「兼ねてより」の意味や読み方とは?
話し言葉では気になりませんが、「かねてより」という言葉は、漢字では「兼ねてより」、「予てより」と表記されます。ここでは「かねてより」の使い方や意味、漢字を使う「兼ねてより」と「予てより」の違いについて解説します。
読み方と意味
「兼ねてより」は、上記で説明したとおり「かねてより」と読みます。みなさんは、この「兼」という漢字には、どのような意味があると認識していますか? 多くの人は、「兼」の字が「兼業」や「兼任」などで使われているように、「二つ以上のものをあわせる」、「かねる」という意味を思い浮かべるのではないでしょうか。
「兼」という漢字は、「二つ以上のものをあわせる」、「かねる」の他に、「前もって」という意味もあります。今回解説する「兼ねてより」に使われる「兼」の意味は、「前もって」のほうなのです。
「兼ねて」と「予て」の違いとは?
会話で「かねてより」を使う場合は、特に漢字を気にする必要はありませんが、メールや手紙の場合は、「兼ねてより」と「予てより」のどちらを使うのが正しいのでしょうか。相手に対して失礼にならないように、また、誤解を招かないように、しっかりと理解しておきたいものですね。
「かねてより」を文書で使う場合は、「予てより」を使うのが一般的です。「予てより」の「予」は、「以前に」、「前に」、「前もって」の意味を持ちます。
先に説明した「兼ねてより」の「兼」という漢字も、「前もって」という意味があるのですが、「二つ以上のものをあわせる」、「兼ねる」という意味も持っていますよね。このような理由から、「かねてより」の漢字表記としては「兼」よりも「予」のほうが使われる傾向にあるのです。
ビジネス等で使う時の注意点
ビジネスで「かねてより」を使う場合は、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。
「かねてより」と同じように使われている言葉として、「かねてから」というものがありますが、実はこれは誤用とされています。理由は、「かねて」という言葉が「以前から」という意味を持つためで、「かねて」に「から」を付け加える「かねてから」は、重複表現となってしまうというのがその理由です。
その考えでいくと、「かねてより」も重複表現だと思われるのですが、この「かねてより」という言葉は、平安時代から使われていたという理由で、許容されているのです。
厳密には上記のようなルールがあるのですが、普段の会話では「かねてから」という言葉も一般的に使われています。ですが、正式な場や年配者との会話では、「かねてから」は使わないほうが無難と言えるでしょう。
また、メールや手紙を書く場合、説明したとおり「兼」の漢字を使っても間違いではありません。ただし、ビジネスの場で、相手に意図を伝えるには「兼」よりも「予」を使ったほうが、より正確に伝わるので、「予てより」もしくはひらがなで「かねてより」とするほうがいいでしょう。
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使い方を例文でチェック
次に具体的に「かねてより」の使い方を例文でチェックしていきましょう。
「かねてよりお願いしております」
取引先との会話で、「かねてよりお願いしております〇〇の件ですが」というような使い方がされます。以前から依頼していた件について話をする時に、度々登場するフレーズです。少し形式ばった表現なので、メールなどの文章に使われることが多いようです。
「かねてより親交のあります」
何かについて人選するタイミングなどで、「その件につきましては、かねてより親交のあります〇〇氏にお願いするつもりでおります」というように使われます。「以前からよく知っている」、「以前から親交がある」という意味です。