「忖度」のシーン別の使い方と例文
「忖度」が使える主なシーンは以下の4つです。
1. 相手を思いやる
2. 相手の気持ちを推察する
3. 不確かな根拠を信じる
4. 背景を推し量る
それぞれのシーンごとに「忖度」のニュアンスが異なります。ここではシーン別に「忖度」の使い方と例文を説明します。使いたい場面で適切に表現できるように、ぜひ参考にしてください。
1. 相手を思いやる
「忖度」は相手を思いやる場面で使えます。「忖度」と「思いやり」は似ている言葉ですが、感情が強くこもっているかといった違いがあります。「忖度」は「相手の様子から気持ちや意図を考えて行動する」という意味です。
一方、「思いやり」は「相手の立場になり、相手の気持ちに配慮すること」を表します。どちらかというと「思いやり」の方が感情がこもった表現です。
相手への思いやりを表す「忖度」の例文をご紹介します。
・妻を忖度して誕生日プレゼントを選ぶ。
2. 相手の気持ちを推察する
相手の気持ちを推察する場面には「忖度」が適しています。「推察」のほか、「見当をつける」「想像する」と言い換えるとわかりやすいでしょう。「忖度」を使うと「相手の状況を見て、相手の胸の内を考えること」を表現できます。
相手の様子などから相手の気持ちを考え、何らかのアクションを起こす際に使える「忖度」の例文をご紹介します。
・私は彼に忖度して行動する。
3. 不確かな根拠を信じる
「忖度」は不確かな根拠を信じる際に使える言葉です。確信を持っていないものの、相手の様子などから仮定した根拠をもとに行動するようなケースです。例えば具合が悪そうな相手に対し、「早く帰ってゆっくりするほうがいいよ」と提案する場面が挙げられます。
根拠がはっきりしない場合に相手を配慮する際は、以下の例文を参考にしてください。
・部下へ忖度して早退するように勧めた。
4. 背景と結論をまとめて表現する
「忖度」は、自分の行動について、行動に至った背景や結論をまとめて伝える際に使う言葉です。例えば「彼に忖度して行動した」と言うと、「彼が望んでいたことを推察した結果、そのような行動を起こした」といったニュアンスが伝わります。つまり、「彼の思いを推し量ったうえでの行動であること」を「忖度」の一言にまとめられます。
背景や結論をまとめる際の「忖度」の例文をご紹介します。
・社長に忖度して他社に提携の話を持ちかけた。
「忖度」の7つの言い換え表現
「忖度」には似たような意味を持つ言葉があります。代表的な言い換え表現は以下の7つです。
1.「推測」
2.「憶測」
3.「推察」
4.「臆説」
5.「お気遣い・お心遣い」
6.「斟酌」
7.「慮る」
「忖度」と言い換えられるものの、表現ごとに伝わるニュアンスが異なります。立場やタイミングに適した表現を使えるように、「忖度」の言い換え表現を確認しましょう。
1.「推測」
「推測」は「データや資料などの情報に基づいて推し量ること」を意味します。ビジネスシーンで多用されるため、聞き馴染みがある人は多いでしょう。「相手はこう考えているのではないか」と推し量ることを表す点は「忖度」と同じです。
ただし、「推測」は客観的に物事を見るニュアンスを含みます。自ら物事をよく考えて判断を下す際には適していますが、「忖度」のように「相手への思いやり」といった意味はありません。
「推測」の使い方の例をご紹介します。
・証拠から事故の原因を推測する。
・売上データを見ると、今期も継続した利益が見込めると推測できます。
2.「憶測」
「憶測」は「人や物事について深く考えず、いい加減に推し量ること」を表す言葉です。根拠はなく、想像や予想に基づいて意見を述べる際に多用されます。
「忖度」と同様に「相手の感情を察すること」を表せますが、「憶測」の方が主観が強く抽象的な表現です。データに基づいて憶測する場合は「推測」、より人の気持ちにフォーカスして推し量る場合は「推察」に言い換えられます。
「憶測」を使った例文には以下が挙げられます。
・彼は憶測でものを言うので真に受けてはいけません。
・次のリーダーは誰になるのかについて、さまざまな憶測が飛び交っています。