問題を明らかにして解決法を考える
事例を決めたら内容を読み込み、何が問題になっているのかを明らかにします。事例の背景を洗い出し、問題の原因を考えましょう。
問題が発生した理由を多面的に検討し、複数の問題点を抽出します。その中で最も解決すべき問題を特定しましょう。問題を特定したら、それに対する解決法を考えます。さまざまな解決策を検討し、最も効果的だと思われる手段に絞り込みましょう。
結論から学ぶ
解決策を決めて結論を導いたら、ほかのメンバーと意見を共有します。解決までの過程は第三者に説明してもわかるよう、整理しておくのがおすすめです。整理する過程で新たな気づきや、よりよい解決策が見つかるかもしれません。
事例に対する解決策はひとつではなく、ほかのメンバーの結論を通して、さまざまな観点からの問題解決を学ぶことができますよ。
ケーススタディを用いる場合の注意点
ケーススタディを用いる際には、いくつか気をつけたいポイントがあります。これらを意識することで、ケーススタディをより効果的に活用できるはずですよ。
バイアスに注意
ケーススタディの分析では、個人的な経験や偏見が結果に影響を及ぼす可能性があります。分析にあたっては、自分の先入観や偏りを意識し、公平で客観的に事例を評価することが大切です。そうすることで、より正確で信頼性のある結論を導き出すことができますよ。
現実的な事例を選定する
ケーススタディでは、実際の仕事やビジネスでよくある状況や、問題を取り上げることが大切です。あまりにも特殊な事例では、学んだことが実際の業務で役立ちにくくなる可能性があります。そのため、現実のビジネスに近い事例を選ぶようにしたいですね。
議論の幅を持たせる
結論を急がず、まずは複数の解決策やアプローチをじっくりと検討しましょう。一つの方法だけに頼るのではなく、さまざまな視点から問題を考えることで、より広い視野を持つことができます。具体的には、ある問題に対して複数の解決策を比較検討し、それぞれの利点や欠点を把握することで、最適な方法を選び出すことができるでしょう。
ケーススタディに関連する用語
ケーススタディとよく似た言葉に「ケースメソッド」があります。また、ケーススタディ試験、ケーススタディ面接など、ケーススタディと関連する用語もあるので、それぞれ紹介していきましょう。
ケースメソッド
ケーススタディは、特定の事例を詳しく調べ、分析・研究することで、背後にある原理や法則性を探り、一般的な理論を発見しようとする方法のことです。主に研究や分析のために使用され、事例研究法とも呼ばれます。
一方、ケースメソッドは、ケーススタディを使って教育や訓練を行う方法のことです。具体的な事例を分析し、それについて討議することで学ぶ教育訓練法で、判例研究などが例として挙げられます。
簡単にいうと、ケーススタディは「事例を研究する方法」で、ケースメソッドは「その事例を使って学ぶ方法」ということになります。
ケーススタディ試験
ケーススタディ試験とは、採用試験や管理職登用試験のうち、ケーススタディを取り入れた試験のことです。管理職登用試験ではリーダーとしての資質を評価するため、トラブルなどの事例をどのように解決するかが問われます。問題を発見して分析する能力や解決力、論理的思考力などが試される試験です。
筆記試験は記述式で行われることが多く、場合によってはグループワークによる議論も採点対象となることがあります。
ケーススタディ面接
ケーススタディ面接とは、採用試験でケーススタディの手法を用いて行われる面接です。企業が出題する事例問題に対して、面接を受ける側が論理的思考力を駆使して解決策を導き出します。
コンサルティング会社でよく見られる面接方法ですが、ほかの業種でも問題解決能力を重視する企業で行われる場合もあるでしょう。
ケーススタディ面接の対策としては、過去に出題された事例の傾向を把握し、必要な知識の習得や模擬試験を行う方法が考えられますね。
最後に
過去の事例に学ぶことは、未来の成功への最短ルートだといえるかもしれません。ケーススタディを通じて得られる洞察や知識は、単なる知識の積み重ねではなく、あなた自身の成長と飛躍のための大切なステップです。課題に直面したとき、自信を持って立ち向かえるようになるために、「ケーススタディ」をあなたの学びとしてみてください。
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