早計(そうけい)
「早計」とは早まった判断や十分に考えないで判断すること、という意味があります。読み方は「そうけい」です。
例文
・我が社の製品を製造するのに必要なパーツの供給先がまだ決まっていないのに、A社との取引を停止すると判断するのはあまりにも早計すぎます。
・成果が出るのは数か月先なので、現段階でプロジェクトが失敗したと決めつけるのは早計です。
見切り発車(みきりはっしゃ)
「見切り発車」とはもともとはバスの出発時刻が来ていないのに、もしくは乗客が全員乗っていないのに、バスを発車してしまうことです。議論が十分出つくしていないまま、決定して実行するという意味もあります。ビジネスや政治の分野でよく使われる言葉だといえるでしょう。
例文
・十分なリスクの検証が済んでいないのに、新商品として発表するなんて、見切り発車もいいところだ。
・うちの部長のいいところは決断力があることですが、仕事のGOのサインを出すのが早すぎることが多いため、見切り発車となってしまうケースも少なくありません。
拙速(せっそく)
「拙速」はできはよくないが、仕事は早いという意味です。読み方は「せっそく」です。この言葉もビジネスや政治の分野でよく使われる言葉だといえます。
例文
・拙速であるかもしれませんが、開発中のアプリを早い段階で発表した後に、ユーザーの声を活かして改善していこうと考えています。
・想定外の事態が起こった時こそ、拙速な判断は避けるべきです。
「時期尚早」の対義語
「時期尚早」にはいくつかの対義語があります。「時機到来(じきとうらい)」と「機会損失(きかいそんしつ)」「熟慮断行(じゅくりょだんこう)」という3つの四字熟語です。
ここではそれぞれの言葉の意味と例文を紹介しましょう。
時機到来(じきとうらい)
「時機到来」とは、物事を行うのに最適な機会になったという意味です。これまで機会がくるのをうかがっていて、行動に移す時がやってきたと判断した時に使います。
例文
・ここ数年は守りの経営に徹してきましたが、ついに時機到来で、攻めの経営に転じるべきです。
・これまでずっと自陣で守備に徹していた相手チームの選手たちは、時機到来とばかりに、一気に攻勢に転じています。
機会損失(きかいそんしつ)
「機会損失」とは、売上を伸ばす機会であったのに、商品や原料が不足しているなどしてタイミングを逃し、得られたはずの利益を逃すことという意味があります。ビジネスや経済の分野でよく使われる言葉です。
例文
・投資するリスクと同様に、投資をしないことによる機会損失のリスクもあります。
・せっかく売上を伸ばすチャンスなのに、人手不足で工場を長時間稼働させることができず、機会損失につながってしまいました。
熟慮断行(じゅくりょだんこう)
「熟慮断行」とは、よく考えたうえで思いきって事を行うこと。十分に考えを巡らしてから、強い態度で実行する場合に使われます。仕事である決断をしてから、実行に移すときなどに使える表現ですね。
例文
・プロジェクトは十分に計画を練り、熟慮断行で進めるべきだ。
・熟慮断行の精神で、リスクを避けながら成功に導いた。
「時期尚早」の英語表現
「まだ実行するにはタイミングが早い」ということを英語で言いたいときに使える表現をチェックしていきましょう。
It’s too early to…
“It’s too early to…”は、「〜するには早すぎる」という意味です。ビジネスシーンでは、“It’s too early to make a decision on this matter.”(この件に関してはまだ決断するのは早すぎます)というように使えますよ。
premature decision
“premature decision”は、「時期尚早な決定」という意味があります。“premature”は、「早すぎる、時期尚早な」。“decision”は、「解決、決着、決定」などの意味があり、結論を出すには早すぎるというニュアンスを持ちます。
“He made a premature decision.”(彼は早まった決定をしてしまった)と表現できますよ。
not the right time
“not the right time”は、「まだその時期ではない」という意味。会議などではっきりした結論が出ない場合などには次のように提案してみてはいかがでしょうか?
“It’s not the right time to make a big decision; let’s wait until we have more information.”(大きな決定をするにはまだ早いので、もっと情報が集まるまで待ちましょう)
最後に
「時期尚早」という言葉は、ビジネスシーンで物事を実行するタイミングを見極める際にも使うことができます。早計や見切り発車などの類語を合わせて覚えて、状況に応じて適切な言葉を使ってみてください。
TOP画像/(c) Adobe Stock