愚に返る
「愚に返る」とは年をとって分別を失ってしまう、おろかになるという意味です。
例文
・年をとって穏やかになるどころか、すっかり怒りっぽくなってしまって、愚に返った自分が嫌になることがあります。
・「老いては子に従え」ということわざは、きっと年を取ると愚に返ることがあることから生まれたんだと思います。
愚公山を移す(ぐこうやまをうつす)
「愚公山を移す」とはどんなに愚かであっても、たゆまぬ努力を続けたならば、大きな事業を成し遂げられることがあるという意味のことわざです。中国の古い伝説が語源になっています。こんな内容です。
昔、黄河の近くに住んでいた愚公という老人が、交通の便を良くするために、近くの大きな山を崩そうとして、毎日山の土を運んでいました。そのことを笑った人に、「子孫の代まで続けていけば、いつか山がなくなる」と答え、その言葉を聞いた天帝が感心して、山を他の場所に移したという伝説です。
例文
・あんなにも口下手だった私の弟が政治家になって、演説の名手と呼ばれるようなるなんて、愚公山を移すとはこのことだ思いました。
【目次】
「骨頂」を使った語句2つ
「愚の骨頂」の「骨頂」は単独で使われることもあります。また、真という漢字とくっつけて「真骨頂」という使われ方をすることもあります。単独で使う場合には、前述した「これ以上ないこと、最高の段階」以外にもさまざまな意味があるので、注意が必要です。
「骨頂」は「愚の骨頂」という言葉で使われたことによって、悪い意味の印象がありますが、実は良い意味もあります。「骨頂」と「真骨頂」の詳しい意味や例文をご紹介しましょう。
骨頂
「骨頂」の意味はたくさんあります。「これ以上ないこと」、「最高の段階」以外の意味では、「強く主張すること、またはその本人」、「公然ととりおこなうこと」、「実行すること」、「程度がはなはだしいこと」、「この上もないこと」、「未熟なところがなく、すぐれていること」などです。
実は良い意味も多くもっている言葉ですが、これらの良い意味はあまり浸透していないのか、現在では悪い意味で使われるのが一般的といえるでしょう。
例文
・あの二人がいい雰囲気で会話しているところに割って入るなんて、君は野暮の骨頂ですね。
・話しながら、相手を指さすのは失礼の骨頂だと思いますよ。
真骨頂
「真骨頂」とはそのものが本来持っている姿、真実の姿という意味です。ここまで紹介した「骨頂」とは違って、良い意味で使われている言葉です。
例文
・困難続きだったプロジェクトを最後まで諦めずにやりとげるとは驚きました。粘り強さが持ち味の彼は真骨頂を発揮しましたね。
・誰もができない二刀流であんなに活躍するなんて、彼の真骨頂だと思います。
まとめ
「愚の骨頂」とはこの上なくおろかという意味です。「骨頂」はもともと「骨張る(ほねばる)」という言葉から来ていて、この言葉を音読みして「骨張」となり、当て字で「骨頂」となった経緯があります。
「骨頂」という言葉は良い意味もありますが、愚という漢字とセットになって、「愚の骨頂」と使う時は悪い意味です。おろかという意味をさらに強調した言葉なので、強い批判の意味をこめて使われます。
そのため、ビジネスシーンで使う場合には注意が必要です。意味を理解した上で、正しい使い方をしてください。
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