1.緊緊(ひしひし)
緊張の「緊」を重ねた「緊緊」は、「ひしひし」と読みます。辞書でどのように説明されているかを見てみましょう。
【緊緊:ひしひし】
[副]
1.強く身に迫るさま。切実に感じるさま。「責任の重さを—と感じる」
2.すきまのないさま。ぴったり。
「伝馬や艀はしけが—と舳へさきを並べた」〈風葉・世間師〉
3.強く押されて鳴る音を表す語。みしみし。
「物の足音—と踏み鳴らしつつ」〈源・夕顔〉
4.猶予や容赦のないさま。びしびし。
「—とおぼしめし立たせ給ひけり」〈平家・四〉
5.ひたすらある動作をするさま。
「—と、ただ食ひに食ふ音のしければ」〈宇治拾遺・一〉
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「緊緊」は、厳しいやきつい、迫っていることを意味する表現です。そもそも緊は、糸をきつく巻き付けている様子を表します。一文字で引き締めることや差し迫ることという意味をもつため、2つ重ねることで差し迫る状態が強調されます。
2.爽爽(さばさば)
爽やかの「爽」を2つ重ねた「爽爽」は、「さばさば」と読む畳語です。爽やかであることやさっぱりしていることが強調された表現で、割り切れている様子を表します。一つのことに執着せず、あっさりしている女性を「さばさば女子」と表現することもあります。
「爽爽」は古語のため、現在は漢字で表記するケースはありません。知識として読み方を覚えておき、「さばさば」を使う際はひらがなで書きましょう。
3.態態(わざわざ)
「態態」は「たいたい」と読まれがちですが、正しい読み方は「わざわざ」です。ある目的のためだけに行うことや、する必要がないことをする様子を表します。例えば、「忘れ物をしたため、態々そこまで取りに行った」のように使うことが多いです。
そもそも「態」には「わざと」という意味があり、重ねることで故意である様子がさらに強まります。辞書での説明も確認しておきましょう。
【態態:わざわざ】
[副]
1.他のことのついでではなく、特にそのためだけに行うさま。特にそのために。「態態出掛けなくても電話で済むことだ」
2.しなくてもよいことをことさらするさま。故意に。「御親切にも態態忠告に来る人がいる」
→折角せっかく[用法]
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
4.片片(ひらひら)
畳語の「片片」は、「かたかた」ではなく「ひらひら」と読みます。「花びらが片片舞っている」のように、薄くて軽いものが揺れ動く様子を表す言葉です。花びらのほかには、炎や光の動きを表現する際にも使われます。
また、「片片」はひらひら以外にもたくさんの読み方があるのが特徴です。例えば「へんぺん」と読む場合は、取るに足らない様子や切れ切れの状態を指します。「片片たる」は、ひらひらと漂う様子を表す言葉です。
そのほか、「ぱらぱら」や「きれきれ」、「かけら」などの読み方もあります。
【目次】
まとめ
「努努」は同じ漢字を重ねて意味を強調する畳語で、読み方は「ゆめゆめ」です。禁止や打ち消しの言葉を後ろに付けて、「決して(まったく)〇〇するな」「少しも〇〇ない」のように使います。「努努」と同じように使える表現には、断じてや絶対になどが挙げられます。
努は「不運に巻き込まれないように」という忠告を表し、より強く注意を向けられるように、耳に残りやすいように同じ音を重ねたとされています。また、努を「ゆめ」と読むようになったとされる由来は、古語の「ゆゆし」です。ゆゆしの「ゆ」と「目(め)」を組み合わせることで、ゆめという読み方が当てられたという説があります。
「努努」のほかにも畳語は多数あり、「態態」や「爽爽」などが挙げられます。「努努」の意味や使い方はもちろん、その他の難読漢字の読み方なども覚えておきましょう。
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