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2022.05.02

長生きしたいなら「プロテインより海藻」の理由|腸環境を整える善玉「酪酸菌」のすごい力とは?

腸内細菌の善玉菌といえば「ビフィズス菌」や「乳酸菌」ですが、近年もっとも注目されているのが「酪酸菌(らくさんきん)」です。酪酸菌は、腸にとって大切な「酪酸」を作り出す腸内細菌です。最新の研究では酪酸菌ががんや糖尿病の予防、筋力アップ、花粉症の改善、さらには新型コロナの重症化予防など、さまざまな驚きの作用をもたらすことがわかってきました。

酪酸菌とはいったい何なのか。なぜ健康長寿者の腸には酪酸菌が多いのか。消化器専門医・江田証さんの新刊『すごい酪酸菌 病気になる人、ならない人の分かれ道』から一部を紹介します(第2回)。

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免疫力の低下が招く代表的な疾患には、がんがあります。酪酸はがんのなかでもっとも患者数が多い、「大腸がん」の発生を抑えるという報告もあります。

すでに医薬品として医療現場で使用

酪酸 医薬品

(C)Shutterstock.com

酪酸を作り出す酪酸菌で有名な菌として、「クロストリジウム・ブチリカム」があります。この菌は、千葉医科大学(現・千葉大学医学部)の宮入近治博士が日本人の腸内フローラから発見し、分離した菌で、すでに医薬品として医療現場で処方されています。

大腸がんができやすいマウス(APC遺伝子ノックアウトマウス)に高脂肪のエサを与えると、さらに大腸がんが発生しやすくなります。しかし、このマウスに酪酸菌であるクロストリジウム・ブチリカムを与えると、大腸がんができづらくなるのです。

つまり、酪酸菌は大腸がんの発生を抑える効果が期待できるのです。

大腸腫瘍細胞における酪酸の効果

大腸腫瘍細胞における酪酸の効果(同書より)

反対に、酪酸は免疫の過剰反応が招く「アレルギー」や「自己免疫疾患」にも役立つ可能性が示唆されています。

アレルギーと聞くと、真っ先に思い浮かべるのが「花粉症」ではないでしょうか。花粉による季節性のアレルギー性鼻炎は、毎年、特に春になると発症。ひどい鼻水や鼻づまり、くしゃみに悩まされたり、苦しんだりする人が多く、国民病ともいわれています。これは免疫の反応が過剰になることで起こるアレルギー症状の1つです。

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