戸板に豆
「戸板に豆」とは、戸板に豆が転がるように、スムーズに引っかかりなく話す様子を表現する言葉です。「立て板に豆」と同じく、スピーディな印象を与えるので、「立て板に水」よりもさらにすらすらと話しているときにも使えるでしょう。
例文
・百人一首の暗証テストがあるので、戸板に豆のようにすらすらと話せるまで何度も繰り返して唱えた。
・彼女には文句を言わないほうがいい。少しでも逆らおうものなら、戸板に豆のように延々と反論が返ってくる。
戸板に豆が転がると、途中で止めたりつかんだりすることが難しいといえます。そのため、「戸板に豆」はスムーズに引っかかりなく話すという意味だけでなく、「思うようにならない」という意味で用いることもあります。
例文
・勉強が得意だから大学に進むと思っていたのに、手に職をつけたいと職人さんに弟子入りを決めてしまった。子どもの進路は戸板に豆のように思うようにならないものだ。
・昨日は家に来てくれるといったのに、今日になって「やっぱり行かない」と断られてしまった。彼女の心は、戸板に豆が転がるように気分次第のようだ。
戸板に豆
《戸板にのせた豆は転がって扱いにくいところから》なかなか思うようにならないたとえ。
(引用:小学館『デジタル大辞泉』より)
弁舌に優れる
すらすらと話している様子を「弁舌に優れる」と表現することもあります。単によどみなく話しているというよりは、滑舌が良く、理路整然としているニュアンスがあるので、話術に優れている様子を表現したいときにも用いることができるでしょう。
例文
・彼女は弁舌に優れているので、彼女の話を聞くと思わず納得してしまう。
・彼は弁舌に優れる弁護士だ。
べん‐ぜつ【弁舌/×辯舌】
ものを言うこと。また、ものの言い方。話しぶり。「―をふるう」
(引用:小学館『デジタル大辞泉』より)
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「立て板に水」の対義語
「立て板に水」の対義語は「横板に雨垂れ」や「」が挙げられます。それぞれ例文を交えて、詳しく見ていきましょう。
横板に雨垂れ
「横板に雨垂れ」は「立て板に水」をもじった言葉で、「よこいたにあまだれ」と読みます。意味は「詰まりながらしゃべること」のたとえで、よどみなくすらすらと話す「立て板に水」の対義語です。
例文
・彼は思いついたことを整理せず話し始める癖があるので、横板に雨垂れだ。
・父は横板に雨垂れなところがあるが、着眼点が面白くいつも話を聞くのを楽しみにしている。
よこいた【横板】 に=雨垂(あまだれ)[=泥(どろ)]
( 「立板に水」のもじり ) つっかえつっかえものを言うたとえ。
(引用:小学館『精選版 日本国語大辞典』より)
縷縷綿綿
「縷縷綿綿」は「るるめんめん」と読み、細く長くとぎれることなく続くことを意味する「縷縷」と長く続いて絶えないさまを表す「綿綿」を組み合わせた、話が長くくどくどしいことや、中身のない話が延々と続く様子を表す言葉です。「立て板に水」のスピーディーに話す様子とは対比するという意味で、対義語と言えるでしょう。
例文
・上司は酔っ払うと縷縷綿綿なところがあるのでうんざりしてしまう。
・校長先生の話はいつも縷縷綿綿で眠たくなる。
縷縷綿綿
話がこと細かに長く続く様子。長々と細かく話す様子。
(引用:小学館『四字熟語を知る辞典』より)
たどたどしい
「たどたどしい」とは、 未熟であったり機能が十分でなかったりするため、物事を行うようすが危なっかしいことや、とどこおりなく行われず、おぼつかない様子を表す言葉です。また、音・声などがかすかである時にも使われます。
例文
・私は英語に自信がないので、いつも会話がたどたどしくなってしまう。
・彼女は緊張からたどたどしくはあったが、しっかりと発表をやり遂げた。
たどたど‐し・い
[形][文]たどたど・し[シク]
1 未熟であったり機能が十分でなかったりするため、物事を行うようすが危なっかしい。とどこおりなく行われず、おぼつかない。「―・い英語」「―・い足どり」
2 あたりのようすがぼんやりとしているさま。また、音・声などがかすかであるさま。
(引用:小学館『デジタル大辞泉』より)
正しい意味を理解して「立て板に水」を使おう
「立て板に水」は、よどみなく流暢に話している様子を示す表現です。本来はすらすらと話していることを称賛して用いるので、悪い意味はあまりありません。しかし、内容がない言葉をすらすらと話しているときにも使われることがあるので注意しましょう。また、「立て板に豆」や「立て板に玉」という表現を用いると、よりスピーディに話している印象を与えることができます。上手に使い分けて、表現豊かな人を目指しましょう。
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