「拝見する」は「見る」をへりくだった表現にした謙譲語です。
Summary
- 「拝見させていただく」は、「拝見」と「させていただく」が謙譲語のため二重敬語になる
- 正しくは、「拝見します」や「拝見しました」、「拝見させてください」など
- 「拝見」の類語には、「拝聴」や「拝読」、「拝受」などがある
「拝見させていただく」は誤り?
丁寧な言葉遣いを心がけねばならない場面で、正しい表現の選び方にとまどうことってありますよね。その中でも「拝見させていただく」という言葉の使い方について、疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな「拝見させていただく」の使い方や類語などについて解説します。
まずは「拝見する」の意味を改めてチェック
「拝見する」は、「見る」の謙譲語です。「見る」をへりくだった表現で、主語は自分や自分側の人など。社外の人との会話では、社内の人間も主語になります。
「拝(はい)」という漢字は頭を垂れて敬礼すること、おがむことを意味します。自己の動作に「拝」を冠することによって、謙譲の意を表すことになるのです。
ビジネスシーンでは「拝見」のほかに、「拝聴」や「拝読」などもよく使われますね。


(c) Adobe Stock
▼あわせて読みたい
「拝見させていただく」は二重敬語
ここで注意したいのが「拝見させていただく」という使い方です。前述のとおり、「拝見」は自分の行動をへりくだって言う謙譲語。さらに、「させていただく」という謙譲語が付くことで、敬語表現が重なってしまうため「拝見させていただく」は二重敬語になります。
最近では、「拝見させていただく」という言葉もよく見受けられますが、これは二重敬語であり、「しつこい」と感じる人もいるかもしれません。ビジネスの場では、「拝見します」を使ったほうがいいでしょう。
「拝見」に続く正しい敬語
「拝見」の正しい使い方をマスターすると、「拝聴」や「拝読」のように応用でき、ビジネスマナーが重んじられる場でスマートな立ち振る舞いができます。普段から使っている人も、今一度確認しておきましょう。
先ほどの「拝見させていただく」は、「拝見する」が正しい使い方です。会話の中では、「拝見します」や「拝見しました」のように使います。
同じようなシーンで使われるフレーズに、「見させていただく」があります。これは文法上間違いではありませんが、人によっては違和感を覚える場合も。「見る」という言葉に対しては、「拝見する」という表現が存在しますので、こちらを使うほうが確実でスマートですね。

「拝見させていただく」という言葉も見受けられますが、二重敬語であるため「拝見します」や「拝見しました」を使いましょう。
相手が上司の場合は?
相手が上司の場合は、丁寧かつ適切な表現を心がけることが重要になります。
自分から上司や目上の人に資料などを渡して確認を依頼する場合、「ご確認いただけますか?」や「ご一読いただけますか?」などと表現することができます。
反対に、上司や目上の人から自分に渡された資料などを見る場合、「拝見します」や「確認いたします」と伝えるといいでしょう。

上司に確認を依頼したい場合は「ご確認いただけますか?」や「ご一読いただけますか?」などの表現を使いましょう。
▼あわせて読みたい
「拝見」の正しい使い方と例文
「拝見」という言葉はビジネスシーンで頻繁に登場しますので、普段から積極的に使って慣れておくといいでしょう。スマートに使いこなせると、ビジネスマナーに長けた常識ある人物という評価と信頼を得ることができます。
では、実際に例文で「拝見」の使い方を確認してみましょう。

(c) Adobe Stock
「拝見しています」
「拝見しています」は、たとえば資料やホームページなどを見ながら話をする場合に使うといいでしょう。「見ています」よりも丁寧な印象を相手に与えます。逆に相手に見てもらいたいときは「〇〇ページをご覧ください」というように使ってみてくださいね。
例文
・御社のホームページを拝見しています。こちらの商品の在庫はございますか?
「拝見し」
これから見るとき、将来見るときに使います。クライアントから資料を受け取ったときには、このフレーズが使えますね。「拝見」は、自分の物や情報を見る、または見てもらう際には使いません。「私の書いた資料を拝見してください」といった言い方は避けましょう。
例文
・いただいた資料を拝見し、社内で検討いたします