短気は損気の意味とは?
「短気は損気」の読み方は、“たんきはそんき”です。短気を起こすと結局は自分が損をするという意味で、一時の感情にかられて行動するのはよくないということを伝えています。言葉の由来は江戸時代の劇場で演じられていた「浄瑠璃(じょうるり)」です。
ここでは、この言葉の由来や、短気を起こすと本当に損なことがあるのか解説します。
言葉の由来は「浄瑠璃」
短気は損気の由来は、江戸時代に演じられていた「浄瑠璃」です。浄瑠璃とは三味線を伴奏にしながら語る物語で、江戸時代に広く親しまれていました。
【短気は損気】
短気を起こすと、結局は自分の損になる。「損気」は「短気」に語呂を合わせたもの。短気をいましめた言葉。
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
近松門左衛門が作った浄瑠璃の演目のひとつ「冥途の飛脚」の中に“短気は損気の忠兵衛”という表現が登場します。飛脚の忠兵衛は短気な性格であり、そのせいで身を滅ぼしてしまうという物語です。
短気は損気は本当?
そもそも、短気を起こすとなぜ損なことがあるのかが気になるところです。まず、すぐに短気を起こして怒っていると、体調に問題を起こしやすくなります。また、些細なことですぐに短気を起こしていては、人間関係を悪化させることにもなるでしょう。
短気な人が損をする健康上と人間関係上の理由について、2つご紹介します。
短気は体調を崩す
いつも短気を起こして怒っている人は、体調を崩しやすくなります。怒ると自律神経のバランスが乱れやすくなるからです。怒りの感情は交感神経を刺激し、副交感神経とのバランスを崩します。
そのような状態が慢性化することで、体がさまざまな不調を起こしやすくなります。短気は「健康状態を害する」という損気につながるのです。
短気は人間関係を悪くする
短気は人間関係にも悪影響を及ぼします。いつも短気を起こしている人のそばにいたいと思う人はあまりいないでしょう。
何かあればすぐ短気を起こされては、気分がよくありません。人間関係が悪くなり、自然と周りに人がいなくなってしまう可能性もあります。大切な友人を失ってしまうかもしれません。短気は人間関係においても損気といえます。
短気は損気の例文
短気は損気はどのような場面で使うのか、例文をいくつか見てみましょう。
例文
・短気は損気ということだし、できるだけ感情はコントロールしたほうがいい。
・彼はなにかというとすぐに怒りだすので、短気は損気という言葉を思い出した。
・たとえ理不尽なことが起こっても、短気は損気と思って我慢したほうがいい。
・ついカッとなって声を荒げてしまったが、それ以来周りの対応が変わり、短気は損気だと実感した。
・子どもの頃から親に短気は損気と言われてきたので、些細なことでは感情を乱すことはない。
短気は損気の類語
短気は損気は、同じような意味の言葉がいくつかあります。「急いては事を仕損じる」「急がば回れ」といった言葉です。短気を起こすか、慌てて急ぐかという行動の違いはありますが、いずれも落ち着いて物事にあたることが大切であることを示しています。
短気は損気と似た言葉について、詳しくご紹介しましょう。
急いては事を仕損じる(せいてはことをしそんじる)
焦って行動するとかえって失敗しやすく、急いだことが無駄になるという意味です。急いでいるときこそ、落ち着いて行動するべきと戒めています。
短気は損気と比べると「短気を起こすこと」と「急ぐこと」の違いがありますが、どちらも「落ち着いて行動するべき」という教訓が込められています。
例文
・急いては事を仕損じるともいうことだし、このプロジェクトは慎重に進めたい。
・問題の解決を急ぎたい気持ちはわかるが、急いては事を仕損じるよ。もう少し原因の追究に時間をかけたほうがいい。
急がば回れ(いそがばまわれ)
急いでいるときほど慎重に行動するべきという意味です。何事も急ぐと失敗しやすく、遠回りになっても確実な道を選ぶほうがよいことを表しています。
「ゆっくり行動する」という意味ではなく、時間はかかっても丁寧に行う方がかえって効率が良くなり、結果的に大きな成果を生むということです。
例文
・遅刻しそうなので近道を通ろうとも思ったが、急がば回れで慣れている道を選んで正解だった。
・小手先のテクニックを使うよりも、急がば回れで確実な勉強法を選ぶほうが合格しやすい。
短気は損気の対義語
短気は損気には対義語もあります。主なものに「先んずれば人を制す」「急(せ)かねば事が間に合わぬ」という言葉があげられます。どちらも急ぐことで物事が順調に進むという意味です。
「短気を起こすこと」と「急ぐこと」の違いはありますが、急ぐことを推奨するという意味で、短気は損気とは反対の意味合いになります。
ここでは短気は損気の対義語として、「先んずれば人を制す」を詳しくご紹介します。
先んずれば人を制す(さきんずればひとをせいす)
先んずれば人を制すとは、人よりも先に行動すれば有利な立場に立てるということを表しています。
後手に回るとと不利になるという意味でもあります。急ぐことをすすめる言葉で、「落ち着いて行動すべき」とする短気は損気とは反対の意味になるといえるでしょう。
例文
・先んずれば人を制すという言葉もあることだし、会議の準備は早めにしたほうがいい。
・いいアイデアが浮かんだら、先んずれば人を制すではないが、すぐに行動を起こすことを心がけている。
短気は損気は戒めの言葉
短気は損気は、短気を起こすと結局は自分が損をするということを表す戒めの言葉です。短気を起こさず、感情をコントロールするべきことを伝えています。短気は実際に体調不良や人間関係の悪化を生み出す可能性があるため、いいことがありません。
短気は損気にはいくつかの類義語や対義語もあります。それぞれの言葉が持つニュアンスを把握しながら、上手に使い分けてみてください。