「不束者ですが」を使うときの注意点
「不束者ですが」は、自分や身内をへりくだるときに使う表現です。そのため、他者に対して「不束者ですが」を使用することはできません。
取引先や目上の人を「不束者ですが」と他者に紹介することは失礼にあたります。あくまでも自分や自分の部下に使用する言葉であることを覚えておきましょう。
ただし、あまりにも多用すると「自分に自信がない人」とネガティブな印象を与える可能性もあります。初対面の挨拶や目上の人に指導を仰ぐときなど、必要なシーンを見極めて正しく使用することが大切です。
「不束者ですが」と言われたときの返し方
あわせて注意したいのが「不束者ですが」と相手が挨拶してきたときの答え方です。相手がへりくだって挨拶してきたときは、自分も同様にへりくだる表現を用いるのが無難です。「こちらこそ若輩者ですが」や「未熟者ですが」のように、「不束者ですが」の類語を用いて挨拶をしましょう。
例文:
・こちらこそ若輩者ですが、一生懸命にサポートさせていただきます。
・こちらこそ未熟者ですが、頑張って参りますので、よろしくお願い致します。
・こちらこそ気が利かないことも多いと思いますが、最後までよろしくお願いいたします。
・こちらこそ至らないところがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
「不束者ですが」の英語表現とは
「不束者」の英語訳は「inexperienced person」です。「inexperienced」には、「無経験な」「不慣れで」「未熟で」といった意味があります。
しかし、英語圏では、自分を謙遜する言い回しを用いることが少ないです。ビジネスシーンで「不束者ですが」と伝えると、「自分に自信がないのだろうか」とネガティブに捉えられる可能性もあります。
「不束者ですが」とあえて自分をへりくだるときは、次のようなフレーズが適しています。
・I have no manners at all, but~
・I’m not much good at anything, but~
「have no manners」はマナーが悪いこと、「not much good at」は不得意なことを意味する英語表現です。
「不束者ですが」と英語で挨拶したいときには、それぞれのフレーズを使用し以下のように表します。あくまでも、英語圏では主流な表現ではないことも、あわせて覚えておきましょう。
・I have no manners at all, but please be kind to me.
(不束者ですが、よろしくお願いいたします)
・I’m not much good at anything, but I hope you will make something of me.
(まことに不束者ですが、何分よろしくお願いいたします)
「不束者ですが」の正しい使い方をマスターしよう!
「不束者ですが」は、「自分は未熟者ですが」とへりくだった表現です。自分や身内に適した言葉のため、取引先や目上の人を「不束者ですが」と紹介することはできません。かつては結婚の挨拶で女性側が使うことの多いフレーズでしたが、実際には男女とも使用できます。
ビジネスシーンの挨拶に用いられることも多く、新入社員が自分を紹介するときにも活用できる言葉です。類語とともに「不束者ですが」の正しい使い方をマスターし、大人のマナーを身に付けていきましょう。
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