〝しなやかマインドセット〟を持つ子どもに育てたい【モデル牧野紗弥 ワークライフ「マイ」バランス＃08】

「マインドセット」って？

『MINDSET マインドセット「やればできる！」の研究』（キャロル・S・ドゥエック　草思社）

娘が小学1年生の時に、担任の先生にオススメして頂いたこの本を久しぶりに読んでいます。子どもたちに紹介したい考え方や例え話があるなと感じながら6年ぶりに読み返していた折、こんな出来事がありました。

子育てと“しなやかマインドセット”

地元のサッカーのクラブチームで、1つ上の学年の6年生の試合に招集してもらえるようになった息子は、試合を終えて帰ってくるたび「今日は監督に上手くなるためにはどこを克服したらいいか聞いてきたんだ」とか張り切っているようでした。

しかしその数日後、「おれさ、今まで仲の良かった同じ学年の友達から、言われたくないことを言われるんだ」と練習の帰りにボソッと話しました。彼がその後口をつむったので、かける言葉を考えながら運転していると、マインドセットに書かれていた内容がいくつか頭に浮かびました。

そこでまず息子に聞いたのが、「また、その友達と一緒にサッカーやれたらいいなって思う？」ということ。彼が「YES」と答えたので、「だったら、また一緒にできるように友達を応援する気持ちを持とう」と声をかけました。ネガティブになっている彼のマインドを「相手を許して、いつか一緒にできるように自分も6年生のチームで頑張る」というポジティブな気持ちに変換させることで、しなやかマインドセットを育ませたいと思ったのです。すると彼の気持ちが楽になったようで、顔に明るさが戻っていくのがわかりました。

もう1つは否定的な言葉を発した友達のフォローをしたいと思ったので、「赤ちゃんの時は歩く、喋るなど困難きわまりない課題にもチャレンジする溢れんばかりの学習意欲があったのに、いつからか怖気付いたり、自分自身を評価する力が芽生えたとたんにチャレンジを恐れたりするらしいのよ。それってなんとなくわかるよね。チャレンジをしなやかマインドセットとするなら、恐れることを硬直マインドセットというらしくてね。スポーツで言うと、持って生まれた運動能力は一定で変わらないとか、天性の素質が欠かせないと思ってしまう気持ちが“硬直マインドセット”。努力すれば必ず上達するとか優れた成績を上げるには地道に練習し、技術や技能を学ぶ必要があると思えるのが“しなやかマインドセット”らしい。マインドセットって大切だね。赤ちゃんの時はみんなしなやかマインドセットで生まれているから、何かのきっかけでものの見方が変わると思うよ」と伝えました。

“マインドセット”を子どもと一緒に学んでみる

子どもが人生経験を積む体験をしている時、私自身の経験を基に話し合う時もありますが、本の内容を引用して話すことも多いです。その方が時として、客観的に子どもと話せる気がするからです。子どもには「ハイハイ」としか言われませんが…。

どんな子育てをしたいかと聞かれたら、「しなやかマインドセットを持つ子どもに育てたい」と答えます。この心持ちこそが学習、恋愛、仕事、対人関係など、生きること全般を豊かにすることなんじゃないかなと、この本に出合えて思うからです。

とりわけ今回は、第7章の「教育−マインドセットを培う」という章が印象的でした。親として、教師として、子どもにどのように接するかということが書いてあります。この本を教えてくれた先生に6年間学べた娘は幸せだなと感じるとともに、私自身もしなやかマインドセットを意識して子どもと共に学ぶ姿勢を持ち続けたいなと思います。

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モデル

牧野紗弥

愛知県出身。小学館『Domani』を始め、数々のファッション誌で人気モデルとして抜群のセンスを発揮しながら、多方面で活躍中。キャンプやスキー、シュノーケリングなど、季節に合わせたイベントを企画し、3人の子どもとアクティブに楽しむ一面も。自身の育児の経験や周囲の女性との交流の中で、どうしても女性の負担が大きくなってしまう状況について考えを深めつつ、家庭におけるジェンダー意識の改革のため、身を持って夫婦の在り方を模索中。