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2022.10.19

【拍車をかける】の〝拍車〟って何?言葉の意味や例文、類語表現をご紹介!

「拍車をかける」とは、進行スピードを今までよりも一段と速めることを意味する慣用句です。そもそもどのような意味のある言葉なのか、類似する表現として何があるのか詳しく見ていきましょう。また、使い方も例文を用いて解説します。

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「拍車をかける」とはスピードを速めること

自動車のスピードに拍車をかけるイメージ

拍車をかける(読み方:はくしゃをかける)」とは、スピードを速めることを指す言葉です。すでにスピードが出ている状態が、さらに速度を増した様子を表します。

そのため、現時点でスピードがほとんどない状態、あるいは止まっている状態のときは、「拍車をかける」とは表現しません。

【拍車をかける】はくしゃをかける
《馬の腹に拍車を当てて速く走らせる意から》物事の進行を一段とはやめる。拍車を加える。「政治の混乱が不況に―・ける」

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

語源となった「拍車」とは、乗馬で使う金具のこと

ウェスタン式の拍車をブーツに装着した様子

拍車」とは馬具の一種で、乗馬靴のかかと部分に装着して使う金具です。馬が走るスピードを上げたいときに拍車を馬の腹に当てると、刺激を受けた馬は通常以上に急ぐようになるので、速度を上げることが可能です。

拍車の歴史は古く、紀元前4世紀にはケルト人が使用していたといわれています。時代は下って現代では、馬体保護の観点から競走中の拍車の使用を認めない国も多いです。日本でも2010年ごろから、JRAが使用を禁じています。

とはいえ過度に刺激を与えて速度を上げるためではなく、馬への指示を補助する道具として、乗馬などでは今も使用されています。この場合も、正しい使用法を守り馬体への刺激を適切にコントロールすることが大切です。

「拍車をかける」を例文で解説

いい意味でも悪い意味でも用いる

好成績の売上に拍車がかかるイメージ

「拍車をかける」という言葉は、いい意味でも悪い意味でも用いることが可能です。もともとは何かをしているときにスピードを上げるという意味なので、良いことをしていれば良いことの、悪いことをしていれば悪いことのスピードが上がることを表現します。

例えば、次のように使うときは、いい意味で拍車がかかっているといえるでしょう。

例文

・新商品の売れ行きが良いようだ。店全体の売上が上り調子のうえ、新商品の人気でますます拍車がかかっている
・彼は最近おしゃれになってきた。格好良さにも拍車がかかった

 

また、次のように使うときは、良くない状態がさらに良くない方向へ動いていると考えられます。

例文

・レジは3つあるが、すべてが新人スタッフのようだ。ただでさえ会計に時間がかかるのに、今日は特に拍車がかかっている
・幼いころから手の付けられない暴れん坊だったが、成長とともにさらに拍車がかかったようだ。

 

「拍車を加える」という言い方をすることも

「拍車をかける」ではなく「拍車を加える」ということもあります。意味は同じで、スピードをさらに増すことです。例文を紹介するので、使い方をマスターしましょう。

例文

・優勝を目指して熾烈な争いが続いていたが、優勝賞金が100万円に増えたというニュースが、争いの激しさに拍車を加えた
・受験に失敗し、彼女の落ち込みぶりは目も当てられなかった。滑り止めも不合格との報告が、彼女の嘆きに拍車を加えた
・皆のやる気に拍車を加えるために、心を込めておにぎりを握った。

 

自然とスピードが増した場合は「拍車がかかる」と表現

何かが起こったことで、自然にスピードが速まることを「拍車がかかる」と表現することもあります。

例文

・毎日忙しいが、最近はさらに拍車がかかっている
・彼女の集中力には舌を巻くばかりだ。以前も素晴らしい集中力で走り切ったが、今回のランはより拍車がかかっている
拍車がかかったかのように、急に彼の仕事のスピードが上がった。

 

「拍車をかける」の類語・対義語をご紹介

「拍車をかける」のように、スピードが増す意味で使われる言葉としては、次の2つが挙げられます。

・火に油を注ぐ
・促進する

また、反対語としては、次の言葉が挙げられるでしょう。

・水を差す

それぞれどのようなシチュエーションで使用するのか、また、「拍車をかける」とのニュアンスや使い方の違いについて見ていきましょう。

類語1:火に油を注ぐ(ひにあぶらをそそぐ)

火に油を注ぎ、大炎上するイメージ

状況を進めるという意味では、「拍車をかける」と「火に油を注ぐ」は同じです。しかし、前者はいい意味でも悪い意味でも使えますが、後者は悪いときのみに使います。

好ましくない状況をさらに悪化させるときなどに「火に油を注ぐ」という言葉を使ってみましょう。いくつか例文を紹介します。

例文

・父親は彼女のしたことに対して怒っていたが、彼女の言葉遣いが火に油を注いだ
・言わなくてもよいことばかり言ったので、許しを得るどころか、火に油を注ぐ結果となった。

 

類語2:促進する(そくしんする)

「促進する」も「拍車をかける」と同じくスピードを速めるときに用いる言葉です。また、特にポジティブ・ネガティブのニュアンスはないので、いい意味でも悪い意味でも使用できます。

例文

・母親は勉強を教えるスピードを促進した。少しでも娘に賢くなってほしいようだ。
・円高ではあるが、あえて輸入を促進している

 

対義語:水を差す(みずをさす)

デキャンタを傾けて水を注ぐ様子を接写した画像

スピードがある状態を止める意味で「水を差す」という表現を使うことがあります。例えば次のように使ってみましょう。

例文

・彼女の喜びに水を差すように、彼は不快な発言ばかり繰り返した。
水を差すようで申し訳ないのですが、実際には彼は合格していません。

 

「拍車をかける」を正しく理解して使おう

「拍車をかける」とはスピードを増すときに使う表現です。勢いを増すときや、良い状況や好ましくない状況がさらに進行するときにも使えます。正しく意味を理解して「拍車をかける」や「拍車がかかる」を使いこなしましょう。

▼言葉の意味、正しく把握していますか?こちらの記事もチェック!

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