「鯰」の由来や読み⽅とは?
魚に念じると書く「鯰」。普段、あまり見かけない漢字です。けれども、日本では古くから「鯰」は身近な存在で、特に地震大国日本では、地震の原因だと思われてきたことは、多くの人が聞いたことがあるのではないでしょうか。そこで、由来や特徴、「鯰」の文字が入った有名なものや英語名を紹介しますので、確認しておきましょう。
<由来と読み⽅>
「鯰」の読みは、「なまず」です。「鯰」は鱗がなく滑らかであることから「滑らか」を意味する「ナメ」と、泥や土を意味する「ず(歴史的仮名遣いは“づ”)」で「泥の中の滑らかな魚」が由来であると言われています。
漢字の成り立ちとしては、「鯰」は「ねばる」ことから「念」が使われているが、昔の中国では「粘る」から魚へんに「占」で、「ナマズ」と読みました。それは日本では「鮎(あゆ)」と同じ漢字ですが、現在は日本と同じ漢字「鯰」が使用されています。
「鯰」の特徴
「鯰」は、ほぼ日本全国の淡水域の水底で生息している夜行性の魚です。鱗がなく、平たい頭部と大きな口が印象的で、全身に味覚があり、味蕾が全生物最高数の20万近くある生物であることは、知らない方も多いですね。「鯰」の特徴の中でも、親しみのある特徴を3つ紹介します。
長い口ひげ
「鯰」は幼魚の時は6本、成魚になると4本の長い口ひげが特徴です。ひげと言っても感覚器で、それを使って餌を探します。主にドジョウや小魚、カエルなどを捕食する肉食魚です。また、鯰のような細くて長い口髭のことを「鯰髭」といい、明治時代の役人がよく生やしていたことから、嘲る対象となっていたようです。
釣りやすい魚
「鯰釣り」という言葉が存在するほど、釣りをする人の間では、近年注目されている魚です。ルアーに対する反応が良いこともり、「鯰」専用の道具も開発されています。産卵期の5~7月が釣りのシーズンですが、暖かい場所では通年釣れることも。また、夜行性なので夜釣りが多いようです。
鰻に似た味わい
「鯰」は食べることの出来る魚です。味は鰻に似た味わいで、脂がより乗っています。ただし、生息環境によっては泥臭さが出るのが特徴。代表的な鯰料理は、日本では蒲焼・天ぷら・刺身・汁物で、海外ではソテーやムニエル、フィッシュ・アンド・チップスに使われています。特にベトナムが世界最大の鯰養殖国で、焼き魚や魚醤や和え物として調理されます。
「鯰」の文字が入った有名なものとは?
日本では、古くから「鯰」は神聖な、また特別な力があるものと見られていたこともあり、地域によっては神社に祀られていたり、狛犬が「鯰」のバージョンが存在しています。そんな「鯰」の文字が入る有名な物を4つ紹介します。
鯰尾藤四郎
ゲームやミュージカルなどで有名な「刀剣乱舞」にも、擬人化されて出てくる名刀の1つが、「鯰尾藤四郎 (なまずおとうしろう)」です。鎌倉時代に藤四郎(粟田口)吉光によって作成されたと言われている薙刀直しの脇差で、その姿が鯰の尾のようであったことから、そう呼ばれるようになったと『享保名物帳』に書かれている日本刀です。
最初の持ち主は、織田信長の次男・織田信雄で、その後豊臣秀頼に渡り、大坂夏の陣の落城で共に焼け落ちたものを、再度徳川家康が焼き直しを命じ、現在は徳川美術館所蔵の品となっています。