「謹んで」とは敬意を表す言葉!例文をご紹介
「謹んで(つつしんで)」とは、相手への敬意を示す言葉です。もともと、「謹む(つつしむ)」とは、相手への敬意を持ち、恭しい態度でかしこまって接するという意味があります。
例えば、相手に意見をするのはおこがましいと考えられるとき、また、相手に気軽な気持ちで話しかけているのではなく、敬意を持っていることを示したいときには「謹んで」という言葉を添えましょう。
「謹んで」の意味を考えると使いづらそうな言葉に感じるかもしれませんが、そうではありません。実際のところ、「謹んで」は次のパターンで使うことが多いので、例文を覚えておけば簡単です。
〈例文〉
・謹んで新年のお慶びを申し上げます
・謹んでお悔やみ申し上げます
・謹んでお詫び申し上げます
・謹んでお受けいたします
それぞれの例文のパターンを紹介します。
■謹んで新年のお慶びを申し上げます
新年の挨拶をするシーンでは、「謹んで新年のお慶びを申し上げます」というフレーズが使われることがあります。ほぼ決まり文句のように使うので、パターンとして覚えておきましょう。
「謹んで新春のお慶びを申し上げます」は、目上の方や取引先の方などに口頭で挨拶をするときだけでなく、年賀状にも使えます。ほかにも、「謹んで新春のお慶びを申し上げます」「謹んで新春のご祝賀を申し上げます」などのように、使うことがあります。
■謹んでお悔やみ申し上げます
お葬式やお通夜などのシーンでは、「謹んでお悔やみ申し上げます」というフレーズが使われることがあります。これも新春の言葉と同じく、決まり文句として使うので、パターン化して覚えておきましょう。
また、お葬式では、「謹んでご冥福をお祈り申し上げます」とも伝えることができます。目を伏せがちにして話すなど、故人への弔意を示しつつお悔やみを伝えましょう。
■謹んでお詫び申し上げます
目上の方やビジネス関係で迷惑をかけてしまったときは、「謹んでお詫び申し上げます」というフレーズで謝ることができます。
「ごめんなさい」や「失礼しました」では、少しぞんざいで軽い印象を与えてしまうため、「謹んで」を使って丁寧に謝罪する気持ちを伝えましょう。
例えば、システムにトラブルが生じたときや、悪天候により物流に影響が生じて配送が遅れたときなど、必ずしも自社に責任があるというわけではないケースもあります。
そのような場合でも、顧客に迷惑をかけてしまったことに対しては、お詫びが必要です。「謹んで」を使って、済まなく思う気持ちを表現してください。
■謹んでお受けいたします
相手からのオファーを受けるときは、「はい、わかりました」「了解です」「かしこまりました」でも良いのですが、それでは相手に対する敬意が伝わりません。
相手に敬意を示しつつ、オファーを受けたことを示すために「謹んでお受けいたします」と丁寧に伝えましょう。
また、受賞したときも「謹んでお受けいたします」と答えるほうが、謙虚な気持ちを示せます。周囲の協力があったからこそ受賞できたという気持ちが伝わるため、賞の主催者に対する敬意だけでなく、周囲の人々に対する敬意も示すことが可能です。
「謹んで」と「慎んで」の違い
「謹んで」と同じ発音の言葉に「慎んで」があります。「慎んで」とは次の意味を持つ言葉です。
【慎んで】:意味
・自分の行動が行き過ぎたものにならないように自制する
・間違いを犯さないように注意する
周囲を慮って遠慮しているニュアンスは、「慎んで」と「謹んで」は同じです。しかし、相手への敬意があるかどうかという点が「謹んで」と「慎んで」では異なるため、正しく使い分けるようにしましょう。
「謹んで」の類語の使い方を例文でご紹介
「謹んで」と類似する意味を持つ言葉としては、次のものが挙げられます。
・恐縮ながら
・畏みて(かしこみて)
・心より
いずれも、相手に対して敬意を示すときや、控えめな行動をするときに使うことが多い言葉ですが、ニュアンスは少々異なります。それぞれの使い方を例文を通して説明するので、適切に使い分けるようにしましょう。
■恐縮ながら
相手に対して「ありがたい」「申し訳ない」という気持ちを持っているときには、本題に入る前に「恐縮ながら」という言葉を使うことがあります。なお、「恐縮する」とは、ありがたさや申し訳なさから身のすくむような思いをすることです。
相手に対しての感謝や謝罪の気持ちを示すときには、「恐縮ながら」以外にも「恐縮ではありますが」「恐縮ですが」と使うこともあります。いくつか例文を紹介します。
・今回は恐縮ではありますが、ご利用いただけません。申し訳ございません。
・恐縮ながら、この度の辞令をお受けいたします。
・本当に恐縮ですが、失礼させていただきます。また、改めてご挨拶申し上げます。
■畏みて(かしこみて)
「畏みて(かしこみて)」とは、相手に対して恐れ多く思う気持ちがある様子を示す言葉です。少し固いニュアンスのある言葉ですが、相手に対する敬意を示す表現として覚えておきましょう。いくつか例文を紹介します。
・この度は本当にありがとうございました。畏みて、お礼を申し上げます。
・ご希望に添えず、ご迷惑をおかけいたしました。畏みて、お詫びを申し上げます。
・畏みて、課長の拝命を受けさせていただきます。
■心より
「心より」とは、本心からであることを示すための言葉です。言葉はすべて本心からであることが前提となっていますが、あえて「心より」と付け加えることで、本気の気持ちが伝わりやすくなります。
・心よりお礼申し上げます。
・心よりお詫び申し上げます。
なお、本心からの言葉を示すために「心から」と表現することもあります。「心より」よりは口語的なニュアンスとなるので、気軽なシチュエーションで使いましょう。
適切なシチュエーションで「謹んで」を使おう
相手への敬意を示すシチュエーションでは「謹んで」を使いましょう。紹介した4つのパターンを覚えておくと、適切な状況で適切に使いやすくなります。
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