【目次】
・「人生うまくいかないことばかり…」その原因って?
・人生がうまくいかないときに試したいこととは
「人生うまくいかないことばかり…」その原因って?
ネガティブ思考に陥っている
何をやってもうまくいかない、不安なことが頭から離れない、このような状態はネガティブ思考に陥っている可能性が。
心理カウンセラー吉野麻衣子さんによると、このネガティブ思考はさらなるネガティブ思考を引き起こし、悪循環を作り出してしまうと言います。
「ちょっと専門的なお話をしますが、マイナス思考とは、ブリティッシュコロンビア大学のソフィア・フラングー教授らの研究によって解明されています。脳には様々な部位と働きがありますが、その中でも『下前頭回・頭頂葉皮質、島皮質、被殻』は、考えや感情のコントロールに影響を及ぼす脳回路になります。この脳回路の働きが悪くなり、一方で『左扁桃体』という〝戦うか、逃げるかの反応を司る場所〟 の働きが活発になると、感情的な思考がコントロールできない上に、同じことを繰り返して考えたり、ネガティブな思考にとらわれるという研究結果が出ています。
つまりは、考えや感情のコントロールに影響を及ぼす脳回路の働きと、左偏桃体の働きが活発になる事で感情的な思考のコントロールが難しくなり、マイナスな思考にとらわれてしまうのです。この繰り返しから、失敗や自信を失う行動をさらに引き起こし、その悪循環によって、ますます思考がマイナスになってしまいます」(吉野さん)
理想が高い
人生うまくいかない…と感じる人の中には、理想が高すぎる故、本当はとても恵まれているのにそれに気づいていない可能性も。
吉野さん曰く、最近はネットなどで目が肥えすぎてしまい、自分の基準値が上がっている人が多いのだそう。
「年齢と共にいろんな人を見て、目が肥えてきます。特に最近はネットなど、情報ツールが増えたことにより、従来では見ることのできなかった人やモノ、経験など、さらに視野が広がっています。
しかしながら、あまりに目が肥え過ぎてしまい、それが自分自身の中では基準値となっていってしまうことから、周囲から〝その人のレベルが見合っていないし、その人自身の現実が分かっていないのに、高望みしている(=理想が高い)〟 と思われてしまうことに。
また、自分自身の自己肯定感が低く、自信がない場合も、理想を高くして自分のレベルに見合わないものを手に入れる(恋人、結婚相手、身に着けるものなど)ことで、自分のレベルの低さを誤魔化して解決させようとする事も多々あります」(吉野さん)
他人と比較している
人が落ち込むのは「他人と比較して自分が劣っていると感じたとき」だとよく言われます。
他人と比較してばかりいると、自分よりも優れた人を見つけるたびに落ち込み、自分を信じられなくなってしまいます。
そして自分が持っていないものにばかり目がいき、今あるものへの感謝ができなくなり、自分の置かれた状況を嘆いたり、自己嫌悪に陥ってしまうのかもしれません。
期待値が高い
臨床心理士の吉田美智子さんによれば、そもそも「うまくいかない」と感じるのは、「期待と結果のギャップ」があるときだそう。
「わたしたちが『うまくいかない』と感じるのは、期待と結果にギャップがある時です。自分なりに気遣いや努力を重ねたら、よい結果につながったり、努力が実ったりして欲しいと思うのは当然のことです。でも、残念ながら、自分だけではどうにもならないことがあり、期待が裏切られると『うまくいかない』と感じるのですね。つまり、『うまくいかない』と感じるのは自然なこころの動きなんです」(吉田さん)
もし「うまくいかないことばかりだ…」と感じてしまうのなら、期待値が高すぎたり、「こうであるべき」というような思い込みがあったりするのかもしれませんね。
マイナスな部分にばかり目を向けている
(C)Shutterstock.com
自分には「いいところはない」「自信をもってできることがない」、など「ない」ところや「できない」ところにばかり見ていませんか?
マイナス面ばかり見ていると、これがそのまま結果の差になってしまいます。
また、否定形の言葉が口癖になっているのも原因かもしれません。
メンタルコーチの飯山晄朗さん曰く「大脳生理学的に脳は『思い』よりも『言葉や動作』をより強く記憶するという特徴があるため、マイナスの言葉を多用していればその分、脳が『できない』を記憶して、自己肯定感が低くなっている可能性があります。」とのこと。
人生うまくいかないのは、こうした行動により自己肯定感が下がっているのが原因になっている可能性もありそうですね。
人生がうまくいかないときに試したいこととは
自分らしくないことは思い切ってやめてみる
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人生うまくいかないと感じる人は、思い切って自分らしくないこと、ストレスになっていることをやめてみてはいかがでしょうか。
最初は勇気がいりますが、自分らしさを封じ込めている現状を変えることで、これまでうまくいっていなかったことが一変し、道が開ける可能性も十分にあるのではないでしょうか。
今あるものに目を向けてみる
ないものにばかり目を向けず、まずは今あるものに感謝してみてはいかがでしょうか。
例えば、スポーツの試合で自分のチームが負けたとしましょう。マイナス面ばかり見ている人は、「自分には能力がない」「あのチームには勝てる気がしない」と考え、ますます自信を失い、できない自分を作り上げます。
しかしプラス面に目を向けられる人は、「もっと自分の能力を伸ばすチャンスだ」「試合でうまくできないところがわかった」などと捉えます。
視点を変えるだけで、物事や自分に対する見方を変えることができるのです。
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こうしたプラス面に目を向けるために、まずは口癖を変えることが重要だとメンタルコーチの飯山さんは言います。
