月夜に提灯(つきよにちょうちん)
「月夜に提灯」とは、不必要なものという意味です。月夜は夜道も明るいため、提灯が不要であることを例えにしています。
提灯自体は役に立つもので、「無用の長物」のような「役に立たないもの」という意味合いはありません。不要であり、行き過ぎて贅沢であるというニュアンスがあります。
例文は以下の通りです。
・一人暮らしなのに大容量の冷蔵庫を買うなんて、【月夜に提灯】だ
・ピアノを習い始めたばかりで高額なグランドピアノを購入するのは【月夜に提灯】だね
蛇足(だそく)
「蛇足」とは、なくてもよいものという意味です。中国の故事が由来で、蛇の絵を早く描く競争をしたときに、一番早く最初に描き上げた者がつい足まで描いてしまい、失格になったという逸話が語源になっています。
「蛇足」は「蛇足ながら」という言い回しで使われることも多く、メールなどで一言付け加える場合に謙譲のニュアンスで使われます。
例文を紹介しましょう。
【例文】
・講演は途中まではいい内容だったが、途中から個人的な話を入れてきたのは【蛇足】だった
・【蛇足ながら】、この件は穏便に済ませていただけたらと思う
「無用の長物」の対義語
「無用の長物」には対義語もあります。役に立つという意味合いの言葉で、「枯れ木も山の賑わい」や「無用の用」といった言葉があげられます。どちらも役に立たないものはないというニュアンスがありますが、特に「無用の用」はどんなものでも何かの役に立つという前向きな言葉です。
ここでは、無用の長物の対義語についてご紹介します。
枯れ木も山の賑わい(かれきもやまのにぎわい)
「枯れ木も山の賑わい」は、つまらないものでも、ないよりはあったほうがよいという意味です。木が生えていない山は殺風景であり、たとえ枯れている木でも趣を添えることができるため、ないよりもあった方がよいことを例えにしています。
「枯れ木」はつまらないものの例えであり、使う場面には注意が必要です。例えばパーティーなどに招待する側が招待をした相手に使うのは失礼な表現になります。招待された側が「枯れ木も山のにぎわいと思い、参加しました」というのが正しい使い方です。
無用の用(むようのよう)
「無用の用」は、役立たないとされているものが、別の意味で大事な役割を果たしているという意味です。
中国の思想家である老子の思想に基づいた言葉で、無駄だと思っているものでも別のところで役立つ場合があり、世の中には役に立たないものがないことを表しています。無用なものはないという意味で、「無用の長物」とは対極にある言葉です。
無用の長物の英語表現
「無用の長物」の英語表現をご紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
useless object
「無用の長物」を英語で伝えたい時は、「無駄な」「使いものにならない」という意味の「useless」と「物」を表す「object」を組み合わせて「useless object」を使うと良いでしょう。
useless
〈物が〉使いものにならない;〈行為などが〉無益な,むだな,むなしい
〈引用(小学館 プログレッシブ英和中辞典)より〉object
物,物体
〈引用(小学館 プログレッシブ英和中辞典)より〉
useless stuff
先ほどご紹介した「useless object」の「object」を同じ「物」を表す「stuff」に置き換えても良いでしょう。「useless stuff」は「無用の長物」や「がらくた」という意味で使うことができます。
stuff
もの,しろもの(◆正確な名前が必要のないとき,わからないときなどに用いる);物事,やり方,ふるまい
〈引用(小学館 プログレッシブ英和中辞典)より〉
white elephant
「white elephant」は直訳すると「白い像」ですが「高くついてむだなもの」や「無用の長物」を表す慣用句でもあります。タイでは昔、珍しい「白い象」は神聖な動物とされ、王様だけが乗れる動物でした。その白い像を王様が嫌いな家臣に贈り、贈られた家臣は自分は乗ることができない像のために高いエサ代がかかり続けたという逸話から「高くついてむだなもの」や「無用の長物」を表す言葉になったと言われています。例えば「white elephant sale」と言えば「がらくた市」という意味になります。
white elephant
〔通例単数形で〕高くついてむだなもの;無用の長物
〈引用(小学館 プログレッシブ英和中辞典)より〉
まとめ
「無用の長物」は役に立たないものという意味です。仏教用語が由来の言葉で、もとは必要でないものという意味合いでしたが、今日では「あればかえって邪魔になる」というニュアンスも含むようになりました。
毒にも薬にもならないなど、「無用の長物」に似た言葉はたくさんあります。合わせて覚えておけば、場面に応じて使い分けできるでしょう。
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