「此方」の基本の使い方は「こちら」
「此方」はこちらという読み方として使うのが基本です。「此方といたしましては」「此方におられるのが」など、特にビジネスシーンで使われることが多いです。
「こちら」という読み方に由来する「こっち」もよく使われますが、どちらかというとくだけたニュアンスをもちます。相手に対する敬意に欠けるため、ビジネスシーンなどの公的な場面で使うのは避けましょう。
「此方(こちら)」を使った例文をいくつかご紹介します。
【例文】
・此方を向いていただけますか。
・此方に来てからもう五年が経ちました。
・此方もご利用されますか。
・此方はいつでも構いません。
・此方が私の母です。
「此方」を使った言葉「此方こそ」「彼方此方」
「此方こそ」は「此方」を使った言葉の一つです。主に相手から謝罪や感謝をされた際に使用され、「自分も同じように思っている」といった意味をもちます。漢字で表記することは少なく、ひらがなで「こちらこそ」と表記するのが一般的です。
【例文】
・此方こそ申し訳ございませんでした。
・此方こそ感謝申し上げます。
「彼方此方」も此方を使った言葉で、複数の読み方があるのが特徴です。
・あちこち
・あちらこちら
・あっちこっち
「彼方此方」は場所や方向を指す指示代名詞です。または、物事の位置や順序が反対になっている様子を表すこともあります。
【例文】
・彼方此方歩き回りました。
・彼方此方から人が来る。
「此方」の類義語と対義語
次に、「此方」の類義語と対義語を見ていきましょう。
「此方」の類義語6つ
「此方」の類義語には以下が挙げられます。いずれも話し手に近い場所を表す言葉です。
・当方
・こちら側
・こっち側
・自分側
・自分の側
・自分の方
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「此方」の対義語は「彼方」
「此方」の対義語は「彼方」です。「此方」と同じく、「彼方」もさまざまな読み方があります。
・あちら
・あなた
・あっち
・あち
「あちら」・「あっち」・「あち」は遠称の指示代名詞です。話し手や聞き手から離れた場所・方向・物について伝える際に使います。
「あなた」には遠称の指示代名詞の他にも意味があり、二人称と三人称の人代名詞としても使用可能です。または、今より以前のことや昔のことという意味もあります。
「此方」のさまざまな読み方を覚えておこう
此方の読み方は「こちら」で、話し手の近くにある場所や物などについて話す際に使う言葉です。話し手自身や話し手の近くにいる人を指す使い方もあります。
こちら以外にもさまざまな読み方があり、それぞれ意味が少し異なります。また、同じ読み方で複数の意味をもつパターンもあるため、正しい使い分け方を知っておくことが大切です。此方の読み方を覚えて、さまざまな用法で使ってみてください。
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