「この業務の“たてつけ”を見直した方がよさそうです」——そんなアドバイスを受けたことはありませんか? ビジネスシーンで意外と頻繁に登場する「たてつけ」という言葉。しかし、正しく理解して使いこなしている人はどのくらいいるでしょうか?
この記事では、「たてつけ」の意味や実際の活用方法をできるだけわかりやすく解説します。業務の改善やトラブル防止にも役立つ情報ですので、ぜひ読んでみてください。
ビジネスで使われる「たてつけ」の意味とは?
ビジネスの現場で、「組織のたてつけ」という表現が使われることがありますが、具体的な意味を理解している人は意外と少なくないかもしれません。まずは、「たてつけ」の意味から確認していきましょう。
「たてつけ」の意味は? 「組織のたてつけ」と言う場合「建て付け」と「立て付け」、どちらの表記が正しい?
まずは、「たてつけ」について辞書で意味を確認しましょう。
たて‐つけ【建(て)付け】
1 戸や障子などの建具の取り付け、またその開閉のぐあい。「ドアの―が悪い」
2 物事の仕組み。枠組み。「法律の―」「組織の―」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
もともと、建具が枠にしっかりと収まる具合を指していた「建て付け」。もともとは建築の用語として使われていました。今では、ビジネスにおいて業務の仕組みや組織の構成を表す言葉として使われています。
また、「組織のたてつけ」を漢字で表記する場合は「建て付け」と書くことがわかりました。「立て付け」と書いてしまうと、「物事を立て続けに行うこと」を指し、意味が変わってしまうので注意が必要です。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「建て付け」と類似用語|スキームや座組みとの使い分け
「建て付け」に似た言葉に、「スキーム」や「座組み」があります。これらの違いを理解することで、より適切なコミュニケーションが可能になるでしょう。それぞれ見ていきましょう。
「建て付け」と「スキーム」の違い
まずは、スキームの意味を辞書で確認しましょう。
スキーム【scheme】
計画。企画。体系。枠組み。
[補説]英語では、謀略、陰謀の意味もある。
引用:『デジタル大辞泉』
「スキーム」は、計画や構想を指す言葉です。まだ具体化していない段階で使われることが多いでしょう。一方、「建て付け」は既に存在する業務の仕組みや構成を示します。例えば、新しい業務手順を考える段階では「スキーム」を使い、既存の手順を見直す際には「建て付け」を使うといいでしょう。
「建て付け」と「座組み」の違い
こちらも、まずは「座組み」の意味を辞書で確認しましょう。
ざ‐ぐみ【座組(み)】
1 演劇、見世物、寄席などの、一座の出演者の組織や構成。
2 企画や事業などに関わる人々。プロジェクトのメンバー。また、その構成。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「座組み」は、人員配置やチームの構成を指します。業務の仕組みよりも、誰がどの役割を担うかに焦点を絞ります。「建て付け」は業務の流れや仕組み自体を示すため、目的が異なります。人に関する話題では「座組み」、業務の構成については「建て付け」というように使い分けるといいでしょう。
「建て付け」を使った具体的な例文を紹介
ビジネスシーンにおいて「建て付け」という言葉は、業務の仕組みや組織の構成を指す表現として活用されています。この言葉を活用することで、業務改善や組織運営の課題を的確に伝えることができるでしょう。以下では、「建て付け」を使った具体的な例文を紹介します。
「現状の組織の建て付けだと、顧客のニーズに対応するのが難しいため、チーム構成を再編する必要があります」
この例文では、組織構造が顧客対応に適していないという課題を指摘しています。「建て付け」を使うことで、組織全体の仕組みが問題の原因であることを強調しています。特に、部門間の連携が不足している場合や、役割分担が曖昧な状況で活用できる表現です。
「この提携を成功させるためには、双方の役割分担や利益配分の建て付けを明確にしておくことが鍵になります」
この例文では、事業提携やアライアンスを進める際の重要なポイントを述べています。「建て付け」を使うことで、役割を決めるだけでなく、提携の根幹となる仕組みそのものを慎重に設計する必要性を説いています。具体的な利益配分や責任範囲を明確にすることで、提携の円滑な進行が期待できるでしょう。
「現行の業務フローの建て付けを見直し、効率化できる部分を洗い出すことで、無駄を省く計画を進めています」
この例文では、業務改善の取り組みについて説明しています。「建て付け」という言葉を使うことで、業務フロー全体の設計や構成に焦点を当てていることが伝わるでしょう。特に、冗長なプロセスや重複したタスクが業務の妨げとなっている場合に、「建て付け」を見直すことが有効な解決策であることが伝わります。
最後に
「建て付け」という言葉は、業務の仕組みや構成を簡潔に伝える便利な表現です。その意味を正しく理解し、適切に使うことで、業務の効率化やトラブルの防止につながります。また、類似した言葉との違いを把握することで、より正確なコミュニケーションが可能になります。ぜひ日々の業務で活用してみてください。
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