3:母親は手を拱いて子どもが泣き止むのを待っていた
こちらは日常生活でも見られる、身近なシーンの例文です。街中で、小さな子どもが言うことをきかず、駄々をこねる姿を前に、困り果てている親を見かけたことはありませんか?親しい間柄での状況にも使うことができます。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
「手を拱く」の類語や言い換え表現には、どのような言葉があるのでしょうか。一緒に見てみましょう。
傍観
「傍観(ぼうかん)」は「手を出さずに、ただそばで見ていること」です。物事に関係のない立場で見ている時に使います。
例文:目の前で激しい議論がされていたが、いきさつを知らない私は傍観するしかなかった
手を束ねる
「束ねる」は「つかねる」と読みます。「手を拱く」と同じ使い方で、「腕組みをする」と「傍観する」という両方の意味を含んでいます。
例文:自然災害を伝える海外ニュース見ても、何もできず手を束ねるばかりだった
指をくわえる
「指をくわえる」は、「うらやましがりながら、手を出せずにいる」こと。「きまり悪そうにする。恥ずかしそうにする」場合も使います。「手を拱く」同様、何もできずに見ていることですが、「指をくわえる」は「傍観」するだけでなく、「うらやましい」というニュアンスがあります。
例文:ライバルの成功を、私は指をくわえて見ているしかなかった
「手を拱く」の英語表現は?
英語表現では「手を拱く」をどのように伝えることができるでしょうか。「手を拱く」が持つ意味から説明します。
1: Teachers folded his arms and glared at students(先生たちは手を拱いて生徒たちを睨みつけた)
「手を拱く」を「腕組みをする」という意味で使う表現として、「to fold one’s arms」が使えます。腕組みをして、仁王立ちしている先生たちの姿が目に浮かぶようなイメージです。
2:While they were arguing with each other, I was just looking on with folded arms(彼女たちが口論しているのを私は手を拱いていただけだった)
「傍観する」というニュアンスが強い「手を拱く」の場合は、「腕を組んだまま見ているだけ」といった表現「look on with folded arms」を使うと、伝わりやすいでしょう。
最後に
ビジネスシーンで「あの時、手を拱いていた」と聞いた時には、具体的な内容を確認しておく方がベター。これまで見てきたように、人によって「手を拱く」の使い方や、受け取り方が異なると考えられるからです。
世代の違いで、使い方が分かれる傾向も。上司が「手を拱いている」と呟く時と、若い部下が「手を拱いています」と報告してくる時は、全く逆の状況かもしれません。正しい意味を押さえつつ、間違った使い方をする人が多くいることを理解して、誤解が起きないように用心しましょう。
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