変えたい口癖:「自分なんて〜」
「『自分なんて何にもできない』『自分なんてこんなものだ』という言葉は物事をすぐに諦めてしまう人の典型的な口癖です。物事のマイナスの側面ばかりを見てしまって不安や不満といった否定的な感情になりがちなので、対処法としては、マイナス面を一旦受け入れて、それから『だからこそ』と考えてマイナス面のプラスになる部分を見つけます。
『いつも自分がどう思われているか気になって仕方がない』という場合には『だからこそ、場の空気を的確に読むことができるんだ』など。『だからこそ』を使うことで、どんなマイナスだと思うことでも、そのマイナス面のプラスの側面を見つけることが可能です。」(飯山さん)
変えたい口癖:「〜すべきだ」「普通は〜だ」
「友人にこうなってほしい。社員にこうなってほしい。子どもにこうなってほしい。このように、人に変わってほしいと願っている人が多いですね。ただ、なかなか自分の期待どおりに人は変わりませんし、それは当然です。
なぜなら人は皆、自分の価値観を持っているからです。相手には相手の世界がある。このことを認めようとせず、『普通こうするでしょう』『こうあるべき』などと、自分の価値観が正しいと思って正論を振りかざすと、相手と衝突してしまいます。
まずは相手を認め自分が変わればいい。『すべきこと』など本来ありません。『人は変わらないものだ』と考えて、自分を変化させていきましょう。」(飯山さん)
変えたい口癖:「〜してはいけない」
「『〇〇してはいけない』と言うと、『〇〇してしまう』ことがよく起こります。ダイエットのために『おやつを食べてはいけない』と言われると逆に食べたくて仕方なくなるものです。なぜ、そうなるかというと、脳は否定形の言葉をイメージするのが苦手だからです。『〇〇してはいけない』と言われると、逆に〇〇の部分を強くイメージしてしまうのです。ならばどうすればいいのか。それは脳が否定形の言葉のイメージが苦手なので、逆に肯定形の言葉を使えばいいのです。
『焦っちゃいけない』なら『落ち着いていこう』。『お菓子を食べてはいけない』なら『野菜を食べよう』。肯定形の言葉はプラス感情を生み出してプラス思考にさせます。『〇〇してはいけない』ではなく『〇〇しよう』の心がけが大事です。」(飯山さん)
変えたい口癖:「〜をしたい」
「『〇〇をしたい』という言葉には『条件が整ったら』という言い訳が入っています。この逃避の思考パターンは意識して変えないと、繰り返してしまい、いつまでも『したい』ことは達成できません。意識して『〇〇をする!』と決めて行動するようにしましょう。
ポイントは『ワクワクする』ことです。成功するからワクワクするのではなく、ワクワクしながら取り組むから成功するのです。誰から言われなくても行動し続けることができるのは、取り組むことにワクワクしているから。すべては『する』と決めることから始まります。するという勇気を持ち、ワクワクしながら取り組めるようになりましょう。」(飯山さん)
変えたい口癖:「すみません」
「謝罪の場面では必要な言葉ですが、自分が悪いことをした訳ではないとき、些細なことで『すみません』と口癖のように反射的に言ってしまう人がいます。例えば、エレベーターを降りるときに開くボタンを押してくれたときに『すみません……』と言ってしまうことありませんか?
そうではなく『ありがとうございます』と意識的に変えてみてはいかがでしょうか。感謝の言葉を口にすると、脳幹から『ドーパミン』や『エンドルフィン』といった報酬系のホルモンが分泌されることがわかっています。この報酬系ホルモンが分泌されると、脳が快反応を起こし肯定的な状態になります。そうするとパフォーマンスも向上するわけです。
ほかにも日常のあらゆるところに感謝のタネはたくさんあると思います。
・朝起きることができてありがとう
・ご飯を食べることができてありがとう
・苦難や逆境になってありがとう
すべて『ありがとう』です。えっ、最後のありがとうはちょっと……。でもよく考えてみると、あのときの苦難や逆境が自分を成長させてくれた。という例はたくさんあります。」(飯山さん)
負のスパイラルから抜け出す
人は何か良くないことが起こると、過去の経験から答えを導こうとします。しかし、臨床心理士の吉田さんによれば、過去の失敗や悪いことを思い出すことは負のスパイラルを生むのでやめるべきだと言います。
「人はなにか悪いことが起きると、過去の自分の体験(データベース)を検索する性質があります。それはなにかよい解決方法や対処方法を見つけ出すことが目的なのですが、過去の悪いことを検索すると必然的に、その当時の困った気持ち、怒りや悲しみと言った〝 負の感情〟を思い出すことに。 すると『自分はこんな目に合う運命なのかも』『結局全て自分が悪いのかも』というようなネガティブな気持ちにつられがちに。つまり、自分を助けようとして行う行為が、逆効果になる。これが、負のスパイラルを生み出すと考えられます」(吉田さん)
「困ったことが起きたときには、過去の自分のデータベース検索は避けましょう。
また、『いつもこうなる』とか『あの時と同じ』などと問題を膨らませてしまうのもNG!問題を〝 単体〟で対処することを心がけてみてください。そして、〝また失敗する(悪いことが起きる)〟のように心配になってしまう時もあると思います。これも、〝予期不安〟と言って、事前に予測を立てて問題を防ごうとする人の心の働きなのです。が、実のところ、ただ不安を大きくするだけで役には立たないことがほとんどです。
〝不安になっているな〟→〝この不安は役には立たないから、ちょっと置いておこう〟と脇にどけられると気持ちが楽になりますよ」(吉田さん)
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