3.「推察」
「推察」は、人を対象として「事情や心中を推し量ること」を意味する言葉です。すでに把握している事実や状況から相手の気持ちを考えて配慮を示す際に、「忖度」の言い換え表現として使えます。
また、ビジネスシーンでは「ご推察のとおり」といった形で使用するケースもあります。「ご推察のとおり」は「そのとおり」を意味する慣用表現です。
「推察」を使った例文をご紹介します。
・本件に関しては、おおよその推察がついていました。
・部長の気持ちを推察して、事前に準備をするように意識しています。
4.「臆説」
「憶説」の意味は「根拠なく予想した仮説」です。相手にしか真相がわからないことについて、曖昧な基準をもとに仮説を述べる点は「忖度」も「憶説」も変わりません。そのため、相手の事情や気持ちを察する際は「忖度」の代わりに「憶説」と言い換えられます。
ただし、親しい相手に対しては多少なりとも理解が深いと考えられることから、「憶説」よりも「忖度」が適しています。
「憶説」を使った例文は以下を参考にしてください。
・ただの憶説にすぎません。
5.「お気遣い・お心遣い」
「お気遣い・お心遣い」は、どちらも「配慮や心配り」を示す表現です。丁寧さを表す接頭語「お」が付いているため、敬語として目上の人にも使えます。配慮が伝わる点は「忖度」と似ていますが、「お気遣い・お心遣い」は相手から自分に対する行動に対して使う言葉です。
一般的には「お気遣いありがとうございます」「お心遣いありがとうございます」といった形で、相手がしてくれた配慮に対する感謝を伝える際に使います。
「お気遣い・お心遣い」を使ったその他の例文をご紹介します。
・どうぞ、お気遣いなく。
・お気遣いに感謝します。
・お心遣いに感謝申し上げます。
6.「斟酌」
「斟酌(しんしゃく)」は「忖度」と同じく、「相手の心情を汲み取ること」を意味する言葉です。「忖度」との違いは、相手の気持ちを考えたうえで実際に行動に移すかどうかです。
「忖度」は行動を伴わず、「あなたの気持ちを理解しています」といった姿勢を見せる際に使用します。一方、「斟酌」は心情を汲み取った結果、手加減したり言動を控えめにしたりといった行動を起こすことまでを含みます。
「斟酌」を使った例文を確認しましょう。
・斟酌を加えて採点した。
・景気の現状を斟酌して生産高を調整する。
7.「慮る」
「慮る(おもんぱかる)」は「思いはかる」の読み方が変化した言葉です。そもそも「思いはかる」には「考えを巡らせる」といった意味があります。「忖度」と同様に、「慮る」は相手の気持ちを踏まえたうえで行動する際に使える表現です。
ただし、「忖度」は相手の心情にフォーカスする言葉ですが、「慮る」は自分の考えを深く巡らせるといったニュアンスがあります。
「慮る」を使った例文には以下が挙げられます。
・部長の事情を慮って、今夜の食事会は延期にします。
・明日のミーティングは万一の事態を慮って、違う対応も検討して臨みましょう。