中国語を勉強するならぜひ知っておきたい動詞の “おもしろさ”
中国語を勉強し始めたとき「なんておもしろいの」と心踊った (!) ことのひとつに動詞の使いかたがありました。
「動詞の使いかた」だなんていうと文法の教科書のようですが、まったくそんな堅苦しいものではなく、どちらかというと「言葉遊び」のようなニュアンス。
今回はそんな印象に残った、機内編動詞を4つご紹介します。
1. 吃藥(Chī yào) → 薬は飲むものではなく食べるもの
日本では薬は「飲むもの」ですが、中華圏では薬は「食べる」もの。「薬を飲む」は「吃藥 (薬を食べる)」となり、「薬飲んだ?」は「你有吃藥嗎 (薬食べた?)」となります。
機内で急患が出たとき、状況確認のために「普段飲んでいる薬はありますか?」という質問をすることがあるのですが、そんなときも「平常有吃什麼藥嗎 (いつも食べている薬はありますか)?」という訊きかたをします。
2. 開燈 (Kāi dēng) → 電気はつけるものではなく開くもの
日本では電気は「つける」ものですが、中華圏では電気は「開く」もの。「電気をつける」は「開燈 (電気を開く)」となり、また反対に「電気を消す」は「關*燈 (電気を閉じる)」といいます。(台湾では「関」よりも「關」が一般的)
薄暗い機内で読み物をしているお客さんを見かければ、「我來幫你開燈喔 (電気お開きしますね)」といって頭上のライトをおつけします。
3. 住飯店 (Zhù fàn diàn) → ホテルは泊まるものではなく住むもの
日本ではホテルは「泊まる」ものですが、中華圏ではホテルは「住む」もの。「ホテルに泊まる」は「住飯店 (ホテルむ住む)」となり、「いつも泊まるホテル」は「平常住的住飯店 (いつも住むホテル)」といいます。
機内で入国カードを書くときに「現地滞在先の住所がわからない」というお客さんがいれば、「今晚要住哪一家飯店呢 (今夜はどこのホテルに住むの)?」と訊き、その名称を書くようにお伝えします。
4. 倒水 (Dào shuǐ) → 水は注ぐものではなく倒すもの
日本では水はグラスに「注ぐ」ものですが、中華圏では水は「倒す」もの。「水を注ぐ」は「倒水 (水を倒す)」となり、「お水を一杯ください」は「幫我倒一杯水 (お水を一杯倒してください)」となります。またこれは水に限ったことでなく、「倒杯蘋果汁 (リンゴジュースを一杯注ぐ)」、「倒杯紅酒 (赤ワインを一杯注ぐ)」など、飲み物すべてに共通する動詞。
そのため新人のころ、先輩が「ドリンクの準備を始める」という意味で「好, 那我們來倒飲料喔 (あて、みんなで飲み物倒すわよ)!」といっているのをはじめて耳にしたときには「ど、どういうこと?!」とひとまずまわりがどのように動くのかをよく観察したことを覚えています。
英語を勉強していたときは、haveやらgetやらtakeやら「も〜、よくわからない!」と投げやりになった思い出がありますが、なぜか中国語のときは不思議と言葉に潜むユーモアのようなものを心から楽しむことができました。
そしてこの私が感じたユーモアのセンスというのは、台湾人をはじめとする中華系の人々の会話力やコミュニケーション力というところにしっかりと現れている気がするのです。
【続】
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ライター
有田 千幸
外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経てライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。中医薬膳師。家庭薬膳アドバイザー。@chiyuki_arita_official