舌先三寸(したさきさんずん)
「舌先三寸」とは、うわべだけのうまい言葉で、中身が伴っていないという意味です。「口先三寸」という間違った使い方をされることが多いため、注意しましょう。
「三寸」とは長さの単位で、一寸は約3.03センチです。「三寸」は約10センチほどで、通常よりも長めの舌ということになります。
「舌の長い人はおしゃべりで、調子の良いことを言うが中身がない」というのが言葉の由来です。口先だけという意味の「巧言令色」とほぼ同じ意味合いになります。
同而不和(どうじふわ)
「同而不和」は、相手に媚びへつらって調子を合わせているが、中身が伴っていないためすぐに仲が悪くなるという意味です。
「巧言令色」と同じく論語に出てくる孔子の言葉で、「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」という言葉が由来となっています。「人格のある者は人と協調はしても振り回されることはない、そうでない者は人に振り回される」という意味合いです。
「媚びへつらう」という点が、「巧言令色」と共通しています。
「巧言令色」の対義語
「巧言令色」には対義語もあります。「質実剛健」や「剛毅木訥」などです。「質実剛健」は飾り気がなく、中身が充実しているという意味で、うわべだけの「巧言令色」の対義語になります。
「剛毅木訥」は「巧言令色」と同じく論語を出典とし、「巧言令色」と対になっている言葉です。
対義語について知ることで、「巧言令色」の意味がさらによく理解できるでしょう。2つの対義語についてご紹介します。
質実剛健(しつじつごうけん)
「質実剛健」とは、心身ともに強くたくましい様子を表します。「質実」は飾り気がなくまじめであることを表し、「剛健」は体が健康で心も強いという意味です。褒め言葉として使われることが多い言葉でもあります。
「巧言令色」は言葉や態度を飾って相手に取り入るという意味であるのに対し、飾り気がなく真面目な「質実剛健」は対義語といえるでしょう。
剛毅木訥(ごうきぼくとつ)
「剛毅木訥」とは、心に強い意志を持ち、素朴で飾らないという意味です。
「巧言令色」と同じ論語に出てくる言葉で、「巧言令色鮮し仁」に対する言葉として「剛毅木訥、仁に近し」という表現がされています。「巧言令色」は思いやりのある心がないが、「剛毅木訥」であれば思いやりのある人といえるといった意味合いです。
「巧言令色」とセットで覚えておくとよいでしょう。
「巧言令色」の意味は正しく覚えよう
「巧言令色」は言葉の組み合わせだけ見ると良い言葉のようにも見えますが、うわべを取り繕って調子のいいことを言うという否定的な意味合いで使われます。間違って使わないよう、十分注意しましょう。
四字熟語の類語や反対語も多く、合わせて覚えておけば適切な場面で使い分けができます。例文も参考に、「巧言令色」を正しく覚えてください。
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