「茶化す」の意味と語源
「茶化す」とは、真剣な話を冗談めかすことを意味します。
読み方は……「ちゃかす」でした!デジタル大辞泉での解説も確認しておきましょう。
【茶化す】ちゃかす
[動サ五(四)]《「ちゃ」は「ちゃらつく」などの「ちゃ」と同じか。「茶化す」は当て字》
[1] まじめな話を冗談めかしてしまう。茶にする。「―・さないでまじめに聞きなさい」
[2] 一杯くわせる。だます。「人魚は人を―・すなり」〈風来六部集・放屁論後編〉
「茶化す」という表記にもある通り、この言葉の成り立ちには、日本に馴染み深いお茶が関係しているのです。表現が誕生した背景を知れば、より知識が定着しやすいでしょう。
知っておくと少しタメになる、「茶化す」の詳しい意味と語源をご紹介します。
意味はまじめな話を冗談めかすこと
「茶化す」とは、大切な話をおもしろ半分に扱う態度を指します。使われるシーンによっても異なりますが、一般的に茶化された相手は不快に思うことのほうが多いでしょう。
真剣に話そうと思っている時に茶化されてしまうと、バカにされたと感じたり、怒りを覚えたりするかもしれません。
コミュニケーションにおいて時には冗談も必要ですが、相手の気持ちを無視して「茶化す」ことがないように気を付けましょう。
語源は当時高級品だったお茶
お茶は「ふざける」「はぐらかす」というネガティブな意味を持っているのをご存じでしょうか。
かつてお茶は高級品で、特別な来客をもてなす際にふるまわれました。つまりお茶を出された客たちは、自分が大切に思われていると安心できたのです。
そんなお茶の役割を利用して、良く思っていない相手にも、本心とは裏腹にお茶でもてなして場をごまかす人々が出てきます。
そういったごまかしの行為から、お茶自体にネガティブな意味が含まれるようになり、「茶化す」という表現が生まれたとされます。
「茶化す」の3つの類似表現
「茶化す」の意味は何となく分かっているけれど、類似表現との使い分けに自信がないと感じている方もいらっしゃるはずです。
「茶化す」と似たシーンで用いられる次の3つの表現を解説します。
・からかう
・ひやかす
・野次る
「茶化す」とそれぞれの類語の微妙なニュアンスの違いや、使い方のポイントを確認しましょう。似た表現を整理をしておくと、知識として定着しやすくなります。
からかう
「からかう」とは、相手にとって困ったり怒ったりすることをあえて行い、反応を楽しむことです。からかうは「揶揄(やゆ)する」とも言い換えられます。
「茶化す」が冗談めかすことを指すのに対して、「からかう」には明らかに相手の気分を害することをして面白がるというニュアンスが含まれています。
「茶化す」程度では黙認されていたとしても、「からかう」まで進んでしまうと相手を傷つけてしまうかもしれません。
ひやかす
「ひやかす」は、相手が嫌がったり恥ずかしがったりするような言葉を投げかけることを意味します。仲の良い男女の関係を面白がってからかう行為も、「ひやかす」と表現できます。
また、「ひやかす」には単純に冷たくするという意味と、買う気もないものに対して興味があるふりをするという意味があることも押さえておきましょう。
最後の買う気がないのに「ひやかす」という意味で使う場合のみ「素見す(ひやかす)」と表記されるのもポイントです。
【冷(や)かす】ひやかす
[1] 相手が困ったり恥ずかしがったりするような言葉をかけてからかう。「仲がいいのを―・す」
[2] 水・氷や風に当てるなどして冷たくする。ひやす。「鮨飯(すしめし)を―・す」
[3] (「素見す」とも書く)買う気もないのに、商品を手にとったり値段を聞いたりする。「露店を―・して歩く」遊郭で、登楼しないで遊女を見てまわる。「張り見世を―・す」◆ 江戸の浅草山谷(さんや)あたりの紙漉き業者が、原料を水で冷やす間、吉原見物をしたところから出た語という。