ類語・言い換え表現には、「汎愛(はんあい)」「人類愛(じんるいあい)」 などがあります。
汎愛とは、「差別することなく、広く平等に愛すること」や「博愛」を意味する言葉です。また人類愛とは、「人種・国籍などを問わず、人類全体を愛すること」を意味します。
主義の類語・言い換え表現:方針(ほうしん)など
主義と似た意味を持つ類語・言い換え表現は、「方針(ほうしん)」「信条(しんじょう)」「モットー」「指針(ししん)」「思想(しそう)」「理念(りねん)」などです。
これらの言葉の意味は、以下のとおりです。
・方針(ほうしん)
……方位を示す磁石の針。めざす方向。
・信条(しんじょう)
……堅く信じて守っている事柄。信仰の箇条。キリスト教会の信仰告白を基準化したもの。
・モットー
……日常の行為の目標や方針となる事柄。また、それを表現した語句。
・指針(ししん)
……磁石盤・時計・各種メーターなどの指示装置についている針。物事を進めるうえでたよりとなるもの。
・思想(しそう)
……心に思い浮かべること。人生や社会についての一つのまとまった考え・意見。哲学で、体系的にまとまっている意識の内容。
・理念(りねん)
……ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え。哲学で、純粋に理性によって立てられる超経験的な最高の理想的概念。
博愛とセットで使われやすい言葉1:自由(じゆう)
博愛とあわせて使われやすい言葉のひとつが、「自由(じゆう)」です。
自由とは、「自分の意のままに振る舞えること」「勝手気ままなこと」「法律の範囲内で許容される随意の行為」などを意味する言葉です。
また哲学においては、「消極的には他から強制・拘束・妨害などを受けないことをいい、積極的には自主的、主体的に自己自身の本性に従うこと」を指します。
博愛とセットで使われやすい言葉2:平等(びょうどう)
「平等(びょうどう)」も、博愛とあわせて使われやすい言葉のひとつです。
平等とは、「かたよりや差別がなく、みな等しいこと」、または「そのさま」を指す言葉で、名詞や形容動詞として使います。たとえば、「男女平等な社会を目指しましょう」などと用います。
博愛主義という言葉を理解しよう
博愛主義とは、「人類は広く愛し合うべきであるとする主義」のことで、そのような主義を持っている人を博愛主義者と呼びます。
博愛の類語・言い換え表現は「汎愛(はんあい)」、主義の類語・言い換え表現は「方針(ほうしん)」などです。また、博愛とセットで使われやすい言葉には、「自由(じゆう)」や「平等(びょうどう)」があります。
博愛主義や関連する言葉の意味・使い方などを正しく理解し、ぜひ日常やビジネスシーンで活用してください。
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