栄養豊富なかぼちゃの別名「南瓜」
冬至の七草のうち、特に冬至にふさわしい食材とされているのが「南瓜」すなわち「かぼちゃ」です。南瓜の「南」を「陽」と捉え、運気が「陰(北)」から「陽(南)」へ向かうとして好んで食されました。また、かぼちゃは栄養価の高い食材であることもポイント。カロテンやビタミンA、B群を多く含み、風邪や中風(脳血管疾患)予防に良いと言われます。かぼちゃは本来夏の食材ではありますが、適切に保存すれば2~3か月は保存できます。験担ぎとして、あるいは貴重な栄養源として、冬至にかぼちゃを食べる習慣が定着したと言われています。
邪気払いに良いとされる小豆
冬至の七草以外では、小豆も冬至にふさわしい食材とされます。古来より、小豆の赤い色は邪気を祓う効果があると信じられてきたので、運気が好転する冬至に最適だったのです。小豆を使ったメニューとしては、「冬至粥」がよく知られています。これは小豆をベースにしたお粥で、かぼちゃを加えていただくこともあります。
かぼちゃのいとこ煮レシピ
冬至の定番メニューとして、「かぼちゃのいとこ煮」をいただく地域もあります。
いとこ煮とは「硬いものをおいおい(甥)入れて、めいめい(姪)炊き込んでいく」という調理法から名付けられた料理。必ずしもかぼちゃと小豆に限るわけではなく、ほかの食材を合わせるケースもあります。神様への供物を集めて煮たことから生まれた料理で、お祝い事や祭礼の際に食されるのが一般的です。かぼちゃのいとこ煮は冬至のメニューとしてもふさわしいので、ぜひ食卓に並べてみてはいかがでしょうか。詳しいレシピをご紹介します。
材料はシンプル
基本的な材料は、次の通り。この材料で約4人分のいとこ煮ができます。
・かぼちゃ:約350~450g(1/4個)
・ゆで小豆(缶詰):100~200g
・砂糖:大さじ1/2~1
・塩:小さじ約1/4
・しょう油:小さじ1
・水:150ml~1カップ
このときのゆで小豆は、加糖されたものを選びましょう。また、砂糖や塩、しょう油などは好みで増減してもOKです。
作り方も難しくない
基本的な料理工程は、かぼちゃをゆでて、ゆで小豆を加えるだけ。手間もかからず、忙しいワーママにもおすすめできます。
1. かぼちゃのわたと種を取る
2. 一口大にカットする
3. 鍋にかぼちゃを入れて水を加え、しょう油以外の調味料を入れる
4. 強火で一煮立ちさせる
5. 落としぶたをして弱火にし、中火で柔らかくなるまで5~10分煮る
6. ゆで小豆を加えてしょう油を入れて混ぜる
7. 弱火で約3分煮る
このほか、ゆで小豆を別に温め、柔らかくなったかぼちゃにかけるレシピもあります。どちらも手間はさほど変わらないので、好みのレシピを選んでくださいね。
冬至にはゆず湯に入る風習も
冬至の定番の風習といえば「ゆず湯」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
寒い季節は、温かいお風呂を心地良く感じるもの。しかしなぜ、冬至にゆずを入れる習慣が定着したのでしょうか?「冬至にはゆず湯」と言われる由来や、ゆず湯の楽しみ方を紹介します。
ゆずを入れる意味
ゆず湯に入ることは「禊(みそぎ)」の意味合いが強いとされます。大切な儀式などの前には、まず身を清めるのが習わし。それと同じで、昔の人は翌日からの陽の気を取り込むには、冬至に身を清めることが必要と考えました。また一般に、香気の強いものは香りで邪悪なものを遠ざけると言われます。冬が旬で香りの強いゆずは、邪気払いにはふさわしいとされていたのです。加えて、ゆずは「実がなるまでに長い年月がかかる」という特徴があります。ゆず湯には「長年の苦労が実りますように」という願いも込められているそうですよ。血行促進や冷え性の緩和、風邪予防や美肌も期待できるとされているので、寒い冬にゆず湯に入るのは、健康にも役立つと言われています。
季節の行事を親子でいっしょに学べる絵本形式の実用書です。ものごとの由来やしきたり、遊び方、箸の持ち方、衣服のたたみ方など、行事を子育てに役立てるコツを豊富なイラストで楽しく紹介。文化と愛情を伝える「行事育」が手軽に実践できます。
和文化研究家
三浦康子
古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店) ほか多数。
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