「鬼が出るか蛇が出るか」とは?例文も紹介
「鬼が出るか蛇が出るか」とは、“将来を予測することは難しい”という意味の言葉です。真っすぐに歩いてきたくても、途中で鬼に出くわして進路を変更せざるを得なくなるかもしれません。また、途中で蛇が出て引き返さざるを得なくなることもあります。
なお、「鬼が出るか蛇が出るか」の読み方は「おにがでるかじゃがでるか」であるとに注意が必要です。「蛇(へび)」ではなく「蛇(じゃ)」なので、もしかしたら大蛇(だいじゃ)などの大きな蛇を想定した言葉かもしれません。
【鬼が出るか蛇が出るか】(おにがでるかじゃがでるか)
前途にはどんな運命が待ち構えているのか予測できない。鬼が出るか仏(ほとけ)が出るか。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
人形遣いのセリフとして知られる
「鬼が出るか蛇が出るか」とは、人形遣いのセリフとして広まったとされています。
からくり人形を操る人形師が、人形の入った箱を開ける前に「鬼が出るか蛇が出るか」といって、観客の注意を集めたことから、いったい何が入っているかわからないもの、つまり予測がつかないものや状況を指す言葉として使われるようになりました。
実際のところ、箱の中に入っているのは人形ですが、鬼や蛇といった怖いけれども気になるものを例に挙げ、好奇心をあおったようです。なお、現代人の感覚では、鬼も蛇もあまり良くないイメージを持つかもしれません。しかし、鬼は今も昔も良くないものの例えとして使われていますが、蛇は仏の化身であり、良いものの例えとして使われていたようです。
つまり、「鬼が出るか蛇が出るか」とは「箱を開けたら良くないことが起こるのか、それとも良いことが起こるのか」といった意味合いがあったと考えられます。
ビジネスシーンでも使われることがある
将来の予測がつかないことは、ビジネスシーンでもしばしばあります。社運をかけて新事業を展開したものの、コストばかりかかり、会社を傾けてしまうケースもあるでしょう。
「鬼が出るか蛇が出るか」という言葉を使って、先行き不明瞭な様子を表現することも少なくありません。例えば次のように使うことができるでしょう。
・クライアントに新サービスの提案をしてみたが、鬼が出るか蛇が出るかはわからない。喜んで導入してもらえる可能性はあるが、厚かましいと怒られる可能性も十分にある。
・評価が高くなれば給料が上がる。しかし鬼が出るか蛇が出るかわからないため、評価が下がって収入も減少することもあるだろう。
期待や不安を示すときにも使われる
将来に対する期待や不安を示すときにも、「鬼が出るか蛇が出るか」という表現を用いることができます。例えば、次のように使うことも可能です。
・大学に進学したのは良いのだが、私の学科は内部進学の学生が多く、なんとなく居心地が悪い。鬼が出るか蛇が出るかわからないが、転科願いを出して見た。
・将来が不安でとにかく貯蓄に励んでいる。しかし、貯蓄だけではなかなか増えないので投資も始めてみた。さて、鬼が出るか蛇が出るか…。
鬼が出るか蛇が出るかの類語・対義語
「鬼が出るか蛇が出るか」には類似する表現がたくさんあります。よく使われる表現としては、次の2つが挙げられるでしょう
・吉と出るか凶と出るか
・当たるも八卦当たらぬも八卦
また、反対の意味を持つ言葉も少なくありません。日常生活でも使われる対義語としては、次の2つが挙げられます。
・待てば海路の日和あり
・彼を知り己を知れば百戦あやうからず
それぞれの言葉の意味を例文を通して解説します。
【類語】吉と出るか凶と出るか
「吉と出るか凶と出るか」は「鬼が出るか蛇が出るか」と同じ意味の慣用句です。ただし、「鬼が出るか蛇が出るか」では良くないものを先に伝えているのに対し、「吉と出るか凶と出るか」は良いものを先に伝えている点が異なります。そのため、良いことが起こる可能性が高いときに使うことができるかもしれません。次のように使ってみましょう。
・いつもとは違う先生に子どもの家庭教師をお願いした。吉と出るか凶と出るかわからないが、子どもは何かしらの手応えを感じているようだ。
・吉と出るか凶と出るかはわからないけれど、あえて彼が言われている陰口を彼本人に伝えてみた。彼が自分の良くない点に気付けば良いのだが、いじけてしまう可能性もあるので不安ではある。