自己中とは
日本人は強調性があり、自己主張が控えめな傾向があるといわれていますが、職場やグループの中に、1人や2人は「自己中な人」がいるものです。では、よく使われる「自己中」とはどんな性格の人を指すのでしょうか?
自分中心に考えること
「自己中」とは「自己中心的」の略で「物事を自分中心に考えること」を意味します。「あの人は自己中だ」「自己中な発言をする」など、人の性格や行動に対して気軽に使っていますよね。
集団生活においては、他人の立場や心情に配慮しながら行動するのが通常です。しかし自己中な人は、自己中心性バイアス(他者の感情を自分勝手に判断すること)に陥り、他者の視点や他人の心・意図・欲求を推測する能力が不足している場合、また自分と違う価値観があることを理解してない場合が多く見られます。自分の利益だけを追求したり、一方的に意見を主張したりすることもあります。
日本人の生活では「集団行動」が多く、子どもの頃から「協調性」を求められます。異なる立場や価値観の人が互いに助け合ったり、譲り合ったりしながら生きる社会において、自分中心にしか物事が考えられない人は、自身が生きにくいだけでなく、マイナスのイメージをもたれかねません。
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長所にもなるがバランスに注意
自己中は長所になることもあります。自己中な人は、見方を変えれば「自分の価値観や世界を大切にしている人」といえます。他人の意見に振り回されない精神的な強さをもっていたり、たとえもっていなくてもそのように周囲に思わせることができるため、夢や成功をつかみやすいともいえます。自分への自信にあふれているように見えるのも、自己中な人の特徴のひとつです。
自己中という性格が短所になるか長所になるかは、その人しだい。どうしても譲れないところははっきりと主張しつつも、他の部分は他者の意見を尊重するなど、「バランス」を保つことが大切です。
自己中になる原因
人の性格の土台は、子どもの頃に形成されるといわれています。もともとの気質もありますが、自己中になってしまう原因は、育った環境や周囲の大人たちの態度が関係しているかもしれません。
厳しくされすぎた
幼少期に、親や周囲の大人たちに厳しくしつけられてきた人は、その反動で自己中になる場合があります。「あれはダメ、これもダメ」とダメダメばかりを言う親の元で育つと、子どもは「自由にやりたい」という願望を押し殺すことになります。こうしたタイプの人は、親元を離れてから人が変わったようにわがままにふるまうことがあります。
また、甘えが許されない厳格な家庭において、子どもは「自分は愛されていない」と感じる場合があります。「無視される」「存在を認められない」ということは精神的に大きなストレスになり、精神崩壊を引き起こす原因になることもあります。よって、その回避のために「自分をもっと見てほしい!」という強い思いが爆発し、自己中になってしまう場合も。
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甘やかされすぎた
逆に、幼少期に甘やかされて育った人も自己中になることもあります。両親はもちろん、兄や姉、祖父母などからちやほやされることで、どんどんわがままになってしまうケースも。特に、末っ子やひとりっ子の自己中にはこのパターンがみられるようです。
これは、先に挙げた「自己中心バイアス」というものが働き、自由にされたからこそ相手の心情を理解する教育がされていなかったことが大きな原因として考えられます。
その結果、社会人になっても他人に迷惑をかけ続けてしまいがち。こうしたタイプの人は、大人になってから上司に厳しく言われることに耐えられなかったり、グループの中で浮いてしまったりという経験につながっていきます。
自己中な人の特徴
自己中な人にはいくつかの共通点があり、コミュニケーションの場や他人との交流の場面で、その特徴が顕著に表れます。自分や周りの人にあてはまる点がないかチェックしてみましょう。
空気が読めない
「空気を読む」とは「その場の雰囲気から状況を察すること」を意味します。コミュニケーションの場では、相手との関係性や会話の流れによって自分の発言や態度を変えるのが通常ですが、自己中な人には、それができないということも。
発言を控えたほうがよい場面でも、自分の主張を繰り返し、周囲をしらけさせてしまいます。例えば、会話の流れをさえぎって自分の話をする人や、他人のプライベートにズカズカと踏み込んでくる人も「空気が読めない人」の代表格です。
本人も自覚がない場合や、わかっていても「どうしたら空気が読めるのかわからない」ということもあるようです。
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