パッチムとはいったい何?
パッチムは韓国語入門者の最初の壁ともいえますが、ルールを覚えてしまえば後は慣れるだけです。パッチムの基本と発音の法則を解説します。
1つの文字に含まれる第2・第3の子音
韓国語のパッチムとは、一言でいうと一つの文字に含まれる2個目以降の子音です。たとえば「김치(キムチ)」の「김」にある「ㅁ(m)」が該当します。パッチムは「支え」や「下敷き」という意味があり、その名の通りハングルでは必ず下半分に書きます。
パッチムを発音するときのポイントは、はっきりと発音しないことです。「김치」なら「キム(mu)チ」ではなく「キmチ」と発音します。
日本語はほとんどの音節に母音が含まれる言語のため、子音のみの発音に慣れるまで苦労するかもしれません。そのため意識的に母音を発音しない練習をするのがおすすめです。
パッチムの種類は16個
パッチムになる子音のパターンは全部で27個あります。このうち、後述する二重パッチムが11個、それ以外が16個です。しかし発音は7種類なので、構える必要はありません。
まずは、パッチムが一つで構成される16個を練習しましょう。
・kの音:ㄱ・ㅋ・ㄲ
・tの音:ㅈ・ㄷ・ㅅ・ㅌ・ㅊ・ㅎ・ㅆ
・pの音:ㅂ・ㅍ
・lの音:ㄹ
・nの音:ㄴ
・mの音:ㅁ
・ngの音:ㅇ
k・t・pは後ろに言葉が続かない場合、パッチムが聞こえない場合もあります。kの音は、喉の奥でかすかに「ク」と発音します。「박서준(パク・ソジュン)」は、「パkソジュン」と「ク」をはっきり言いません。
tの音は日本語の「ッ」に該当します。たとえば「인터넷(インターネット)」は、「イントネッ」と途中で発音を止めるイメージです。
pの音のコツは、口を閉じるだけです。たとえば「김밥(のり巻き)」は、日本語でよく「キンパ」といいますが、実際は「パ」を口を開けたまま言い終わるのではなく「パッ」と最後は口を閉じます。
lを発音するコツは、舌先を上顎にくっつけたまま、完全に「ル」といわないことです。「물(水)」は「ムl」と発音します。n・m・ngのポイントは後述します。
二重パッチム
二重パッチムとは、異なる子音のパッチムが二つ並ぶパターンです。以下の9個は가나다라順(日本語のあいうえお順)の早い方を発音します。
・ㄳ、ㄵ、ㄶ、ㄺ、ㄼ、ㄽ、ㄾ、ㅀ、ㅄ
ただし例外として、以下の2個は遅い方を発音する点に注意する必要があります。
・ㄻ、ㄿ
後述の連音化が発生する場合は、二重パッチムは両方発声します。たとえば「읽다(読む)」は「ㄱ」のみ発音しますが、「읽어요(読みます)」は「일거요」と「ㄹ」「ㄱ」も発音します。
パッチムを練習してみよう
パッチムのルールが分かったら、声に出して練習してみましょう。韓国語の発音に欠かせないリエゾンのコツと、練習用に韓国ドラマでも見聞きすることの多いフレーズを用いて紹介します。
リエゾンの発音方法
韓国語におけるリエゾンとは、前の文字と後ろの文字をつなげて発音することを指します。パッチムに関する発音のルールは数多くありますが、まずは以下の2つを覚えれば、ネイティブに近い発音の実現につながるかもしれません。
・連音化
・「ㅎ」の弱音化
連音化とは、パッチムの後に「ㅇ」が続く場合に「ㅇ」を無視して発音する法則です。たとえば「일본어(日本語)」は「일보너(イㇽボノ)」と発音します。
弱音化とは、パッチム「ㄴ・ㄹ・ㅁ・ㅇ」の後の「ㅎ」がほとんど発音されない法則です。たとえば「전화본호(電話番号)」は「저나보노(チョナボノ)」と発音します。
韓国人が新大久保(신오쿠보)をよく「シノクボ」と発音するのも「신+오」を連音化させているからといえるでしょう。
韓国ドラマ頻出! パッチムがあるフレーズ
韓国ドラマで頻出する、パッチムを含むフレーズは以下の通りです。実際に声に出して発音してみましょう。
・사랑해(サランヘ):愛してる
・미안해(ミアネ):ごめん
・알았어(アラッソ):分かった
・빨리(ッパッリ):早く
・싫어(シロ):嫌だ
사랑해の「해」について、ドラマやKーPOPではよく「ゲ」に聞こえますが、実際は「エ」と鼻にかけながら発音します。미안해は「ㅎ」の弱音化、알았어と싫어は連音化が起きているといえます。
빨리は「ㄹ」が二つ続いているため「ッパッリ」と少しためて発音するのがポイントです。発音と文字を結びつけることで、理解が早まるでしょう。
パッチムの覚え方のコツ
パッチムの基本を理解したら、後は練習あるのみです。パッチムをいち早く上達するためのコツを解説します。
動画や字幕付きコンテンツで覚える
語学を上達させるには、韓ドラ・映画・バラエティ番組など、ネイティブが実際に話している様子を観察するのが早いでしょう。YouTubeにはパッチムを解説した動画がたくさんあるため、ネイティブの発音を学ぶ教材には事欠きません。
また、ドラマを韓国語字幕で見るのもおすすめです。音と文字を結びつけられるので「実はこのフレーズを言っていたのか」と耳を鍛えることに期待ができます。
3つの「ん」の違いをマスターする
韓国語には「ㄴ」「ㅇ」「ㅁ」の3種類の「ん」があります。日本語では全て「ん」と表現され、発音の違いはほとんど意識されません。しかし実は、日本語でも以下のようにそれぞれ発音を使い分けています。
・ㄴ(n)→「みんな」の「ん」
・ㅇ(ng)→「案外」の「ん」
・ㅁ→(m)「さんま」の「ん」
「ㄴ」は舌先を上顎にくっつけながら発音し、「ㅇ」は口を半開きにしながら、鼻にかけて音を響かせるイメージです。
「ㅁ」は口を閉じて「ん」と発音します。まずは日本語の単語を声に出し、それぞれの違いを感じてみましょう。
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