「紅蓮」とはどんな花?
皆さんは「紅蓮」という花を知っていますか? 大ヒットした人気アニメ『鬼滅の刃』の主題歌、「紅蓮華(ぐれんげ)」を聴いて、「紅蓮華」ってどんな花だろうと興味を持った方もいるのではないでしょうか。「紅蓮」は「紅い蓮の花」以外にも、様々な意味を持つ言葉です。今回は「紅蓮」の意味や花言葉、類語などを解説します。
「紅蓮」の特徴
「紅蓮」は、「紅い蓮」と書いて「ぐれん」と読みます。その言葉の意味を、辞書で調べてみましょう。
1 紅色の蓮(はす)の花。紅蓮華(ぐれんげ)。2 「紅蓮地獄」の略。3 燃え盛る炎の色のたとえ。(<小学館デジタル大辞泉>より)
蓮の中でもひときわ色が濃く、花びらが紅色やピンク色の蓮の花のことを「紅蓮」と呼びます。「紅蓮」とは、元は仏教語で、サンスクリット語では「パドマ」といいます。「紅蓮華」と呼ばれることもありますが、この言葉が指す花は、スイレン科スイレン属の「睡蓮」ではなく、ハス科の多年生水草である「蓮」のことです。
「蓮」は、古代インドでは「多産」や「生命誕生」のシンボルとされ、汚れた泥の中から清純な花を咲かせることから極楽浄土に見立てられました。日本では平安時代頃から仏教色が濃くなり、『拾遺集』には「一度 (ひとたび) も南無阿弥陀仏 (なむあみだぶつ) と言ふ人の蓮の上に上らぬはなし」と僧侶 空也(くうや)が歌を詠んでいます。
また、「紅蓮」には、「勢いよく燃え盛っている炎」という意味もあり、「紅蓮の炎」と表現することもあります。歴史小説などの戦の場面で「紅蓮のような炎が燃え上がった」というように使用され、その激しい争いの様子が伝わってくるようです。
「紅蓮地獄」とは?
それでは、「紅蓮」の意味の一つである「紅蓮地獄」には、どのような意味なのでしょうか?
「紅蓮地獄」とは、八寒地獄の七番目の地獄のことです。この地獄に落ちた者は寒さのあまり皮肉が裂けて血に染まり、紅色の蓮のような様相となってしまうことから、この名が付けられたとされています。また、この地獄よりさらに苦痛や寒さが厳しい地獄が、八番目の「大紅蓮」です。地獄といえば、炎に灼かれ熱い世界を想像しますが、寒さに苦しめられる地獄もあるのですね。
「紅蓮」の花言葉とは?
「紅蓮」は、ヒンズー教において女神ラクシュミーと夫ヴィシュヌ神の花といわれています。ヒンズー教の宗教画には、この二神と共に「紅蓮」が描かれることが多いようです。またラクシュミーとヴィシュヌは、愛に満ちた夫婦だったことから「愛情」という花言葉がつけられています。
「紅蓮」の種類
「蓮」の花の開花時期は6月〜8月頃。早朝に咲き始め、昼頃には閉じてしまいます。ここでは蓮の花の中でも「紅蓮系」と呼ばれる品種を3つ紹介します。
大賀蓮(おおがはす)
大賀蓮は、 鮮やかなピンク色の花びらが特徴です。昭和26年蓮の研究をしていた大賀一郎博士が、千葉県の農場で弥生時代の地層から蓮の種を発見しました。そのうちの一粒がみごと開花したことから「大賀蓮」と名付けられました。非常に古くから自生していた種類で、「古代ハス」の一つでもあります。