葭簀張り(よしずばり)
「葭簀張り」とは、「葭簀」をいくつか並べておくこと、あるいは「葭簀」で囲った家屋のことを指す言葉です。周囲に日ざしを遮るものが何もない家屋であれば、「葭簀」で囲うことで屋内を涼しくすることができるでしょう。
例えば海の家などの夏の間だけ使う小さな家屋は、「葭簀張り」に向いているかもしれません。周囲に「葭簀」を立てかけて室内を涼しくし、海に遊びに来た人たちが氷を食べたりしゃべったりする空間として活用できます。
葭屋根(よしやね)
瓦が一般的になるまでは、ヨシを屋根材として用いることも少なくありませんでした。地域によってはススキやワラを屋根材としていましたが、ヨシは耐久性に優れているだけでなく、排水性にも優れているため、雨が多い地域などにも「葭屋根(よしやね)」が使われました。
ヨシを屋根材に用いると、室内が夏は涼しく冬は暖かくなるというメリットもあります。四季があり、暑さも寒さも厳しい日本に適した屋根材ともいえるでしょう。
葭衝立(よしついたて)
衝立はふすまのように紙を張ることが一般的ですが、ヨシを張った「葭衝立(よしついたて)」を置くことで、清涼感が生まれ、家のなかが夏らしくなります。
ヨシは紙とは異なり、濡れても破れたりふやけたりしません。そのため、突然天候が変わり、雨が降り出すこともある夏には適した素材と考えられるでしょう。また、ヨシとヨシの間に風が通ると衝立の裏側も涼しくなるので、「葭衝立」は見た目を涼しくするだけでなく、実用性もあるアイテムといえます。
夏障子(なつしょうじ)
障子の紙部分をヨシに張り替えたものを「夏障子(なつしょうじ)」と呼びます。見た目が涼し気であるだけでなく、室内に風が通るので、より涼しく過ごすことができるでしょう。
また、紙よりもヨシは日ざしを遮るので、室内が暗くなり、温度が上がりにくくなる効果もあります。エアコンが苦手な方も、ヨシを活用することで過ごしやすくなるかもしれません。
「葭簀」でエコ&ヘルシーな夏を過ごそう
「葭簀」を使うことで、日ざしを遮り、風通しが良くなります。気温が特別に高くならない日であれば、エアコンを使わなくても快適に過ごせるかもしれません。
「葭簀」は天然の植物を活かしたエコロジーなアイテムです。また、体を極端に冷やすことがないため、ヘルシーなアイテムともいえます。「葭簀」を使って、エコ&ヘルシーに夏を過ごしてみましょう。
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