鴇色
「鴇色」は朱鷺色とも表記し、「鴇」の羽の内側のような薄桃色を指します。「鴇」は全体的にはやや紅がかった白色ですが、飛ぶときに見える羽の内側の、桜色より少し濃く桃色より薄いこの色を指して「鴇色」と呼びます。
「鴇」がカニやザリガニなどの甲殻類を食べ、体内にカロテノイドという色素を取り込むことで、美しい「鴇色」の羽になるようです。「鴇」の羽が生え変わってすぐの秋から冬頃が、「鴇色」がもっとも目立つ季節です。
「鴇色」は江戸時代に登場した、紅花で染色したとされる色名であり、現在でも根強い人気があります。鴇色という言葉は知らなくても、色自体は見たことがある人がほとんどでしょう。
そのほか、「鴇」に関連した色としては、「鴇色」以外に「鴇茶」や「鴇唐茶(ときがらちゃ)」などがあります。
【鴇色:ときいろ】トキの羽のような色。うすもも色。淡紅色。
黒鴇
「黒鴇」は「くろとき」と読み、全身は白色で、首から上が黒色の全長約85センチメートルの鳥の名前です。首や顔が羽毛に覆われず、黒い皮膚がむき出しになっていることが名前の由来とされます。
インド、東南アジア、中国、マレー諸島などに分布しています。かつては日本にも生息していたようですが、現在は迷鳥としてごくまれに見られる程度です。沼や川岸に生息し、小魚や水生動物を食べます。
「鴇」の意味を理解し知識の幅を広げよう
「鴇」とは、ペリカン目トキ科の鳥の名前です。昔は日本各地に生息していましたが、野生絶滅の状態に陥るほど減少しました。現在は人工繁殖を経て自然繁殖が見られるまで回復してきています。
とても身近な鳥だったため、鴇のほかにも朱鷺、桃花鳥、鵇といったように表記がいくつも存在し、つきなどの異名もありました。
鴇の羽の内側の薄桃色は鴇色として、江戸時代から今日に至るまで人気がある色です。鴇や鴇に関連する言葉について理解を深めることで、知識の幅を広げましょう。
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(引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
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