送る相手が専門職の場合
ビジネスシーンでは、メールを送る相手が専門職であるケースも珍しくありません。例えば、医療機器などを取り扱っている会社であれば、医師と連絡を取るなどです。契約書を交わす際に弁護士とやり取りをしたり、研究結果を製品に生かすために教授と連絡を取り合ったりすることもあるでしょう。
「先生」と呼ばれる専門職の人には、「様」ではなく「先生」と付けるのが一般的です。普段から「先生」と呼ばれているため、「様」とすると違和感を抱いたり、気分を害したりしてしまうことも考えられるため注意しましょう。
同じ役職や名字の人がいる場合
役職が同格の場合は、業務により深い関わりがある人を先に書きます。例えば、企画部がらみの事柄でも、コストなどについて経理部の耳にも入れておきたいという状況もあるでしょう。この場合は、メインは企画部なので、企画部部長を先にするという形です。
名字が同じ人がいる場合は、混同したり見落としたりしないように、フルネームを書きます。その際は、全員をフルネームにすることが大切です。そうすることで「自分だけ区別された」と不快にさせてしまうこともなく、全体のバランスもよくなります。
英語でビジネスメールを送る場合
フォーマルな場合は、「Dear Mr. ○○,」のように、「Dear・敬称(Mr.・Ms.)・名字」の形にします。通常、会社や部署名、肩書は省きます。
女性の敬称は3種類あり、既婚者には「Mrs.」、未婚者には「Miss.」、どちらか不明のときは「Ms.」を使います。しかし、近年は未婚・既婚で区別されるのを好まない人も多く、どちらでも「Ms.」を使う傾向があるので、臨機応変に対応しましょう。
親しい間柄の場合は、「Dear John」のように下の名前を書くのが一般的です。「Hello John」や「Hi John」など、カジュアルな表現もよく使われています。
「各位」としたい場合は、「To Whom It May Concern」を使いましょう。
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【目次】
ビジネスメールの宛名の注意点
相手とよい関係を築くためには、マナーを守ることが大切です。ビジネスメールを書く際に気を付けたいポイントをまとめました。
「様」や会社名は省略しない
連名にする際に注意したいのが、敬称や会社名の省略です。最後の人だけに「様」を付けるのは失礼に当たるため、氏名ごとに「様」を付けるようにしましょう。
会社名を省略せずに書くのもマナーです。前株か後株なのかをしっかりと確認し、間違えないようにしましょう。また、有限会社などの組織もありますし、頭文字を取ってアルファベット表記が一般になっているケースもあります。間違いがないように、名刺や会社のコーポレートサイトで正式名称を確認するようにしましょう。
長年の付き合いがある親しい相手などの場合は、「〇〇様」のみでも失礼に当たらないケースもあります。相手との間柄をしっかりと踏まえた上で対応するのがおすすめです。
TO・CC・BCCを適切に使い分ける
TO・CC・BCCには、それぞれ特徴があります。返信してほしい人相手には「TO」、「TO」に送った内容を共有しておきたい人には「CC」、送信者以外のアドレスを知られずに一斉送信したい場合は「BCC」と、用途に合わせて使い分けるようにしましょう。
TO・CC・BCCは、適切に使わないとトラブルに繋がることもありますので、それぞれの解説を参考に、注意して使用しましょう。
TO
「TO」や「宛先」には、メ-ルを送る相手を入力します。複数名入れることも可能ですが「TO」は「あなたに送っています」という意思表示でもありますので、原則として返信や処理をしてほしい1名を入れるようにしましょう。複数名入れてそれぞれ返信がほしい場合などは、誰に何を頼んでいるかわかるように本文に明記すると親切です。
社内のお知らせなどTOが5名以上で宛名に名前を羅列すると見づらくなる場合は「各位」「皆様へ」などを使用しましょう。宛先欄には送った相手のメールアドレスが表示されるため、受け取った全員がほかにメールを受け取った人を確認することができます。
CC
「CC」とは、Carbon Copy(カーボンコピー=複写)の略語です。「TO」の相手に送ったメールを複写して送りますので、確認しておいてくださいね。という意味で使えます。上司やプロジェクトメンバーなど、返信はいらないけれど情報を共有しておきたい人を入れると良いでしょう。「CC」も誰が入っているかメールを受け取った全員が確認することができます。
「TO」の相手がメールを受け取った時に「CC」に気付かないと「CC」の相手に知られたくない内容を返信してしまったり、送信者のみに返信をしてしまい共有ができていないトラブルが発生する可能性がありますので、「CC」を使う場合は、本文にTOの宛名を「○○様」と入れたあとにCCの相手を(CC:○○様、○○様)や(CC:弊社○○)と明記するようにしましょう。
シー‐シー【cc】[carbon copy]
《carbon copy》電子メールの機能の一。本来の送付先以外にも同内容のメールを送る際に用いる。bccと違って、受信者は自分以外のだれがそのメールを受け取っているかを確認することができる。カーボンコピー。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
BCC
「BCC」はBlind Carbon Copyの略語で、受け取った人にほかの受信者を知られずに一斉送信することができます。複数の取引先にニュースレターを送りたい場合や退職の挨拶など、受信者のメ-ルアドレスがわからないように一斉送信したい時に「BCC」を使用します。
「BCC」で送っていることが相手に伝わるように頭に「関係者様(BCCにて失礼します)」や「お世話になった皆様へ(プライバシー保護のため、本メールはBCCで送信しております)」と添えるようにしましょう。
BCCで送ったつもりがCCで送信してしまうミスもありますので、送信前にはアドレスがBCCにきちんと入っているか確認すると安心です。
ビー‐シー‐シー【bcc】[blind carbon copy]
《blind carbon copy》電子メールの機能の一。本来の送付先以外にも同内容のメールを送る際に用いる。ccと違って、受信者は自分以外にもそのメールを受け取った人がいるかどうかを知ることはできない。→シー‐シー(cc)
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
二重敬語を使わない
宛名を書くときに起こりやすいミスが「二重敬語」です。
例えば、「〇〇部長様」や「〇〇御中様」「〇〇各位様」などが該当します。一見、より丁寧な印象ですが、役職名・御中・各位も敬称に当たるため実際には誤りです。
ただし、「お客様各位」「〇〇部長殿」などの例外もあります。どちらも二重敬語で誤りですが、近年は普通に使われる傾向があります。判断に迷ったときは、会社のルールを確認し従うのがよいでしょう。
名前などの順番に気を付けて
受け取る相手を不快にさせないように、どの順番で名前を書くかも気を付けることが大切です。連名にするときは、役職が高い人が先にくるようにしましょう。
同じ役職の人が何人かいるときは、メールの内容とより関わりが深い順に並べます。いくつかの異なる会社に送るときは、最初に主な取引先、それ以降は関係性が深い順にします。
社内メールの場合、会社によっては順不同とするケースもあるため、ルールを確認しましょう。
また、いくつかの会社の各部署に一括送信することも可能ですが、宛先に何社も並べると、スマホで見た場合にスクロールしないと本文が読めないなど、見やすさに欠けることもあります。会社ごとに個別で送信する方が読みやすい上に、丁寧な印象を与えるでしょう。
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