リモートとは?
リモートは英語をもとにしたカタカナ語の一種で、他の単語と組み合わせて使うこともある言葉です。詳しい意味やオンラインとの違いについて解説します。
遠隔を意味する言葉
リモートとは、「遠隔」や「離れた場所」を意味する言葉。ビジネスの世界では、おもに「リモートワーク」の略語として使われる傾向にあり、オフィスから離れた場所で仕事をすることを指すことがほとんどです。
リモート【remote】
1 多く他の語の上に付いて複合語をつくり、遠く隔たった、の意を表す。「—ターミナル」
2 インターネットなどのコンピューターネットワーク上にあるコンピューターや、遠隔地にある端末装置などで構成された利用環境。⇔ローカル。
引用:小学館 デジタル大辞泉
リモートワークでは、おもにインターネットを介して会社のシステムなどにアクセスし、タスクをこなします。地理的な制約を超えて仕事ができるので、柔軟な働き方が可能といえるでしょう。
たとえば、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、さまざまな場所をワーキングスペースとして活用できます。
近年では、テクノロジーの発展によりビデオ会議やクラウドサービスを使って、チームメンバーとのコミュニケーションや協力も円滑に行えるようになりました。
オンラインとの違い
リモートとオンラインは似ているようですが、実は異なる概念といえます。オンラインは単にインターネットに接続している状態を指し、リモートはより広い意味を持ちます。
リモートワークの場合、必ずしもオンラインである必要はありません。たとえば、オフラインで作業した後、オンラインでデータをアップロードするケースもあるでしょう。
また、リモートは物理的な距離感を強調し、離れた場所での作業を意味します。一方、オンラインは接続状態に焦点を当てている点がポイントといえます。
リモートワークのメリット・デメリット
リモートワークは労働者と企業の双方にそれぞれメリットがある働き方といえます。メリットとともにデメリットも押さえておくと、リモートワークに関する知識が深まるでしょう。
リモートワークのメリット
リモートワークには、多くのメリットがあげられます。通勤時間の削減は、代表的なメリットの一つです。自由に使える時間が増えることにより、仕事と私生活のバランスが取りやすくなり、自分の時間を有効活用できるでしょう。
また、柔軟な働き方ができる点も大きな魅力といえます。自分のペースで仕事ができ、集中力が高まる時間帯に効率よく作業することも可能です。育児や介護との両立など、多様な働き方を実現しやすいとも考えられるでしょう。
企業側にもメリットがあり、オフィスの維持費や交通費などのコスト削減につながることも。場所の制約がなくなるため、地方在住者や海外在住者でも都市部の企業で働くチャンスが広がり、企業が優秀な人材を確保しやすくなるケースもあるようです。
リモートワークのデメリット
リモートワークには課題もあります。まず、コミュニケーションの難しさが挙げられます。対面でのやりとりがないため、細かいニュアンスが伝わりにくく、チームワークに支障をきたす可能性も。
また、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすいのも懸念点の一つです。オフィスと自宅の区別がつきにくく、オーバーワークになるケースも見られます。
人によっては集中力の維持や時間管理が難しく、生産性が低下する可能性があります。さらに、個人の端末や無防備なWi-Fi環境での作業における、セキュリティリスク・情報漏えいのリスクにも注意が必要です。
さらに、孤独感や疎外感を感じやすいことも挙げられるでしょう。これらの課題を認識し、適切に対処することがリモートワークを成功させるポイントといえます。
リモートワークを行う際のポイント
リモートワークは通常のオフィスでの業務とは異なり、注意しなければならないポイントがあります。安全に効率よくリモートワークを行うために心得たいポイントを見ていきましょう。
セキュリティ対策が重要
リモートワークを安全に行うためには、セキュリティ対策が欠かせません。リモートで勤務する際は、企業側が提示するセキュリティポリシーやルールに従い、安全面に配慮します。
使用端末にインストールしたウイルス対策ソフトは常に最新の状態を保ち、定期的にスキャンすると効果的でしょう。また、重要な情報を扱う際は通信経路が暗号化されたツールを使用します。
