2. 謝罪の気持ちを表す場合
謝罪の気持ちを表す場合の「ひとえに」は、自身や自分が属する会社などに付けます。「ひとえに」は「他に原因や理由がないさま」を表すため、原因や責任はすべてこちらにあると非を全面的に認める言葉でもあるのです。
「ひとえに」の後に、「不徳のいたすところ」と付ける場合もあります。「不徳」とは、「人間として常識が欠けている」という意味であり、自分が人として未熟であったことがミスの原因であることをお詫びすると同時に、反省を表す言葉です。
「ひとえに」を謝罪で使う場合は、「ひとえに私の過失でございます」、「ひとえに弊社のミスです」など、原因を述べた後に必ず「弁解の言葉もございません」、「心よりお詫び申し上げます」と、謝罪の言葉も述べるようにしましょう。
もしくは、「責任は自分のみにあり、他の人は頑張ってくれた」という意味で、「ご協力いただいた皆様には、心より感謝いたしております」と、感謝の気持ちを述べる場合もあります。
謝罪の気持ちを込めた例文
・これはひとえに弊社のミスであり、弁解の言葉もござません。
・今回のイベントで予算達成できなかったのは、ひとえに営業本部長の私の責任です。この日のために日々尽力してくれた皆さんには、心から感謝しています。
・今回の不祥事は、ひとえに店長である私の監督責任です。心よりお詫び申し上げます。
「ひとえに」の2パターンの類語
「他に理由はない」という意味の「ひとえに」の類語として、「専ら(もっぱら)」、「主に」、「一途に」が挙げられます。「ただそのことだけをする」の類語あれば、「ひたすら」、「ただただ」です。それぞれの意味の類語を例文を交えてご紹介します。
1.「他に理由はない」意味の類語
「他に理由や原因がない」の意味としての類語は「専ら(もっぱら)」、「主に」、「一途に」が挙げられます。
「専ら(もっぱら)」
そのことばかりに集中して打ち込むさまや、ある一つのことだけを主とするさまを表します。
・休日は専ら趣味のハイキングに出かける。
・専ら練習に励む。
「主に」
色々とある中で、中心であるものやこと、大部分を指します。
・私の仕事は主にお客様へ最適なプランをご紹介することです。
・主に野菜を食べています。
「一途に」
それ以外には目もくれない様子や、長い期間を表します。
・彼の研究が成功したのは、一途な思いが報われたからだろう。
・彼女は彼を一途に愛している。
2.「ただそのことだけをする」意味の類語
「ただそのことだけをする」という意味の類語には、「ひたすら」、「ただただ」があります。
「ひたすら」
他のことは無視して、その事柄だけに集中し、すべてを注ぎ込む様子を意味します。
・足が痛くても、息が切れても、私はただひたすらに走り続けた。
・この冬休みは、受験に備えてひたすら勉強する日々だった。
「ただただ」
「ただ」を強めて言う場合に使い、それだけで他ではないことを表します。
・私は彼に言葉をかけることができず、ただただそこに立っているだけだった。
・この絵画はただただ見事という他はない。
「ひとえに」の英語表現3パターン
「ひとえに」をそのまま表現する英単語はないため、「ひとえに」を英語で表現する際は、意味に含まれる単語である「全て」や「理由」と言った単語を組み合わせます。「理由がただひとつ」、「ひたすらそれだけをする」、「謝罪」のそれぞれの英語表現を例文を用いてご紹介します。
1.「理由がただひとつ」を表す場合
「理由がただひとつ」という意味で、英語で「ひとえに」を使う場合は、「全て」を表す「all」、「entirely」、「totally」、「wholly」と、「理由」を表す「beacause of」、「due to」、「thanks to」を組み合わせます。
もしくは、「~がなければ成しえなかった」という意味で「without~」を使う場合もあります。
・It is entirely thanks to you, I could make this happen.(実現できたのはひとえにあなたのおかげです。)
・Without your help, I couldn’t have done it.(ひとえにあなたの助けのおかげで、私はできました。)
2.「ひたすら」を表す場合
英語で「ただひたすらにそのことをする」という意味での「ひとえに」を表すには、「all the time(ずっと)」、「spend most of the time 〇〇ing(ほとんどの時間を〇〇してすごす)」を使います。
・I spend most of my time practicing.(ひとえに練習をしていた)
・Last summer, I spent most of the time swimming in the pool.(去年の夏は、ひとえにプールで泳いでいた)
3.「謝罪」を表す場合
謝罪の意味で「ひとえに」を表すのであれば、謝罪の意を強調する副詞である「sincerely」を使います。
・I sincerely apologize for causing such a big trouble to you.(ご迷惑をおかけしてしまったことを、ひとえにお詫び申し上げます。)
・I sincerely apologize for our mistake.(弊社の過失の件について、ひとえにお詫び申し上げます。)
「ひとえに」は感謝と謝罪で使う言葉
「ひとえに」は、「原因や理由が一つだけである」、「そのことだけをする様子」の、2つの意味があります。ビジネスの場でよく用いられるのは「原因や理由が一つだけである」という意味です。
「今回のプロジェクトが成功したのは、ひとえに皆様のご尽力のおかげです」と、「ひとえに」の後に相手を付けると感謝の言葉になりますが、「ひとえに部長である私の責任です。」のように、自身に付けると謝罪の言葉になります。
感謝と謝罪、どちらの場合も「ひとえに」を付けることで、より強い気持ちを伝えることができます。やや堅い言い回しであるため日常生活で使うことは少ないですが、ビジネスの場で相手に感謝、謝罪をする場合はぜひ使いましょう。
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