しらこいとは?意味と広まった背景
しらこいとは、関西弁が由来とされる若者言葉です。しらこいの意味と、若者の間で広まった背景について解説します。
「白々しい」という意味を持つ言葉
しらこいとは、関西弁では「白々しい」という意味で使われている言葉です。白々しいには、白く見える様子や興ざめた様子、本心でないことが見え透いている様子、知っている事柄について知らないふりをしている様子など、さまざまな意味があります。
しらじら‐し・い【白白しい】
[形][文]しらじら・し[シク]
1. 白く見えるさま。また、はっきりと見えるさま。「—・い月の光」
「よそにふる物とこそ見め白雪の—・しくも思ほゆるかな」〈重之集〉
2. 興ざめなさま。「—・い空気が流れる」
3. うそであったり、本心でなかったりすることが、見え透いているさま。「—・いお世辞」「—・くうそ八百を並べたてる」
4. 知っていながら知らないふりをするさま。「—・く初対面のあいさつをする」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
しらこいは、本心でないことを言っている人や、隠し事をしている人に対して使われるのが一般的です。
テレビやSNSから広まったとされる
元々は関西弁だといわれている「しらこい」ですが、テレビに出演しているお笑い芸人やインターネットで人気の動画配信者が使っていたため、若者の間で広まったようです。
若者は面白いと思った言葉をすぐに取り入れる傾向にあります。しらこいという言葉のテンポのよさや語感が若者の感性と合致したため、SNSやインターネットで頻繁に使われるようになりました。
これにより、「しらこい」は全国に拡散され、若者言葉として定着したのです。
しらこいの使い方や響きが似た言葉
先述のとおり「しらこい」という言葉は、語感で若年層の心をとらえ、若者言葉として広まりました。この項目では、普段の会話で使えるよう例文を交えながら「しらこい」の言い換え表現と使い方を紹介します。また、似た響きの言葉である「ふてこい」についても解説します。
しらこいの言い換えと例文
しらこいの言い換えとして挙げられるのは、「白々しい」「わざとらしい」「嘘くさい」などです。
たとえば「めっちゃ褒められたけど、しらこい言い方だったから全然嬉しくない」を、白々しいを使って言い換えるなら「大いに褒められたが、白々しい言い方だったため全く嬉しくない」となります。
また「彼の笑顔はしらこいから、信用できない」は、「彼の笑顔はわざとらしい」と言い換えられます。「彼女のしらこい言い訳には、誰も納得しなかった」という場合は、「嘘くさい言い訳」を言い換え表現として使うのが一般的です。
しらこいに似た響きの「ふてこい」とは
しらこいと響きが似ている言葉として、「ふてこい」が挙げられます。ふてこいも、しらこいと同様に関西弁だといわれています。図太く構えている様子や、開き直っている態度を意味する「ふてぶてしい」という言葉が由来です。
こちらは「彼は厳しい上司の前でもふてこい態度を崩さない」「会議中にふてこく反論する後輩に、全員が驚いていた」のように使います。
ふてこいという言葉は「反省しない」「自己中心的な人」の態度を端的に批判する表現として、SNSなどで広まりました。
しらこい以外にも!方言が由来の若者言葉
しらこい以外にも、方言を由来とする若者言葉は多くあります。若者が頻繁に使う、方言由来の言葉を紹介します。どちらも砕けた若者言葉なので、ビジネスシーンや目上の人に対して使うのは控えた方が賢明です。
相づちとして定着している「それな」
相づちの若者言葉として定着している「それな」は、関西弁が元になっているとの説があります。関西弁や若者言葉でも、「それな」は同意や共感の相づちとして使われます。
「それな」を使った例文は以下の通りです。
【例文】
・「早く寝た方がいいんだろうけど、考え事してると夜更かししちゃう」「それな」
・「いくら節約してもいろんなものが値上がりしてるから、お金貯まらん」「それな!」
・「経費を早く申請しないと、また経理部から怒られるよ」「それなー」
「それな」は「本当にそうだね」「そのとおり!」のようなニュアンスで使われています。シンプルで短い言葉の「それな」を使うと会話のテンポがよくなることもあり、若者言葉として定着しているようです。
ただし「それな」を多用しすぎた場合、話を聞き流している印象を与えかねないため、注意が必要です。
「そうは言っても」という意味の「ゆうて」
関西弁で「そうは言っても」という意味合いを持つ「ゆうて」も、若者言葉として広まっています。関西弁の「ゆうて」は、以下例文のように、主に相手の発言をいったん受け入れた後、異論や意義を挟むときに使われます。
【例文】
・「給料が上がるっていわれてるねん」「ゆうて生活が楽になるわけではないよね」
・「ストレスには筋トレがいいらしいよ」「ゆうてすぐ取り入れるのは難しくない?」
若者言葉としての「ゆうて」は、「そうは言っても」の他に、以下のような意味合いで多用されます。
【例文】
・「昨日めっちゃ勉強したわ」「マジ?ゆうて私もそこそこ勉強した」
例文のとおり、「まあ」「うーん」など、前後の言葉とは関係のない「間投詞」のように使われる傾向にあります。
「とても」「超」というニュアンスの「ばり」
「ばり」は、主に「とても・すごく・超」という意味を持つ言葉です。由来については諸説あり、博多弁や広島弁であるともいわれています。博多ラーメンのゆで具合を表す言葉として知られる「バリカタ」は、「すごく硬い」ことを表しています。
気分や感情を強調するときのフレーズとして端的で便利なことから、若者の間で広まりました。「ばりおもろい」は「とても面白い」、「ばり疲れた」は「すごく疲れた」という意味です。
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