リモート会議やオンライン会議の際は、情報が漏えいしないよう周囲の環境に気を配ることも大切です。これらの対策を実施すれば、セキュリティ面のリスクを抑えられるでしょう。
出典:テレワークセキュリティガイドライン 第5版(63〜65ページ)- 総務省
コミュニケーションは積極的に
リモートワークでは従業員同士に物理的な距離があるため、コミュニケーションを積極的に取ることが重要です。定期的なオンラインミーティングやチャットツールを活用することで、チームとの連携維持に期待できるでしょう。また、雑談の機会を設けることは、孤独感の解消やチームの一体感醸成にも効果的です。
上司や同僚とのコミュニケーションは仕事の進捗確認だけでなく、モチベーション維持にも重要です。困ったことがあれば、すぐに相談できる体制を整えておきます。
ビデオ通話を活用すれば表情や身振り手振りも伝わり、より深いコミュニケーションが可能になります。
作業環境を整える
リモートワークを効果的に行うには、適切な作業環境の整備が欠かせません。まず、業務に集中できる静かな空間を確保します。
快適な椅子と机を用意し、長時間の作業でも疲れにくい環境を作ることが大切です。業務を円滑にするために、十分な明るさの照明も取り入れます。
また、安定したインターネット接続は必須です。必要に応じて、バックアップの通信手段も確保しておきます。専用のワークスペースを設けると仕事とプライベートの切り替えを明確にでき、メリハリのある生活リズムを維持しやすくなるでしょう。
リモートワークに似た働き方
リモートワークと同じように使われる言葉は多く、意味や使い方を混同しがちです。テレワーク・ノマドワーク・在宅勤務、それぞれの意味や違いを紹介します。
テレワーク
テレワークは情報通信技術などを活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を指します。リモートワークと同義で使われることが多い言葉です。
テレワークのメリットはリモートワークと同様、通勤時間の削減や仕事と家庭の両立がしやすいことなどがあげられます。一方で、コミュニケーション不足や、仕事とプライベートの区別がつきにくくなるといったデメリットも。
テレワークが採用されやすい職種は、IT関連やバックオフィス業務、営業職などでしょう。近年では、新型コロナウイルスの影響で多くの企業がテレワークを導入し、働き方の新しいスタンダードになりつつある傾向がみられます。
テレワーク【telework】
ICT(情報通信技術)などを利用して、自宅など、職場以外の所で業務を行うこと。テレワーキング。テレコミューティング。リモートワーク。遠隔勤務。
引用:小学館 デジタル大辞泉
ノマドワーク
ノマドワークは、場所を問わず仕事ができる新しい働き方です。「ノマド」は遊牧民を意味し、ノマドワーカーはオフィスに縛られず、カフェや図書館、旅先など好きな場所で仕事をします。インターネット環境さえあれば、どこでも働けるのが特徴です。
この働き方は自由度が高く、新しい環境や刺激を求める人に適しているかもしれません。特に、Webデザイナーやプログラマー、ライターなどのクリエイティブな仕事に従事する人に人気のようです。
柔軟な働き方を求める人にとって魅力的な選択肢ですが、自身のライフスタイルや仕事の特性に合うかをよく検討する必要があるといえます。
在宅勤務
在宅勤務はリモートワークの一種で、自宅を仕事場とする点が特徴です。必ず自宅で勤務するわけでなく、部分的に出社が必要になるケースも少なくありません。
ライフワークバランスを保ちやすく、個人の生活スタイルに合わせて仕事ができるメリットがある一方で、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすく、オーバーワークに陥る危険性も。
在宅勤務を成功させるには、高い自己管理能力とコミュニケーション力が重要です。これらのスキルを磨けば、生産性の高い快適な在宅勤務が実現しやすくなるでしょう。
ざいたく‐きんむ【在宅勤務】
自宅にいながら仕事をすること。またその勤務形態。自宅のパソコンから、勤務先のサーバーとインターネットを通じて情報を送受して行う場合が多い。WFH(work from home)。→テレワーク
引用:小学館 デジタル大辞泉
メイン・アイキャッチ画像:(c)AdobeStock
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