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2024.08.22

ビジネスシーンで耳にする「シーズ」ってどんな意味? 〝ニーズ〟や〝ウォンツ〟との違いは?

価格競争に巻き込まれることがない

メリット1で述べた通り、 「シーズ志向」でできた商品は、その時点ではオンリーワンである可能性が高いです。そのため、参入企業が少なければ価格競争に巻き込まれることがありません。また、消費者に受け入れられれば、少々価格が高くても、売れるケースが多いです。

「シーズ志向」のデメリット

メリットが多いように思える「シーズ志向」ですが、もちろんデメリットもあります。次に「シーズ志向」のデメリットを見ていきましょう。

前例がなく、マーケティングが難しい

すでに述べたように「シーズ志向」でできた商品であっても、売れるには消費者の「ニーズ」と合致している必要があります。そのため、「シーズ志向」とはいっても多少なりともマーケティングが必要ですが、前例がないのが厄介な点。「この商品が受け入れられるのか」、「需要があるのか」といった事前調査が難しいのが実情です。

売れるかわからず、費用が無駄になる可能性がある

「シーズ志向」の最大のデメリットは、市場にない新しいものを提供できたとしても、それが消費者に受け入れられなければ、売れないという点です。その場合、開発にかけた費用や時間が無駄になってしまいます。一言でいえば「シーズ志向」は、ハイリスク・ハイリターンなのです。

ニーズ志向のメリット

「ニーズ志向」にはどのようなメリットがあるのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。

話し合い

(c) Adobe Stock

確実な需要が見込める

ニーズ志向は、消費者のすでに明確に表れている需要に基づいて商品やサービスを開発するため、販売の見通しが立てやすいです。顧客が実際に求めているものを提供することで、売上の安定性が期待できます。新製品やサービスが市場に出た際に、需要が確実に存在するため、在庫のリスクも軽減されるでしょう。

市場調査が容易

ニーズ志向では、消費者のニーズが具体的に把握されているため、ターゲット市場を特定しやすくなります。市場調査やマーケティング活動も効率的に行えますし、消費者の意見やフィードバックを直接反映させることが可能です。これにより、製品やサービスの開発過程で的確なデータに基づいた意思決定ができます。

リスクが低い

ニーズ志向は、既に顕在化している消費者のニーズに応える形で、製品やサービスを提供するため、新規開発のリスクが低減します。市場の反応が予測しやすく、失敗のリスクが少ないため、投資の回収率も高まりますね。また、消費者の需要に合わせて開発するため、製品やサービスの改良も柔軟に行うことができるでしょう。

ニーズ志向のデメリット

「ニーズ志向」にもメリットがある一方で、デメリットがあります。

競争が激しい

ニーズ志向では、既存の消費者ニーズに基づいて商品を開発するため、同じニーズを狙う多くの競合他社と市場で対峙することになります。市場に多数の類似商品が存在するため、差別化が難しく、競争が激化します。結果として、競合他社とのシェア争いが激しくなり、マーケティングやプロモーション費用の増加を招くことがあるでしょう。

価格競争に巻き込まれやすい

同じニーズをターゲットにした多くの類似商品が市場に出回るため、企業間で価格競争が発生しやすくなります。消費者は価格に敏感であり、競争が激化すると価格を下げざるを得なくなる場合があります。この結果、利益率が低下し、長期的な収益性が損なわれるリスクが高まります。価格競争の激化は、ブランド価値の低下にもつながる可能性があるでしょう。

イノベーションが少ない

ニーズ志向では、既存の消費者ニーズに応えることが主な焦点となるため、革新的な商品やサービスの開発が難しくなります。市場のニーズに応じることは重要ですが、新しいアイデアや技術を取り入れる機会が減り、企業の成長や競争優位性の確保に影響を及ぼす可能性があります。イノベーションの欠如は、長期的には市場での存在感を薄れさせるリスクを伴います。

「シーズ志向」で成功した事例

シーズ志向を取り入れている企業は世界中にあります。私たちが生活の中で使っているあの商品も、シーズ志向によって生み出されたものかも? 代表的な事例を紹介します。

iPhoneの成功

Apple社は、高い技術力と革新的なアイデアを基にiPhoneを開発し、2007年に発売しました。タッチスクリーン操作、アプリのエコシステム、洗練されたデザインにより、スマートフォン市場を一変させ、世界中で多くのユーザーに支持される製品となりました。

ソニーのウォークマン

ソニーは、自社のオーディオ技術を活かして、1979年にウォークマンを開発しました。これにより、個人がどこでも音楽を楽しむことができるようになり、音楽の楽しみ方を大きく変えました。ウォークマンは携帯型音楽プレーヤーの先駆けとして世界中で大ヒットしました。

トヨタのハイブリッドカー

トヨタは、独自のハイブリッド技術を用いて、1997年にプリウスを開発しました。ガソリンエンジンと電気モーターの組み合わせにより、燃費性能を向上させ、二酸化炭素排出量を削減しました。環境に優しい自動車として市場に受け入れられ、大きな成功を収めました。

最後に

「シーズ志向」でも消費者の「ニーズ」をとらえたマーケティングが必要です。時代とともに変わるマーケティングの世界ですが、基本となる「シーズ」を理解してビジネスに役立ててください。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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