マインドとメンタルの違いとは?
マインドとメンタルは、どちらも精神に関わる言葉です。マインドとメンタルの違い、またハートなどの心を表す他の言葉との区別も紹介します。
マインドの意味や使い方
マインドは、英語の名詞「mind」からきた言葉で、「心・精神・意識」「好み・意向」という意味があります。
マインドは、精神の中でも思考や判断力といった「頭で考える部分」や、個人の好み・願望を指します。一方、メンタルは感情や心の状態全般を表します。この点が両者の違いです。
mindの対義語は、身体的な要素を表す名詞「body」です。bodyは身体や肉体といった体の物理的な構造を意味します。mindは、思考や感情、記憶などの精神的側面を表す名詞なので、体を表す名詞のbodyと対になります。
マインド(mind)
1 心。精神。意識。
2 好み。意向。「スポーツマインド」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
メンタルの意味や使い方
メンタルは、英語の形容動詞「mental」からきた言葉で、「心・精神の」「知能・知力の」という意味です。対義語は身体性を表す形容詞の「physical(フィジカル)」です。
意識的な部分を表すマインドに比べて、メンタルは精神や知能に関わること全般を指します。
日本語では「精神力」「心情」といった意味合いで、名詞的にも使われます。一方、英語で「mental」を名詞として扱うときは、「精神病患者」「精神障害者」を指すので注意しましょう。
メンタル(mental)
[形動]知能や精神にかかわるさま。精神的。「メンタルな問題」「メンタルトレーニング」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
ハート・スピリット・ソウルとの違い
マインドやメンタルは主に「精神や知力」といった側面を表します。それに対してハートは、「感情、愛情」などを表す言葉です。「ハートのこもった~」といえば、温かさや思いやりの詰まった様子を表現します。
一方、スピリットは「精神や霊、生気」を、ソウルは「霊魂や魂、心」を意味します。日本語でフロンティアスピリットやソウルフードといえば精神や心の話ですが、いわゆる目に見えない精霊・幽霊のような存在にも使います。
ビジネスシーンで聞くマインドを使った用語
マインドはさまざまな用語に使われています。職場では「マインドセット」や「ビジネスマインド」をよく耳にするかもしれません。それぞれの単語の内容や効果を説明します。
マインドセット
マインドセットとは、物事を判断したり行動を起こしたりするときの思考パターンをいいます。もともとは心理学用語で、後にビジネス用語としても使われるようになりました。
思考のパターンは、その人の経験や受けてきた教育、社会的な文化の影響、個人的な先入観などから作られます。マインドセットは組織や企業にもあり、企業文化・企業風土と呼ばれるものです。
努力すれば成長すると考える「成長型マインドセット(グロースマインドセット)」と、努力しても無駄だと考える「停滞型マインドセット(フィックストマインドセット)」に区別されます。
予測しない困難な状況でも前向きに取り組むには、成長型マインドセットを持つことが重要です。
ビジネスマインド
ビジネスマインドとは、社会人として働く上で必要な意識、考え方のことです。例えば、相手の立場を意識したコミュニケーションの取り方や、チームと連携した仕事の進め方、会社のルールを順守する姿勢が挙げられます。
ビジネスマインドは、仕事に対するモチベーションやチャレンジ精神、責任感にも関わります。適切なビジネスマインドを持たないと、持っている知識やスキルを仕事にうまく生かせません。
学習効果にも大きく影響するので、新入社員向けにビジネスマインド研修を実施する企業は多いようです。
ビジネスシーンで聞くメンタルを使った用語
ビジネスシーンで聞くメンタルを使った用語として、「メンタルコントロール」「メンタルヘルスケア」を見ていきます。どちらもメンタルを健康に保つのに役立ちます。研修やハウツー本などを利活用するのがおすすめです。
メンタルコントロール
メンタルコントロールとは、失敗につながるような恐れや不安を、「自分はやれる」という前向きな気持ちに切り替える技術です。
メンタルコントロールは、「大事なプレゼンテーション前に、緊張してうまく話せるか心配」といった場面で役に立ちます。
失敗できない本番の前には、必ずリラックスできるルーティンを行うといった、さまざまな技術があります。メンタルコントロールがうまくなれば、望んだ仕事の成果を得やすくなるでしょう。
メンタルヘルスケア
「メンタルヘルス」は心の健康のことで、厚生労働省によれば以下の四つの側面があります。
・情緒的健康:自分の感情を自覚し伝えられる状態
・知的健康:さまざまな状況において、現実的な対策を打てる状態
・社会的健康:他者や社会とポジティブな関係を築ける状態
・人間的健康:生きがいを持ち、積極的に自らの人生を選べる状態
厚生労働省は、2000年に「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を発表し、職場におけるメンタルヘルスケアの方針を定めました。
その中には、従業員のセルフケアや、管理監督者による職場環境の改善などが盛り込まれています。事業者は、全ての労働者が心の健康を保てる仕組みづくり(メンタルヘルスケア)を実施する必要があります。
出典:休養・こころの健康|厚生労働省
職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~|厚生労働省
マインドは知性や好みなど意識的部分を指し、「マインドセット」など考え方に関連する表現で使われます。メンタルは精神全般を指し、ストレス対策やケアの場面で使われます。
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