マンツーマンとは?
「マンツーマン」という言葉は、スポーツ・学習・ビジネスなどのさまざまな場面で使われています。意味や使い方、ワンツーマンとの違いについて見ていきましょう。
おもに1対1を指す和製英語
マンツーマンとは「1人が1人に対応すること」や「1対1の関係にあること」を指す和製英語です。英語の「man-to-man」に由来しますが、日本人が独自に作り上げた和製英語の一つであるため、英語圏では意味が通じにくい場合があります。
マン‐ツー‐マン(man-to-man)
一人に一人が対応すること。一対一。「マンツーマンで指導する」
引用:小学館 デジタル大辞泉
たとえば、スポーツにおけるマンツーマンは、特定の選手を1人で守備する戦術のことです。教育分野では、講師と生徒が1対1でレッスンを行うスタイルを表します。
ただし、英語圏では別の意味を持つため、マンツーマンをそのまま使用すると誤解を招く可能性がある点に注意が必要です。
マンツーマンを使った例文
マンツーマンがよく登場するのは、スポーツ・学習・ビジネスの分野です。使い方を例文で紹介します。
【例文】
・英語のスピーキング力を上げるため、彼はマンツーマンレッスンを受けている
・新入社員に対しては、先輩がマンツーマンで指導に当たっている
・経験豊富なコンサルタントがマンツーマンでサポートいたします
・相手チームの攻撃を封じるため、コーチは選手たちにマンツーマンディフェンスを指示した
以上の例から分かるように、「個別対応」や「密接な関係性」を強調したい場合に使われることが多い言葉です。
「ワンツーワン」との違い
「ワンツーワン」は、マンツーマンの代替表現として使われる言葉です。本来の英語表現である「one-to-one」に近づけた形で、英語の発音により忠実といえるでしょう。
また、男性を意味する「マン(man)」を避けたジェンダーニュートラルな表現としても注目されています。
「1on1ミーティング」や「ワンツーワンコミュニケーション(one to oneコミュニケーション)」など、ビジネスシーンではマンツーマン以外の表現が使われるケースが多く見受けられます。
マンツーマンを英語圏で話すと?
マンツーマンの英語表記である「man-to-man」は、日本語とは異なる意味を持ちます。英語圏の人と会話をするときは、意味の違いを理解した上で、適切な表現を選ぶようにするとよいでしょう。
「腹を割って」を表す
英語のman-to-manは、「腹を割って話す」「率直に話す」という意味で使われるのが一般的です。
・We need to have a man-to-man talk about our performance.(我々の業績について率直に話す必要がある)
・a man-to-man advice(腹を割った助言)
ただし、スポーツ用語としては、1対1の意味で使われることも。バスケットボールやサッカーでの「man-to-man defense」は、日本語のマンツーマンディフェンスと同義で、各選手が相手チームの1人を防御する戦法を指します。
「1対1」「対面で」を英語で表現する場合
「1対1」や「対面で」を英語で伝えたい場合は、man to manではなく「one-on-one」「face-to-face」を使うとよいでしょう。
・one-on-one instruction(1対1の指導)
・face-to-face meeting(対面での会議)
「individual(個々の・個人的な)」や「personal(個人の・個人を目当てにした)」を用いて、「individual support(個別サポート)」や「personal consultation(個人相談)」と表現するケースもあります。
相手と個別に話をしたいときは、「Let’s have a one-on-one discussion.(1対1で話し合おう)」と表現が可能です。これらの表現は、日本語のマンツーマンが持つ個別性や直接性をより正確に伝えられます。
マンツーマンと似た意味を持つ言葉
似た意味を持つ言葉には、「パーソナル」「ワンオンワン」「付きっ切り」が挙げられます。マンツーマンと共通点がありながら、微妙に異なるニュアンスを持っている点に注目です。
パーソナル
パーソナルは英語のpersonalが語源で、「個人の」「個人的な」という意味を持ちます。
たとえば「パーソナルトレーニング」は個人の体力や目標に合わせた指導を指し、「パーソナルコンピュータ」は個人が使用するコンピュータを意味します。ビジネスシーンでは、個々の特性やニーズに合わせたサービスを表現する際によく使用される言葉です。
近年は、個人に焦点を当てたサービスや商品が増えています。「パーソナル〇〇」という表現は、今後さらに私たちの生活に浸透していくかもしれません。
ワンオンワン
ワンオンワン(1on1)は英語のone-on-oneが語源で、マンツーマンと同様に「1対1の状況」を指します。「ワンオンワンで話し合おう」は「マンツーマンで話し合おう」と同じ意味です。
ビジネスシーンでは「上司と部下の個別面談」や「営業担当者と顧客との直接対話」などを表現する際に使用される傾向がみられます。
ワンオンワンの利点は、個別のニーズに合わせた対応や、率直な意見交換が可能な点といえるでしょう。相手との信頼関係の構築にも期待ができます。
付きっ切り
付きっ切り(付き切り)は、特定の相手に専念し、常に寄り添う状態です。ビジネスシーンでは「付きっ切りで対応する」という形で用いられることが多く、相手への配慮や重要性を強調する効果があります。
たとえば、新入社員の教育で先輩社員が終日指導に当たる場合や、VIP顧客に専属スタッフを付ける際によく使われます。
マンツーマンが1対1の関係性を表すのに対し、付きっ切りはより継続的で密接な関わりを示唆するため、相手への献身的な姿勢や徹底したサポートを伝える際に効果的です。
ビジネスシーンで見られるマンツーマン
ビジネスの現場では、マンツーマンの形式が効果的に活用されています。特に、新人教育や社員のスキルアップ、コミュニケーション強化において重要な役割を果たしています。
OJT
「OJT」は「On-the-Job Training」の略で、実際の業務を通じて行う職場内訓練のことです。新入社員や異動してきた社員に対し、上司や先輩社員が1対1で指導を行うケースが多く見られます。
OJTでは、個々の能力や進捗に合わせた細やかな指導ができ、対象者はより実践的な知識やスキルを身に付けられます。指導する側にとっては、マネジメント能力やコミュニケーション能力を向上させる良い機会となるはずです。
ただし、指導者の負担が大きくなる点や、指導者の能力によって研修の質に差が出る可能性がある点には注意しなければなりません。
1on1ミーティング
1on1ミーティングは、上司と部下が定期的に行う個別面談です。部下の成長を促すことが主な目的であり、1対1の対話を通じて、業務の進捗確認や抱えている悩み、今後のキャリアなどを話し合います。
オープンな雰囲気で率直な意見交換ができるため、信頼関係の構築にもつながります。うまく活用すれば、組織全体のパフォーマンス向上にも期待できるでしょう。
ただし、実施する目的が明確でないと、部下に「面談に時間をかけたくない」と思われる恐れがある点には注意が必要です。有意義な時間にするためにも、話す内容・質問項目をあらかじめ準備しておくことが重要といえます。
メイン・アイキャッチ画像:(c)AdobeStock
▼あわせて読みたい