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2024.03.15

【換骨奪胎】←なんて読む?読み方や意味、使い方を解説

換骨奪胎とは「先人の作品からアイデアなどを学び、そのうえで新たなものを生み出すこと」を意味します。由来は中国の道教で、詩の作法として広まったことをきっかけに使われ始めた言葉です。今回は換骨奪胎の意味や誤用表現、使い方などをわかりやすく解説します。

「換骨奪胎」とは他者の作品を元に創造すること

「換骨奪胎」の読み方は「かんこつだったい」で、「奪胎換骨(だったいかんこつ)」と書くこともあります。「他者が生み出した作品を元にして新しい作品を生み出す」という意味があり、肯定的なニュアンスをもつのが特徴です。

ここでは、換骨奪胎の正しい意味や由来、誤用などをわかりやすく解説します。

電球の上を飛び移る人のイラスト

「換骨奪胎」は肯定の意味で使うのが基本

【換骨奪胎:かんこつだったい】
[名](スル)《骨を取り換え、胎(こぶくろ)を取ってわが物として使う意》
先人の詩や文章などの着想・形式などを借用し、新味を加えて独自の作品にすること

(引用 :小学館『デジタル大辞泉』より)

「換骨奪胎」とは、先人が生み出した作品から吸収したアイディアをベースに、独自の要素を加えてオリジナルの作品を創造することです。否定的に使われることもありますが、基本的には肯定の意味で使います。

換骨奪胎はオマージュやインスパイアという言葉を使って言い換えることができ、どちらも対象への尊敬や敬意を含む言葉です。そのため、「すでにあるものから着想を得ただけ」というわけではなく、根底には作品に対する尊敬の気持ちが込められています。

古典を元に新しいものを生み出すこと

上述のとおり、「換骨奪胎」には「古典を元にして新しいものを生み出す」という意味があります。この意味をより深く理解するために、漢字を分解して考えてみましょう。

換骨|骨を取り替えること
奪胎|胎盤を奪うこと

それぞれが転じて、換骨は「他人が作ったものを自分のものに見せかける」、奪胎は「他人のものを取り入れ、新たな作品を自作する」というような意味で使われるようになりました。どちらも他人からの影響を自分の作品に取り入れる点が共通しています。

否定の意味で使われるケースもある

換骨奪胎は新しいものを作り出すという肯定の意味をもちますが、場合によっては否定的なニュアンスで使われることもあります。なぜなら、自分のアイディアを使った作品とはいえ、ベースとなっているのは他人の作品だからです。

創作においては、何もない状態から作品を生み出すのは簡単なことではありません。そのため、過去に他人が作ったものを土台にしていることを批判的に捉える人もいます。

また換骨奪胎のポイントは過去の作品に対する尊敬の気持ちです。ただ作品の真似をして作ったとみなされたものは敬意に欠けるため、批判的に評価されることがあります。

「換骨奪胎」の由来は道教や宋代の詩の作法

換骨奪胎の語源となったのは、中国の道教に伝わる肉体改造法です。「仙人(理想的な修行者)になるためには換骨と奪胎が必要」という教えから、換骨奪胎という言葉が生まれたとされています。

その後、宋代の書物の「冷斎夜話(れいさいやわ)」の中で詩の作法として紹介され、一般的に使われるようになりました。冷斎夜話では、詩人・黄庭堅(こうていけん)が漢文を作る際のアドバイスとして「換骨法」と「奪胎法」を用いたと書かれています。

換骨法は「文章の意味はそのままで単語だけを変えること」、奪胎法は「意味を参考にして創作すること」という意味です。このアドバイスが由来となり、2つの方法を組み合わせて換骨奪胎という言葉が生まれました。

「模倣」は「換骨奪胎」とは違う

何かをそのまま模倣した作品に対して「換骨奪胎」を使うのは誤用です。同様に、「パクリ」「盗作」といった意味で使用するのも適切ではありません。

模倣やパクリなどは、他人の作品を丸ごと真似することや、他人の作品に少しだけ手を加えて新しいものに見せることを指します。既存の作品を作った人へのリスペクトはなく、すでに評価されている作品を自分のものにするような行為です。

その点、換骨奪胎は他人の作品を元にしていますが、単に真似をしているわけではありません。他人のアイディアを取り入れながら、オリジナル性を加えた新しい作品を生み出すというポジティブな意味合いです。

【例文付き】換骨奪胎の使い方

換骨奪胎は、創作された作品について表現する際に使います。ネガティブなニュアンスは込めず、ポジティブな使い方を意識しましょう。

換骨奪胎を使った例文をいくつかご紹介します。

・あれは古典を換骨奪胎した作品です。
・有名な映画を上手に換骨奪胎している。
・彼は著名な作家の作品を換骨奪胎して名作を生み出した。
・気づかないうちに、どうやら私は有名な古典を換骨奪胎していたようです。

電球が光イメージ

換骨奪胎に関連する表現

換骨奪胎には類義語が複数あります。

・温故知新(おんこちしん)
・点鉄成金(てんてつせいきん)
・オマージュ
・リメイク
・インスパイア

また、換骨奪胎には反対の意味をもつ言葉もあります。

・創意(そうい)
・独創性(どくそうせい)

ここでは、換骨奪胎に関連する表現についてご紹介します。それぞれの表現を適切に使えるように、正しい意味を知っておきましょう。

アトリエで絵を描く女性

換骨奪胎の類義語

「温故知新(おんこちしん)」には、歴史などから学んだ事柄に新しい考え方や知識を加えるという意味があります。創作するものに限らず、幅広いシーンで使える言葉です。

「点鉄成金(てんてつせいきん)」は鉄を金に作り替えるというたとえ話で、他人の平凡な作品を立派なものに作り変えることです。「リメイク」は内容はそのままで言葉などを変えることです。

「オマージュ」は芸術や文学において、敬愛する作家や作品に影響を受けて似た作品を創作すること、「インスパイア」には人物や物事に影響されることという意味があります。

どれも「すでにあるものを新たに作り変えること」という点が共通していますが、すでにあるものに対して敬意があるかどうか、また内容がどのぐらい変化しているかといった点においてニュアンスが違うので、その点に気をつけて使い分けましょう。

換骨奪胎の反対語

換骨奪胎の反対語である「創意」は、新しい作品を自分自身の力で作り出そうとする心を指す言葉です。また、「独創性」にはオリジナルの考えを元にして、新しい何かを生み出す能力という意味があります。

創意も独創性も「ゼロから何かを作り出す」という意味合いをもちます。何かに影響されて創作するわけではない点が、既存の作品を元にする換骨奪胎とは異なる点です。

換骨奪胎の意味を正しく覚えよう

換骨奪胎とは、古典を元にしてオリジナル性を加えた作品を生み出すことを意味する言葉です。道教の教えに由来し、宋代の書物で紹介されたことで広く使われるようになりました。

換骨奪胎は他人の作品の影響を受けるものの、ただ真似をするわけではありません。過去の作品を作った人への敬意を込めながら、新たな視点を取り入れて自分の作品を作るのが基本です。

換骨奪胎の意味を正しく理解し、適切な場面で使えるようにしましょう。

虫眼鏡でヒントを探すイメージ

写真・イラスト/(C)shutterstock.com
アイキャッチ・メイン画像/(C)Adobe Stock

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