「あの場の彼はまさに、雀の千声、鶴の一声だった」
前述のように、「取るに足らない人のたくさんの声より、優秀な人の一声の方がまさっている」を意味する例文です。「鶴の一声」で独立すると「権力者の声」を意味しますが、「雀の千声、鶴の一声」の中では、「優れた人間の言葉」というニュアンスで使われます。意味合いが変わりますので、ここは注意して使用しましょう。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
次に、「鶴の一声」の類語や言い換え表現を、3つ紹介します。一緒に確認しましょう。
「天の声」
「天の声」は「てんのこえ」と読み、テレビ番組でもナレーションの声を「天の声」と呼ぶ番組もあるので、ご存じの方も多いでしょう。元々は「神の声」「ご神託」「天のお告げ」を意味していましたが、そこから転じて「権力者の意見」をそう呼ぶようになりました。「鶴の一声」以上に、権力があり、影響力が強い人物の意見という意味で使われます。
「百星の明は一月の光に如かず」
「百星の明は一月の光に如かず」は「ひゃくせいのめいはいちげつのひかりにしかず」と読み、直接的な意味は「星の光を百集めても、月光には及ばない」です。そこから転じて、「取るに足らない人を集めても、優秀な一人にはとても敵わない」という意味になります。「鶴の一声」の類語というよりは、「雀の千声、鶴の一声」の言い換え表現です。
「一存」
「一存」とは「いちぞん」と読み、「一人だけの考え」「自分だけの考え」「一方的な考え」を意味します。「鶴の一声」は権威者に対して使うのに対して、「一存」は自分自身を含めた誰にでも使える点が違います。「鶴の一声」の言い換えは、権力のある人の「一存」についての時だけ可能です。
英語表現とは?
最後に「鶴の一声」の英語表現を紹介します。一緒にチェックしましょう。
「word from the top」
「word from the top」は直訳すると、「トップからの言葉」となるので、「鶴の一声」と訳すことが出来ます。「top」の部分を権威者の名前や役職に変えて表現でき、「鶴の一声」とも訳しますが、指示のニュアンスが強いため、「天の声」の英語表現に近いともいえるでしょう。
「a voice from the throne」
「a voice from the throne」は直訳すると「玉座からの声」となり、和訳するなら「鶴の一声」や「天の声」です。「the throne」は「玉座」を意味します。聖書の中にもこのフレーズがあり、「ヨハネの黙示録」に「The voice from the throne」や「a voice came from the throne」などとバージョンによって少し異なりますが、記載があるので、機会があったら探してみましょう。
「one’s word is law」
「one’s word is law」は「○○の言葉は法律である」という直訳から転じて、「○○の言葉は絶対だ」「○○の指示は命令だ」といった和訳となります。こちらも「鶴の一声」や「天の声」の英語表現で使用可能です。
日常会話やビジネスシーンで適切に活用を
「鶴の一声」について紹介してきました。 実は「雀の千声、鶴の一声」という言い回しの一部分だったことは知らない人も多かったのではないでしょうか。日常でもビジネスシーンでも使えることわざですので、「鶴の一声」とあわせて、「雀の千声、鶴の一声」も使いこなしてみてください。
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