仕事を効率化する工夫
個人が取り組みやすいワークライフバランスは、業務の効率化です。業務時間が短くなり余計な残業がなくなれば、働きすぎによるストレスを回避できます。
業務内容によるものの、個人でできる工夫には、ITツールの導入や作業内容・手順の見直しがあります。
単調で時間のかかる作業は、ITツールで効率化が可能です。業務伝達と情報共有をチャットで行うのも時短になります。作業手順を効率化するには、不要タスクの洗い出しが有効です。
メンタルヘルスケアを取り入れる
ストレスをため込みすぎたまま放っておくと、身体的・精神的に深刻なダメージを受けます。ダメージは仕事の失敗や後れを生み、さらにストレスを抱える悪循環に陥るかもしれません。
ダメージを減らしてワークライフバランスを実現するには、自分にとって負担の大きい仕事や家事などに対処する必要があります。
仕事なら、自分一人では難しい内容を手伝ってもらえないか、同僚や上司に相談してみましょう。家事の場合は、可能ならパートナーにもっと分担してもらうか、外注化、タスクの見直しがおすすめです。セルフケアや、外部の相談機関のカウンセリングを受けるといった方法もあります。
国や企業によるワークライフバランスの取り組み
個人でできるワークライフバランスの取り組みには、国や企業の制度を活用することも挙げられます。育児・介護のための休業制度など、ワークライフバランスに役立つ法律や制度を知って、うまく取り入れましょう。
育児・介護のための休業制度
「育児・介護休業法」は、育児・介護と仕事を両立させるための法律です。たとえ企業の就業規則になかったとしても、企業はこの法律で定められた権利を守らなければいけません。
正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」で、育児や介護、子どもの看病を理由にした休業制度など、さまざまな制度や措置が含まれます。
例えば、育児休業制度の基本条件は以下の通りです。
〈対象者〉
原則として、1歳に満たない子どもを養育する男性・女性労働者(日雇い従業員を除く)
〈利用期間・回数〉
・休業期間は、基本的に子どもが1歳になる誕生日の前日まで
・適切な理由がある場合は、最長で2歳までの延長が可能
・回数は、1歳未満の子ども一人につき2回まで
また、父親も育児休業しやすくするための「産後パパ育休」、両親がともに育児休業をするときに要件を満たせば延長できる「パパ・ママ育休プラス」などもあります。
バイトやパート、短時間勤務の人でも利用が可能です。細かい例外もあるので、詳しく知りたい場合は公式リーフレットを確認しましょう。
参照:育児休業制度のリーフレット|厚生労働省
介護休業制度のリーフレット|厚生労働省
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 | e-Gov 法令検索
育児・介護のための短時間勤務等の措置
育児・介護休業法には、育児・介護のための短時間勤務制度なども定められています。主な対象は、3歳未満の子どもを持つ人や、要介護状態の家族を持った人です。
介護者向けの「短時間勤務等の措置」を例にすると、基本条件は次のようになります。
〈対象〉
・要介護状態の家族を持った男性・女性労働者
・要介護状態とは、何らかの理由で2週間以上の常時介護を必要とする状態
〈対象となる家族〉
・事実婚を含む配偶者
・父母、または義父母
・子、孫
・祖父母
・兄弟姉妹
〈利用期間・回数〉
対象家族1人当たり、利用開始の日から3年以上の期間で2回以上
事業主は、短時間勤務制度・フレックスタイム制度・時差出勤の制度・介護費用の助成措置のうち、1種類以上を用意しなければなりません。詳しい内容は公的機関のサイトでチェックしましょう。
参照:短時間勤務等の措置について|介護休業制度|厚生労働省
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 | e-Gov 法令検索
テレワーク制度
コロナ禍以降、テレワーク勤務も珍しくなくなりました。ワークライフバランスに役立つ働き方として、国はテレワーク制度の導入を推奨し短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワークを追加しています。
テレワークは、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務(施設利用型勤務)の総称です。
モバイルワークは、特定の場所に縛られない勤務形態です。外回りの多い営業職や、顧客先に長時間滞在するような職種に向いています。
サテライトオフィスは、会社のオフィス以外に勤務スペースを用意する形態です。どの形態も場所や時間の制約が緩やかで、育児や介護などと両立しやすい働き方として注目されています。
自分に合ったワークライフバランスを探そう
仕事は生活を支える重要な柱です。しかし、あまり仕事に偏った不健康な生活をすると、そのうち体や心に限界がきてしまいます。ワークライフバランスは、長く働き続けるためにも大切な考え方です。
人によっては「ワークライフバランスなんて取り入れる余裕がない」と思うかもしれません。初めから完璧を目指すのではなく、仕事や生活を効率化するツール・サービスを始めるのも一つのやり方です。どうすれば自分が楽になるか考えてみましょう。
メイン・アイキャッチ画像/(c)AdobeStock
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