「空木」とは?
「空木」とはどんな植物か知っていますか? 日常生活ではあまり馴染みのない「空木」ですが、実は古くから古典に登場し、親しまれてきた植物なのです。
「空木」の特徴
「空木」は「うつぎ」と読む、アジサイ科の落葉低木です。高さが2mほどの樹木で、5月〜6月になると白やピンクの花を咲かせます。葉は卵形で、縁に細いギザギザがあるのが特徴です。
観賞用として庭や生垣として利用される他、木釘(くぎ)や楊枝を作る材料にもなります。日本では、北海道から九州まで広い地域に分布しているそう。枝葉は、煎じて黄疸(おうだん)の薬、せきの薬とされてきたようです。
日本最古の和歌集『万葉集』には、24首ほど詠まれ、古くから風流な植物として関心を持たれていました。民俗学者の折口信夫さんによると、古くは「空木」の花の咲き具合でその年が豊作かどうかを占ったとか。これは「空木」が、春から初夏への季節の変わり目に咲くことから、季節を知る重要な花として考えられてきたようです。
由来
「空の木」と書いて「空木」。なんとなく不思議な響きのある名前ですよね。「空木」は、枝の中が空洞であることから「空(うつ)ろな木=空木」と名付けられたと言われています。また、卯月(旧暦の4月)に咲くことから、別名「うのはな」「うのき」と呼ばれることもあるようです。
枝の中が空洞なので、あまり栄養が行き届いていないのでは? と心配になりますが、これも実は植物の賢い戦略なのだそう。あえて中を空洞にすることで枝が軽くなり、重さを支えるために枝を太くする必要がありません。その結果、根から吸った水や太陽から得たエネルギーを、花を咲かせることに集中させることができるのです。
「空木」の花言葉
「空木」の花言葉は、「秘密」「古風」「乙女の香り」。いずれも「空木」の特徴からつけられた花言葉です。早速チェックしてみましょう。
秘密
「空木」の花言葉は「秘密」。「空木」の幹を切ると、中が空洞であることから名付けられたのでしょう。外から見ただけでは想像できないことから、何やら秘密めいた不思議な印象を抱いたのかもしれません。
古風
「空木」には、「古風」という花言葉もつけられています。「空木」は、『万葉集』や『枕草子』などの古典文学に度々登場する植物でした。このことから、「空木」にはどこか古風で控えめな印象をもたれたと考えられます。