2.巧妙な方法という意味の類語
「巧妙な方法」という意味に着目した類語には、次のような言葉があげられます。
・錬金術(れんきんじゅつ)
・権謀術数(けんぼうじゅっすう)
・虚々実々(きょきょじつじつ)
「錬金術」とは古代エジプトに始まり、卑金属(水分・炭酸ガスなどにより、たやすくおかされる金属のこと。鉄・アルミニウム・亜鉛など)を貴金属の金に変えようとする技術のことです。これから転じて、ありふれたもの、値打ちのないものを貴重なものに変えるという意味合いで使われます。
「権謀術数」とは人を欺く策略という意味です。特に、組織のなかで自身の地位や評価を上げるための計略をめぐらすといった意味合いがあります。
欺くという点からは、「巧妙な方法」だけでなく「だます」という意味合いも含まれるでしょう。ビジネスや政治などの場面で使われることが多い言葉です。
「虚々実々」とは、計略を尽くし、相手の隙を狙って戦うという意味です。「虚」と「実」には、相手の強い部分である「実」を避け、弱い部分である「虚」を攻めるという意味合いがあります。
遊女が使っていた「手練手管」のテクニックとは
「手練手管」はもともと、江戸時代に遊女が客に用いたテクニックを指した言葉です。「手練手管」による手法は、客を虜にしてつなぎとめるために使われてきました。なかでも高級遊女とされる花魁は、幼い頃から「手練手管」の方法も学んだとされています。
遊女が用いる「手練手管」はさまざまな種類がありますが、そのなかでも代表的な手法を見てみましょう。
焦らす
遊女はすぐに客と親しくなることはなく、なかなか会わずに焦らすという作戦を行っていました。人は簡単に手に入るものよりも、苦労して獲得したものを大事にする傾向があります。そのような心理を利用した手法です。
焦らすことで、「会いたい」「手に入れたい」という気持ちが募ります。手に入りそうで入らない距離を保つことで、客を虜にしてしまうのです。
つねる
「つねる」という行為も「手練手管」のひとつです。久しぶりに来た客などに拗ねて見せ、「どうして来てくれなかったの」とつねることでお客を夢中にさせるのです。
拗ねる行為は「口説(くぜつ)と言います。お客を「それほどまでに自分を待っていた」という気持ちにさせ、「また来たい」「もっと頻繁に通わねば」と思わせるのです。
上手に嘘をつく
遊女がお客をもてなすのは仕事のためで、本気で好きになることはありません。しかし、上手に嘘をついて相手に一筋であると思わせます。それも「手練手管」の手法です。
自分がその客一筋であることを信じ込ませるため、起請誓紙(きしょうせいし)と呼ぶ紙に誓いの言葉を書き、神社に奉納していました。そこまでする行為にお客はだまされ、自分への想いを信じてしまうのです。
手練手管はさまざまな場面で使われる
手練手管は人を巧みにだます手段を表現する言葉です。もともとは江戸時代の遊女がお客をだます手段でしたが、現代ではさまざまな場面で使われます。
あらゆる手を尽くし「だます」という意味合いがあるため、良い意味では使用しません。そのため、手練手管を会話などで使うときは、言葉の意味を理解して正しく用いるようにしましょう。
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