順延
「順延」は、期日を順繰りに先延ばしにすることを意味します。「留保」との大きな違いは、先延ばしにする対象が「期日」にあるという点です。
会議や催し物などの日程を先へずらす場合は、「留保」ではなく「順延」がより適しています。日常生活では、下記のように「雨天順延」と用いるケースも多いでしょう。
・当日の天候次第では雨天順延とします。
・運動会は悪天候のため、翌週火曜日に順延となった。
・楽しみにしていた野球観戦だったが、突然の雨により順延となった。
延期
「延期」も「順延」と同様、期日を伸ばすことを意味する言葉です。また、物事の期限を延ばす際にも適しています。そのぶん用途は幅広く、日常生活はもちろんビジネスシーンでも活用できます。
・議事録の作成が追い付かず、提出期限を延期してもらった。
・仕入れの都合で納期が延期されたようです。
・予定していたミーティングですが、先方都合で今回は延期いたします。
・新商品の発売日が延期された。
・楽しみにしていたイベントが1週間延期になってしまった。
先送り
「先送り」とは、物事の解決を先延ばしにすることです。「留保」や「順延」、「先送り」とは、物事の処理を対象とする点に大きな特徴があります。
そのため、以下のような仕事上の課題、解決すべき問題などを先延ばしにする際は「先送り」という表現が適しています。
・合併するか否かの問題は、結論をもうしばらく先送りさせてほしい。
・答えを先送りにしてばかりではいつまでも解決しない。
猶予
「猶予」とは、物事を実行する日時を延ばすことです。また、実行をぐずぐずと引き延ばすという意味合いもあります。
ニュースなどで見聞きする言葉に「執行猶予」がありますが、これは刑の執行を一定期間延ばすことを意味しています。ぐずぐずと先延ばしにしている場合ではない、と言う意味合いから以下のように「一刻の猶予も許さない」と用いるケースも多いでしょう。
・彼には執行猶予3年の判決が下った。
・長年の問題解決に向け、もはや一刻の猶予も許されない。
・誠に申し訳ないのですが、数日の猶予をいただけますか。
棚上げ
「棚上げ」は、物事を一時的に未解決のままにしておくことです。あえて処理をせず、そのままにしておくという点に「留保」との違いがあります。
また「棚上げ株」のように、需要調整のために一時的に商品を市場に出さないことも意味しています。
・コストの関係で問題は棚上げになったままだ。
・先方との交渉は依然、棚上げになっている。
・討論を重ねたものの結論は棚上げになった。
「留保」や「保留」と反対の意味をもつ言葉とは?
物事を一時的にとどめおく「留保」や「保留」と反対の意味をもつ言葉には、「決定」が挙げられます。
「決定」とは、物事をはっきりと決めることです。決められた内容そのものを指す場合もあります。
例えば、「プロジェクトの可否を留保する」に対し、「プロジェクトの開始が決定された」のように反対の意味で使用できます。「決定」の類語に決断や断定などがあることからも、「留保」とはまったく異なる意味をもつ言葉といえるでしょう。
「留保」の正しい意味を知りビジネスシーンで活用しよう
「留保」は、物事をすぐ行わず、一時的に差し控える際に用いる言葉です。似た言葉に「保留」がありますが、「留保」の場合は悪い結果を招かないよう、目的をもって差し替えるという違いがあります。
また、「留保」にはさまざまな類語や言い換え表現があり、それぞれ少しずつニュアンスが異なります。その場に応じた表現ができるよう、それぞれの言葉への理解を深めビジネスシーンで活用していきましょう。
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